「カルシニューリン」の版間の差分

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 カルシニューリンは 触媒サブユニットであるカルシニューリン A (57-59 kDa)と、修飾サブユニットであるカルシニューリン B (19-20 kDa)からなる。それぞれ、3種(PPP3CA、PPP3CB、and PPP3CC)と2種(PPP3R1、PPP3R2)の遺伝子にコードされる。PPP3R2は精巣特異的発現とされているが、その他はubiquitousに発現する。PPP3CCも精巣特異的とされていたが、脳における発現が確認されている。ラット脳内ではPPP3CAの方がPPP3CBよりも豊富に発現している。  
 カルシニューリンは 触媒サブユニットであるカルシニューリン A (57-59 kDa)と、修飾サブユニットであるカルシニューリン B (19-20 kDa)からなる。それぞれ、3種(PPP3CA、PPP3CB、and PPP3CC)と2種(PPP3R1、PPP3R2)の遺伝子にコードされる。PPP3R2は精巣特異的発現とされているが、その他はubiquitousに発現する。PPP3CCも精巣特異的とされていたが、脳における発現が確認されている。ラット脳内ではPPP3CAの方がPPP3CBよりも豊富に発現している。  


 カルシニューリン A は、N末端より、触媒ドメイン・カルシニューリン B 結合ドメイン・[[カルモジュリン]]結合ドメイン・自己抑制ドメイン(AID)からなる(図)。触媒ドメインはPP2Aと49%、PP1と39%という高い相同性を持つ。  
 カルシニューリン A は、N末端より、触媒ドメイン・カルシニューリン B 結合ドメイン・[[カルモジュリン]](CaM)結合ドメイン・自己抑制ドメイン(AID)からなる(図)。触媒ドメインはPP2Aと49%、PP1と39%という高い相同性を持つ。  


 カルシニューリン B はカルモジュリンと相同性があり、4つのCa<sup>2+</sup>結合ドメインである[[EF-hand]]を有し、N末端に[[ミリストイル化]]を受ける(図)。カルシニューリン Bの1つのCa<sup>2+</sup>結合ドメインは高親和性で(Kd = 10<sup>-7</sup> M)、その他は低親和性(Kd = 0.5 ~ 1 uM)であるが、カルモジュリンと異なり、カルシニューリン Bは[[wikipedia:EDTA|EDTA]]存在下でもカルシニューリン A に結合する。
 カルシニューリン B はカルモジュリンと相同性があり、4つのCa<sup>2+</sup>結合ドメインである[[EF-hand]]を有し、N末端に[[ミリストイル化]]を受ける(図)。カルシニューリン Bの1つのCa<sup>2+</sup>結合ドメインは高親和性で(Kd = 10<sup>-7</sup> M)、その他は低親和性(Kd = 0.5 ~ 1 uM)であるが、カルモジュリンと異なり、カルシニューリン Bは[[wikipedia:EDTA|EDTA]]存在下でもカルシニューリン A に結合する。
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== 阻害剤  ==
== 阻害剤  ==


 [[Cyclosporine A]]、[[FK506]]は、それぞれ [[Cyclophilin]]、[[FKBP]] ([[FK506-binding protein]]) の[[Immunophilin]]と結合し、カルシニューリン活性を阻害する。免疫系で[[抗原提示細胞]]から[[T細胞]]への活性化、特に[[IL-2]]、[[IL-4]]遺伝子発現調節を担う転写因子NFATを脱リン酸化して活性化することから<ref><pubmed>19596245</pubmed></ref>、cyclosporinA や FK506といったカルシニューリン阻害剤は免疫抑制剤として使用されてきた。その他、[[PP1]]、PP2Aの阻害剤である[[wikipedia:ja:オカダイン酸|オカダイン酸]]も高い濃度(~4 uM)では、カルシニューリン活性を阻害する。  
 [[Cyclosporine A]]、[[FK506]]は、それぞれ [[Cyclophilin]]、[[FKBP]] ([[FK506-binding protein]]) の[[Immunophilin]]と結合し、カルシニューリン活性を阻害する。免疫系で[[抗原提示細胞]]から[[T細胞]]への活性化、特に[[IL-2]]、[[IL-4]]遺伝子発現調節を担う転写因子NFATを脱リン酸化して活性化することから<ref><pubmed>19596245</pubmed></ref>、cyclosporinA や FK506といったカルシニューリン阻害剤は免疫抑制剤として使用されてきた。その他、[[PP1]]、PP2Aの阻害剤である[[wikipedia:ja:オカダ酸|オカダ酸]]も高い濃度(~4 uM)では、カルシニューリン活性を阻害する。  


== 脳神経系における役割  ==
== 脳神経系における役割  ==
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