「最初期遺伝子」の版間の差分

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== 発現誘導機構 ==
== 発現誘導機構 ==


 最初期遺伝子が刺激後速やかに転写誘導されるメカニズムの詳細はそれぞれの遺伝子によって異なるが、いくつかの最初期遺伝子の上流制御領域の解析により共通点が次第に明らかになりつつある。神経細胞においては、[[NMDA型グルタミン酸受容体]]や[[電位依存性カルシウムチャネル]]を介して細胞外から流入したカルシウムイオンが[[カルシウム・カルモジュリン依存的キナーゼ]]([[CaMKs]])や[[MAPキナーゼ]]([[MAPK]])などのキナーゼ経路を活性化させ、その結果、非誘導型の転写因子である[[サイクリックAMP応答配列結合タンパク質]]([[cAMP-responsive element binding protein]], [[CREB]])や[[血清応答因子]]([[Serum response factor]], [[SRF]])、[[myocyte enhancer factor-2]] ([[MEF2]])などのリン酸化スイッチによって活性化されることで最初期遺伝子の転写が開始される<ref name="ref5"><pubmed>19116276</pubmed></ref>。また、[[カルシウム依存的タンパク質フォスファターゼ]]([[PP2B]])である[[カルシニューリン]]による脱リン酸化スイッチによる転写開始機構も示唆されている。さらに、上記の転写因子と複合体を形成する補活性化因子([[CBP]]、[[p300]]、[[ElK]]、[[CRTC]]、[[MKL]]等)の重要性も明らかになってきた<ref name="ref2" />。  
 最初期遺伝子が刺激後速やかに転写誘導されるメカニズムの詳細はそれぞれの遺伝子によって異なるが、いくつかの最初期遺伝子の上流制御領域の解析により共通点が次第に明らかになりつつある。神経細胞においては、[[NMDA型グルタミン酸受容体]]や[[電位依存性カルシウムチャネル]]を介して細胞外から流入したカルシウムイオンが[[カルシウム・カルモジュリン依存的キナーゼ]]([[CaMKs]])や[[MAPキナーゼ]]([[MAPK]])などのキナーゼ経路を活性化させ、その結果、非誘導型の転写因子である[[サイクリックAMP応答配列結合タンパク質]]([[cAMP-responsive element binding protein]], [[CREB]])や[[血清応答因子]]([[Serum response factor]], [[SRF]])、[[myocyte enhancer factor-2]] ([[MEF2]])などのリン酸化スイッチによって活性化されることで最初期遺伝子の転写が開始される<ref name="ref5"><pubmed>19116276</pubmed></ref>。また、[[カルシウム]]依存的[[タンパク質フォスファターゼ]]([[PP2B]])である[[カルシニューリン]]による脱リン酸化スイッチによる転写開始機構も示唆されている。さらに、上記の転写因子と複合体を形成する補活性化因子([[CBP]]、[[p300]]、[[ElK]]、[[CRTC]]、[[MKL]]等)の重要性も明らかになってきた<ref name="ref2" />。  


 また、最初期遺伝子の転写は刺激後遅くとも数分以内の非常に早い時間から始まることが知られているが、この早い転写開始に関しては、基底状態において[[wikipedia:ja:転写開始点下流|転写開始点下流]]に結合して待機(ポーズ)している[[wikipedia:ja:RNAポリメラーゼII複合体|RNAポリメラーゼII複合体]]の待機状態が刺激によって解除されるという機構が提唱されている<ref name="ref6"><pubmed>21623364</pubmed></ref>。  
 また、最初期遺伝子の転写は刺激後遅くとも数分以内の非常に早い時間から始まることが知られているが、この早い転写開始に関しては、基底状態において[[wikipedia:ja:転写開始点下流|転写開始点下流]]に結合して待機(ポーズ)している[[wikipedia:ja:RNAポリメラーゼII複合体|RNAポリメラーゼII複合体]]の待機状態が刺激によって解除されるという機構が提唱されている<ref name="ref6"><pubmed>21623364</pubmed></ref>。


== 最初期遺伝子の機能 ==
== 最初期遺伝子の機能 ==

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