229
回編集
細編集の要約なし |
細編集の要約なし |
||
17行目: | 17行目: | ||
メディエーターは、約30のサブユニットからなるタンパク質複合体で、プロモーターに結合した転写基本因子(TFIID、TFIIA)とエンハンサーに結合した転写制御因子の双方に結合する。すると、転写基本因子、メディエーターならびにプロモーターにRNAポリメラーゼIIが結合できるようになり、転写が開始する<ref><pubmed>20940737</pubmed></ref><ref><pubmed>21330129</pubmed></ref><ref><pubmed>20720539</pubmed></ref>。 | メディエーターは、約30のサブユニットからなるタンパク質複合体で、プロモーターに結合した転写基本因子(TFIID、TFIIA)とエンハンサーに結合した転写制御因子の双方に結合する。すると、転写基本因子、メディエーターならびにプロモーターにRNAポリメラーゼIIが結合できるようになり、転写が開始する<ref><pubmed>20940737</pubmed></ref><ref><pubmed>21330129</pubmed></ref><ref><pubmed>20720539</pubmed></ref>。 | ||
一方、HATとクロマチン再構成複合体は、エンハンサーおよびプロモーター周辺のクロマチンの状態を変更する。HATのうち、CBPおよびp300は、エンハンサーおよびプロモーターにおけるコアヒストンのN末端をアセチル化する<ref><pubmed>21131905</pubmed></ref><ref><pubmed>19698979</pubmed></ref>。アセチル基は負の電荷を持つため、ヒストンの正の電荷を打ち消してヒストンとDNAの間の結合を弱める。アセチル化されたヒストンは、クロマチン再構成複合体が結合する足場となることがある<ref><pubmed>10638745</pubmed></ref> | 一方、HATとクロマチン再構成複合体は、エンハンサーおよびプロモーター周辺のクロマチンの状態を変更する。HATのうち、CBPおよびp300は、エンハンサーおよびプロモーターにおけるコアヒストンのN末端をアセチル化する<ref><pubmed>21131905</pubmed></ref><ref><pubmed>19698979</pubmed></ref>。アセチル基は負の電荷を持つため、ヒストンの正の電荷を打ち消してヒストンとDNAの間の結合を弱める。アセチル化されたヒストンは、クロマチン再構成複合体が結合する足場となることがある<ref><pubmed>10638745</pubmed></ref>。クロマチン再構成複合体は、ATP依存的にヌクレオソームの配置を変更したり、崩壊させる<ref><pubmed>20513433</pubmed></ref><ref><pubmed>10500090</pubmed></ref>。クロマチンの状態が変更されると、一般的に、転写基本因子とメディエーターならびにRNAポリメラーゼがプロモーター上で集合しやすくなり、転写が促進される。 | ||
エンハンサーは、ヒストンの種類または翻訳後修飾に関して、他の領域と異なる特徴を持つ。エンハンサーでは、ヒストンH3の4番目のリジンがモノメチル化またはジメチル化されている(H3K4me1/ H3K4me2)<ref><pubmed>17277777</pubmed></ref>。さらに、H3.3やH2A.Zと呼ばれるヒストンを含むヌクレオソームが存在する<ref><pubmed>19633671</pubmed></ref>。このヌクレオソームは、通常のヌクレオソームより不安定な性質を持つため解体されやすく、転写制御因子がこのヌクレオソームに置き換わってDNAに結合しやすくなると考えられている。ヒストンH3.3やH2A.Zを含むヌクレオソームは、プロモーターにも存在する。 | エンハンサーは、ヒストンの種類または翻訳後修飾に関して、他の領域と異なる特徴を持つ。エンハンサーでは、ヒストンH3の4番目のリジンがモノメチル化またはジメチル化されている(H3K4me1/ H3K4me2)<ref><pubmed>17277777</pubmed></ref>。さらに、H3.3やH2A.Zと呼ばれるヒストンを含むヌクレオソームが存在する<ref><pubmed>19633671</pubmed></ref>。このヌクレオソームは、通常のヌクレオソームより不安定な性質を持つため解体されやすく、転写制御因子がこのヌクレオソームに置き換わってDNAに結合しやすくなると考えられている。ヒストンH3.3やH2A.Zを含むヌクレオソームは、プロモーターにも存在する。 |
回編集