「情動」の版間の差分

ナビゲーションに移動 検索に移動
78 バイト追加 、 2013年1月12日 (土)
38行目: 38行目:


==神経科学的基盤  ==
==神経科学的基盤  ==
 ''詳細は[[情動系神経回路]]、[[扁桃体]]の項目も参照。''


=== パペッツの情動回路  ===
=== パペッツの情動回路  ===
71行目: 72行目:
 例えば、[[ギャンブリング課題]]での意思決定の質は腹内側前頭前野を損傷すると低下する。ギャンブリング課題とは、一般的に複数あるカードの山のいずれからからカードを1枚づつ引いてゆき、カードに書かれている金額を獲得したり失ったりする中で、より多くの金額を稼ぐことを目指すものである。カードの山にはハイリスク・ハイリターン、およびローリスク・ローリターンのものがあり、前者の山からカードを引き続けると中長期的には必ず損をするよう確率的に固定されている。  
 例えば、[[ギャンブリング課題]]での意思決定の質は腹内側前頭前野を損傷すると低下する。ギャンブリング課題とは、一般的に複数あるカードの山のいずれからからカードを1枚づつ引いてゆき、カードに書かれている金額を獲得したり失ったりする中で、より多くの金額を稼ぐことを目指すものである。カードの山にはハイリスク・ハイリターン、およびローリスク・ローリターンのものがあり、前者の山からカードを引き続けると中長期的には必ず損をするよう確率的に固定されている。  


 健常の場合、課題の進行に伴ってリスキーな前者の山を避けるようになるが、腹内側前頭前野の損傷者は短期的に得られる大報酬にこだわり続けた結果、大きく損をする。また後者においては、危険な山からカードを引く際の本来生じるはずの予期的な身体において生じる[[Skin Conductance Response]](SCR)の減弱が観察される<ref><pubmed> 8670652 </pubmed></ref>。このように腹内側前頭前野は中・長期的な展望に立った意思決定を導くための基盤として、中枢-末梢の機能的連関のもと、リスクを回避し、意思決定を最適化に関わる。  
 健常の場合、課題の進行に伴ってリスキーな前者の山を避けるようになるが、腹内側前頭前野の損傷者は短期的に得られる大報酬にこだわり続けた結果、大きく損をする。また後者においては、危険な山からカードを引く際の本来生じるはずの予期的な身体において生じる[[Skin Conductance Response]](SCR)の減弱が観察される<ref><pubmed> 8670652 </pubmed></ref>。このように腹内側前頭前野は中・長期的な展望に立った意思決定を導くための基盤として、中枢-末梢の機能的連関のもと、リスクを回避し、意思決定を最適化に関わる。


== 関連項目  ==
== 関連項目  ==

案内メニュー