「グルタミン酸」の版間の差分

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 神経伝達物質としての機能を
 神経伝達物質としての機能を


 ある物質が神経伝達物質として機能する事の証明には、まずその物質が組織に存在し合成系がある事、その物質を作用させる事でシナプス伝達と同様の現象が起こる事、その物質の拮抗薬を作用させる事でシナプス伝達も抑制される事、刺激に応じて放出される事、不活化過程がある事などがあげられる(篠崎)。したがって、拮抗薬の存在が必須であるが、当時確認されていた神経伝達物質であるモノアミンやアセチルコリンと異なり、その開発は遅れていた。J. C. Watkinsらは系統的に直鎖状のグルタミン酸分子の炭素数を変え、また3'位にあるカルボン酸を他の陰イオン基に置換し、さらに修飾を加える事を行い、炭素数を一つ減らし、D体とし、アミノ基にさらにメチル基がついたN-メチル-D-アスパラギン酸が、グルタミン酸と比較して
 ある物質が神経伝達物質として機能する事の証明には、まずその物質が組織に存在し合成系がある事、その物質を作用させる事でシナプス伝達と同様の現象が起こる事、その物質の拮抗薬を作用させる事でシナプス伝達も抑制される事、刺激に応じて放出される事、不活化過程がある事などがあげられる(篠崎)。したがって、拮抗薬の存在が必須であるが、当時確認されていた神経伝達物質であるモノアミンやアセチルコリンと異なり、その開発は遅れていた。J. C. Watkinsらは系統的に直鎖状のグルタミン酸分子の炭素数を変え、また3'位にあるカルボン酸を他の陰イオン基に置換し、さらに修飾を加える事を行った。その結果、炭素数を一つ減らしたD体である<small>D</small>-アスパラギン酸のアミノ基にさらにメチル基がついたN-メチル-<small>D</small>-アスパラギン酸(NMDA)が、グルタミン酸と比較して数十倍に上る事を見いだした。さらい、炭素数を一つ増やしたD体の&omega;位のカルボン酸をホスホン酸とした<small>D</small>-(-)-2-アミノ-5-ホスホノペンタン酸(<small>D</small>-(-)-2-amino-5-phosphonopentanoic acid, AP5)がその働きを特異的に抑える事に気づいた。この事から、グルタミン酸受容体にはNMDA型ならびに非NMDA型がある事を提唱した。
 
 竹本常松らは駆虫薬である使君子(Quisqualis indica)の種子ならびに海人草の有効成分がそれぞれ、キスカル酸、カイニン酸であると同定した。篠崎温彦はこれらの物質が、やはり興奮性アミノ酸と類似している事に気づき、しかも非NMDA型でもべつべつな受容体を活性化する事を見いだした。これによりイオンチャネル型受容体はNMDA型、キスカル酸型、カイニン酸の3つに分けられる事が示された。
 
 




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