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=発現(組織分布、細胞内分布)=
==発現(組織分布、細胞内分布)==


=機能=
==機能==


 1997年になり、dab1の変異マウスの作成、及び自然発症変異マウスyotari, scramblerの原因遺伝子がdab1であることが報告され、dab1が大脳新皮質、海馬、小脳、脳幹の神経核等、中枢神経系の発生に必須の遺伝子である事が明らかになった。大脳新皮質のニューロンは、脳室帯で誕生後、脳の表面方向に移動し、プレプレートの間に入り込んで、辺縁帯直下で移動を終了し、最終分化を行なう。誕生時期の早いニューロンは遅生まれのニューロンに追い越され、ニューロンがいわゆる“インサイドアウト”と呼ばれるパターンで配置される。プレプレートのスプリッティングが起こらず、誕生したニューロンは脳表面から順番に深層に積み重なって行き、異常な層構造を形成するようになる。この変異は1951年、Falconarによって最初に報告されたreelerマウスで見られる脳の層構造異常と全く同一な表現型であった(リーラーフェノタイプ)。この事からDab1はReelinシグナルを細胞内で伝達する分子と考えられた。2000年になり、TrommdorfらがApoER2とVLDLRのダブルノックアウトマウスを作成したところ、リーラーフェノタイプになることが明らかになり、さらに生化学的結合実験により、ApoER2とVLDLRがReelinのレセプターであることが示された。またApoER2とVLDLRの細胞内ドメインのNPxYモチーフにはDab1が結合出来る事が示され、Dab1はReelinシグナルをApoER2、VLDLRを介して受け取る事が示唆された。<br> Howellらは活性化型SrcとDab1を培養細胞に発現させ、チロシンリン酸化を受ける可能性のある5つのチロシンを全てフェニルアラニンに変異させた所、チロシンリン酸化がほぼ検出出来なくなる事から、Dab1のチロシンリン酸化部位を同定した。この5つのチロシンリン酸化部位全てをフェニルアラニンに変異させたノックインマウスを作成した所、リーラーフェノタイプになる事から、Dab1のチロシンリン酸化はReelinシグナルにとって必須であることが明らかになった。<br> チロシンリン酸化部位のReelinシグナルにおける重要性から、様々な研究者により、チロシンリン酸化されたDab1への結合タンパク質の同定が試みられ、PI3K、SOCS3、Nckbeta、Lis1、SFKs、Crkファミリータンパク質等、様々なタンパク質が同定された。このうちCrk及び、Srcのノックアウトマウスでリーラフェノタイプが示された。<br>   
 1997年になり、dab1の変異マウスの作成、及び自然発症変異マウスyotari, scramblerの原因遺伝子がdab1であることが報告され、dab1が大脳新皮質、海馬、小脳、脳幹の神経核等、中枢神経系の発生に必須の遺伝子である事が明らかになった。大脳新皮質のニューロンは、脳室帯で誕生後、脳の表面方向に移動し、プレプレートの間に入り込んで、辺縁帯直下で移動を終了し、最終分化を行なう。誕生時期の早いニューロンは遅生まれのニューロンに追い越され、ニューロンがいわゆる“インサイドアウト”と呼ばれるパターンで配置される。プレプレートのスプリッティングが起こらず、誕生したニューロンは脳表面から順番に深層に積み重なって行き、異常な層構造を形成するようになる。この変異は1951年、Falconarによって最初に報告されたreelerマウスで見られる脳の層構造異常と全く同一な表現型であった(リーラーフェノタイプ)。この事からDab1はReelinシグナルを細胞内で伝達する分子と考えられた。2000年になり、TrommdorfらがApoER2とVLDLRのダブルノックアウトマウスを作成したところ、リーラーフェノタイプになることが明らかになり、さらに生化学的結合実験により、ApoER2とVLDLRがReelinのレセプターであることが示された。またApoER2とVLDLRの細胞内ドメインのNPxYモチーフにはDab1が結合出来る事が示され、Dab1はReelinシグナルをApoER2、VLDLRを介して受け取る事が示唆された。<br> Howellらは活性化型SrcとDab1を培養細胞に発現させ、チロシンリン酸化を受ける可能性のある5つのチロシンを全てフェニルアラニンに変異させた所、チロシンリン酸化がほぼ検出出来なくなる事から、Dab1のチロシンリン酸化部位を同定した。この5つのチロシンリン酸化部位全てをフェニルアラニンに変異させたノックインマウスを作成した所、リーラーフェノタイプになる事から、Dab1のチロシンリン酸化はReelinシグナルにとって必須であることが明らかになった。<br> チロシンリン酸化部位のReelinシグナルにおける重要性から、様々な研究者により、チロシンリン酸化されたDab1への結合タンパク質の同定が試みられ、PI3K、SOCS3、Nckbeta、Lis1、SFKs、Crkファミリータンパク質等、様々なタンパク質が同定された。このうちCrk及び、Srcのノックアウトマウスでリーラフェノタイプが示された。<br>   
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