「ステロイド」の版間の差分

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[[Image:Cholic and deoxycholic.png|thumb|right|300px|'''図4.コール酸とデオキシコール酸の構造''']]
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====作用機序====
===作用機序===


 ステロイドホルモンの作用機序は大きく2つに分けられる。ひとつは核受容体を介して標的遺伝子の発現調節を行うゲノミック作用であり、もうひとつは膜受容体を介した遺伝子発現調節を伴わず数分以内の速い作用が特徴のノンゲノミック作用である。核受容体には、グルココルチコイド受容体(GR)、ミネラルコルチコイド受容体(MR)、アンドゲン受容体(AR)、エストロゲン受容体(ERαとERβ)、プロゲステロン受容体(PR)があり、細胞質を通過したステロイドホルモンと複合体を形成して核へ移行し、標的遺伝子のホルモン応答配列(hormone response element: HRE)に結合し転写調節を行う。しかし、これら核受容体はゲノミック作用のみならず、細胞膜や細胞質にも存在することが確認されており、細胞質のセカンドメッセンジャー(PKA, PKC, MAPKや細胞内カルシウム等)に対してノンゲノミックな作用も有する。また近年、Gタンパク質共役受容体(Gprotein-coupled receptor: GPCR)もステロイドホルモンの膜受容体として注目されている。
 ステロイドホルモンの作用機序は大きく2つに分けられる。ひとつは核受容体を介して標的遺伝子の発現調節を行うゲノミック作用であり、もうひとつは膜受容体を介した遺伝子発現調節を伴わず数分以内の速い作用が特徴のノンゲノミック作用である。核受容体には、グルココルチコイド受容体(GR)、ミネラルコルチコイド受容体(MR)、アンドゲン受容体(AR)、エストロゲン受容体(ERαとERβ)、プロゲステロン受容体(PR)があり、細胞質を通過したステロイドホルモンと複合体を形成して核へ移行し、標的遺伝子のホルモン応答配列(hormone response element: HRE)に結合し転写調節を行う。しかし、これら核受容体はゲノミック作用のみならず、細胞膜や細胞質にも存在することが確認されており、細胞質のセカンドメッセンジャー(PKA, PKC, MAPKや細胞内カルシウム等)に対してノンゲノミックな作用も有する。また近年、Gタンパク質共役受容体(Gprotein-coupled receptor: GPCR)もステロイドホルモンの膜受容体として注目されている。


====受容体と標的遺伝子====
===受容体と標的遺伝子===


=====エストロゲン=====
====エストロゲン====


 エストロゲン受容体にはERαとERβとがあり、これらは独立した遺伝子から産生される(スプライシングバリアントではない)。ER受容体はリガンドフリーの状態でも核内に存在するが、リガンドと結合するとダイマーを形成して標的遺伝子の転写調節領域に結合する。ERはエストロゲン応答配列(estrogen response element: ERE)にダイレクトに結合する以外にも、AP-1やCRE様配列にもインダイレクトに作用し遺伝子発現を調節することが知られる。ERの標的遺伝子としてはプロラクチン、オボアルブミン、IGF-1、TFF-1/pS2、cathepsin D、c-Myc, cyclin D1等が知られる。エストロゲンによるプロラクチン遺伝子の発現調節はEREによるものであるが、オボアルブミンやIGF-1遺伝子の発現調節はAP-1によるものであることが報告されており、発現調節のメカニズムにおいては遺伝子ごとの詳細な解析が必要とされる。
 エストロゲン受容体にはERαとERβとがあり、これらは独立した遺伝子から産生される(スプライシングバリアントではない)。ER受容体はリガンドフリーの状態でも核内に存在するが、リガンドと結合するとダイマーを形成して標的遺伝子の転写調節領域に結合する。ERはエストロゲン応答配列(estrogen response element: ERE)にダイレクトに結合する以外にも、AP-1やCRE様配列にもインダイレクトに作用し遺伝子発現を調節することが知られる。ERの標的遺伝子としてはプロラクチン、オボアルブミン、IGF-1、TFF-1/pS2、cathepsin D、c-Myc, cyclin D1等が知られる。エストロゲンによるプロラクチン遺伝子の発現調節はEREによるものであるが、オボアルブミンやIGF-1遺伝子の発現調節はAP-1によるものであることが報告されており、発現調節のメカニズムにおいては遺伝子ごとの詳細な解析が必要とされる。
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