10
回編集
細編集の要約なし |
細編集の要約なし |
||
1行目: | 1行目: | ||
カルシニューリン(Calcineurin, CaN, CN)は、脳神経系に豊富に発現するカルシウム・カルモジュリン依存的セリン-スレオニン脱リン酸化酵素である。PP1/PP2A/calcineurin スーパーファミリーに属する。<ref><pubmed>11015619</pubmed></ref> 同義語:Protein phosphatase 2B (PP2B), Protein phosphatase 3 (ppp3), calcium-dependent serine-threonine phosphatase, caln; ccn1; cna1; calna1 | カルシニューリン(Calcineurin, CaN, CN)は、脳神経系に豊富に発現するカルシウム・カルモジュリン依存的セリン-スレオニン脱リン酸化酵素である。PP1/PP2A/calcineurin スーパーファミリーに属する。<ref><pubmed>11015619</pubmed></ref> 同義語:Protein phosphatase 2B (PP2B), Protein phosphatase 3 (ppp3), calcium-dependent serine-threonine phosphatase, caln; ccn1; cna1; calna1 | ||
<br> カルシニューリンは、免疫系で抗原提示細胞からT細胞への活性化、特にIL-2, IL-4遺伝子発現調節を担う転写因子NFATを脱リン酸化して活性化することから<ref><pubmed> | <br> カルシニューリンは、免疫系で抗原提示細胞からT細胞への活性化、特にIL-2, IL-4遺伝子発現調節を担う転写因子NFATを脱リン酸化して活性化することから<ref><pubmed>19596245</pubmed></ref>、cyclosporinA や FK506といったカルシニューリン阻害剤は免疫抑制剤として使用されてきた。脳神経系においては、シナプス刺激などによるカルシウムにより活性化され、NFAT, dynamin I, Inhibitor-1(l-I)/DARPP-32, tau, CRTC, GluA1, FMRP, Bcl-2, GABA<sub>A</sub> receptor といった多様な基質を脱リン酸化する。長期抑制・長期増強などのシナプス可塑性、ひいては記憶学習や、神経突起伸長・細胞内カルシウム・遺伝子発現調節・アポトーシスの制御に関わるとされている。 | ||
== カルシニューリンとは == | == カルシニューリンとは == | ||
37行目: | 37行目: | ||
=== 転写制御 === | === 転写制御 === | ||
AKAP150 (human AKAP79) により、Ca<sup>2+</sup>チャネルの近傍にアンカリングされ<ref><pubmed>7528941</pubmed></ref> | AKAP150 (human AKAP79) により、Ca<sup>2+</sup>チャネルの近傍にアンカリングされ<ref><pubmed>7528941</pubmed></ref>、カルシウム上昇に伴い、転写因子NFATcの脱リン酸化による核移行・転写活性化を促す。また、CREBのコファクターであるCRTCを脱リン酸化し、CREBの活性を増強する。 | ||
=== 小胞の内在化 === | === 小胞の内在化 === | ||
48行目: | 48行目: | ||
カルシニューリン前脳特異的ノックアウトマウスは、ワーキングメモリー異常を含む、 統合失調症様の中間表現型を呈することが報告されている。 | カルシニューリン前脳特異的ノックアウトマウスは、ワーキングメモリー異常を含む、 統合失調症様の中間表現型を呈することが報告されている。 | ||
=== ダウン症候群 === | === ダウン症候群 === |
回編集