「不安症」の版間の差分

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サイズ変更なし 、 2012年12月4日 (火)
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 不安anxietyは、[[wikipedia:ja:キケロ|キケロ]]の時代(紀元前106-43)に、[[wikipedia:ja:ローマ|ローマ]]人が''anxietas''という言葉を使っていたのが語源であろう。これは''angor''「圧迫する、または、窒息させる」を意味する動詞の派生語である。ラテン語の''angustia''(狭いこと)、フランス語のangoisse「苦悶」、ドイツ語のAngst(恐怖)とeng(せまい)という言葉も類似した意味を持っている。  
 不安anxietyは、[[wikipedia:ja:キケロ|キケロ]]の時代(紀元前106-43)に、[[wikipedia:ja:ローマ|ローマ]]人が''anxietas''という言葉を使っていたのが語源であろう。これは''angor''「圧迫する、または、窒息させる」を意味する動詞の派生語である。ラテン語の''angustia''(狭いこと)、フランス語のangoisse「苦悶」、ドイツ語のAngst(恐怖)とeng(せまい)という言葉も類似した意味を持っている。  


 紀元前600年に[[wikipedia:ja:ギリシャ|ギリシャ]]の詩人[[wikipedia:Sappho|Sappho]]が社会不安の症状としてパニック発作を記載したのが不安症状の最も古い記載であるとBandelow(2001)は述べている。本邦で最も古い不安障害の記載は、貞享3年(1686年)本邦の漢方医、[[wikipedia:ja:蘆川桂州|蘆川桂州]]が病名彙解に記した「驚悸」である<ref>'''蘆川桂州'''<br>病名彙解 <br>''六巻'', 1686 [http://www.shiga-med.ac.jp/library/kawamura/content/K0115/K0115v07s0025.html 川村文庫画像データーベース]</ref>。これは現在のパニック障害を的確に描写している。  
 紀元前600年に[[wikipedia:ja:ギリシャ|ギリシャ]]の詩人[[wikipedia:Sappho|Sappho]]が社会不安の症状としてパニック発作を記載したのが不安症状の最も古い記載であるとBandelow(2001)は述べている。本邦で最も古い不安障害の記載は、貞享3年(1686年)本邦の漢方医、[[wikipedia:ja:蘆川桂州|蘆川桂州]]が病名彙解に記した「驚悸」である<ref>'''蘆川桂州'''<br>病名彙解 <br>''六巻'', 1686 [http://www.shiga-med.ac.jp/library/kawamura/content/K0115/K0115v07s0025.html 河村文庫画像データーベース]</ref>。これは現在のパニック障害を的確に描写している。  


 [[wikipedia:William Cullen|William Cullen]](1710-1790)はneurosisという言葉を作り、それは、発熱を伴わない神経系全般の機能にかかわる感覚と運動の異常状態であると説明した。Cullenの[[神経症]]概念は、当時の医学では器質的障害を認め得ないということがその根底にあり、精神病も含み現代の神経症とはかなり様相を異にする。1880年、[[wikipedia:George Miller Beard|Beard]]が神経衰弱の概念を提出し、[[wikipedia:JA:|ジークムント・フロイト|Freud]](1894)が神経衰弱から不安神経症を区別している。そして、1990年、Kleinが不安神経症をパニック障害と全般性不安障害に区分した<ref><pubmed></pubmed></ref>(編集コメント:文献をお願いいたします)。  
 [[wikipedia:William Cullen|William Cullen]](1710-1790)はneurosisという言葉を作り、それは、発熱を伴わない神経系全般の機能にかかわる感覚と運動の異常状態であると説明した。Cullenの[[神経症]]概念は、当時の医学では器質的障害を認め得ないということがその根底にあり、精神病も含み現代の神経症とはかなり様相を異にする。1880年、[[wikipedia:George Miller Beard|Beard]]が神経衰弱の概念を提出し、[[wikipedia:JA:|ジークムント・フロイト|Freud]](1894)が神経衰弱から不安神経症を区別している。そして、1990年、Kleinが不安神経症をパニック障害と全般性不安障害に区分した<ref><pubmed></pubmed></ref>(編集コメント:文献をお願いいたします)。  

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