「CI療法」の版間の差分

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サイズ変更なし 、 2012年12月8日 (土)
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 CI療法は、リハビリテーションの方法論である。[[脳卒中]]の[[片麻痺]]患者に対して、非麻痺側手の使用を三角巾やミットなどで制限して(constraint)、麻痺側上肢を使用する動作を練習するものである<ref name="ref1"><pubmed>8466415</pubmed></ref>。患者が成功の報酬を得られる様に課題の難易度を進捗に応じて段階的に設定する(shaping)。発症後1年以上の患者でも、手関節と手指伸展が10度以上可能であれば、手指機能が改善することが示唆された。  
 CI療法は、リハビリテーションの方法論である。[[脳卒中]]の[[片麻痺]]患者に対して、非麻痺側手の使用を三角巾やミットなどで制限して(constraint)、麻痺側上肢を使用する動作を練習するものである<ref name="ref1"><pubmed>8466415</pubmed></ref>。患者が成功の報酬を得られる様に課題の難易度を進捗に応じて段階的に設定する(shaping)。発症後1年以上の患者でも、手関節と手指伸展が10度以上可能であれば、手指機能が改善することが示唆された。  


== CI療法とは==
==実験的根拠==
 CI療法は、実験的に報告された[[Use-dependent plasticity]]の臨床的な焼き直しとも考えられる。すなわち、健常な[[wikipedia:ja:リスザル|リスザル]]では、訓練(段階的に口径が小さく深いパレットからエサをとる)による運動スキルの向上とともに、inter-cortical micro-stimulation(皮質内微小刺激)で評価した[[一次運動野]]の手の領域の拡大が観察される<ref name="ref2"><pubmed>8551360</pubmed></ref>。一方、大きなパレットからエサをとることをくりかえすような単純な運動の反復では、運動地図の変化はおこらない<ref name="ref4"><pubmed>10873519</pubmed></ref>。同様に、リスザルにおける一次運動野の損傷実験でも、一次運動野の部分的な実験的脳虚血後、5日後から麻痺手で同様の訓練を行うと、麻痺手機能の改善とともに一次運動野内の手の領域が拡大することが示された<ref name="ref3"><pubmed>8650578</pubmed></ref>。このような運動野地図の変化は、臨床的にも検証されている。少数例の検討ではあるがCI療法後に、麻痺側上肢機能の改善とともに、[[経頭蓋磁気刺激]]により麻痺手の運動誘発電位が惹起されるに領域が病変側で増加した<ref name="ref5"><pubmed>10835434</pubmed></ref>。Nudoらの実験結果とあわせて、実際の能力よりやや難易度の高い課題を与えるような手の練習後の機能改善と病変半球の一次運動野内の運動地図の変化との関連を示唆する。
 CI療法は、実験的に報告された[[Use-dependent plasticity]]の臨床的な焼き直しとも考えられる。すなわち、健常な[[wikipedia:ja:リスザル|リスザル]]では、訓練(段階的に口径が小さく深いパレットからエサをとる)による運動スキルの向上とともに、inter-cortical micro-stimulation(皮質内微小刺激)で評価した[[一次運動野]]の手の領域の拡大が観察される<ref name="ref2"><pubmed>8551360</pubmed></ref>。一方、大きなパレットからエサをとることをくりかえすような単純な運動の反復では、運動地図の変化はおこらない<ref name="ref4"><pubmed>10873519</pubmed></ref>。同様に、リスザルにおける一次運動野の損傷実験でも、一次運動野の部分的な実験的脳虚血後、5日後から麻痺手で同様の訓練を行うと、麻痺手機能の改善とともに一次運動野内の手の領域が拡大することが示された<ref name="ref3"><pubmed>8650578</pubmed></ref>。このような運動野地図の変化は、臨床的にも検証されている。少数例の検討ではあるがCI療法後に、麻痺側上肢機能の改善とともに、[[経頭蓋磁気刺激]]により麻痺手の運動誘発電位が惹起されるに領域が病変側で増加した<ref name="ref5"><pubmed>10835434</pubmed></ref>。Nudoらの実験結果とあわせて、実際の能力よりやや難易度の高い課題を与えるような手の練習後の機能改善と病変半球の一次運動野内の運動地図の変化との関連を示唆する。


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