「知覚」の版間の差分

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== 感覚統合と知覚(認知)  ==
== 感覚統合と知覚(認知)  ==


 異種感覚間の相互作用については、既に[[wikipedia:ja:アリストテレス|Aristoteles]]がその著「[[wikipedia:ja:霊魂論|De Anima]]」において、五感(視覚、聴覚、味覚、嗅覚、触覚)にそれぞれ特有な感覚と、すべての感覚に共通なものがあることを指摘している。これまでの大脳皮質を対象とした生理学、認知科学の研究によれば、大脳皮質[[連合野]]において、視覚と体性感覚、視覚と聴覚あるいは前庭覚情報をはじめとする異種感覚の統合が起こることが知られている''(The Handbook of Multisensory Processes、参考文献)''。統合された感覚は、 高次の情報となる。これらは、特定の感覚情報に依拠しない[[空間知覚]]や[[言語]]などの[[概念情報]]処理や、情動や記憶情報の符号化に関連する。一方、これらの連合野が[[脳梗塞]]などで損傷をうけると、知覚や認知機能が障害される。例えば、[[頭頂連合野]]は大脳皮質の頭頂葉にあって、空間情報を処理する領域であるが、そこが壊れると自己の身体に関わる知覚が障害される''(頭頂葉 神経心理学コレクション、医学書院)''。右[[頭頂葉]]の損傷によって生じる[[病態失認]]、[[身体失認]]の患者は、自分の麻痺した左手足が麻痺していないと主張したり、それが自分のものではないと主張したりすることがある。こうした身体知覚(身体図式)の異常は、身体部位に関わる視覚と体性感覚フィードバックを統合する異種感覚統合機能が破壊されることで生じると考えられている。
 異種感覚間の相互作用については、既に[[wikipedia:ja:アリストテレス|Aristoteles]]がその著「[[wikipedia:ja:霊魂論|De Anima]]」において、五感(視覚、聴覚、味覚、嗅覚、触覚)にそれぞれ特有な感覚と、すべての感覚に共通なものがあることを指摘している。これまでの大脳皮質を対象とした生理学、認知科学の研究によれば、大脳皮質[[連合野]]において、視覚と体性感覚、視覚と聴覚あるいは前庭覚情報をはじめとする異種感覚の統合が起こることが知られている''(The Handbook of Multisensory Processes、参考文献)''。統合された感覚は、 高次の情報となる。これらは、特定の感覚情報に依拠しない[[空間知覚]]や[[言語]]などの[[概念情報]]処理や、情動や記憶情報の符号化に関連する。実際、これらの連合野が[[脳梗塞]]などで損傷をうけると、知覚や認知機能が障害される。例えば、[[頭頂連合野]]は大脳皮質の頭頂葉にあって、空間情報を処理する領域であるが、そこが壊れると自己の身体に関わる知覚が障害される''(頭頂葉 神経心理学コレクション、医学書院)''。身体知覚(身体図式)の異常は、身体部位に関わる視覚と体性感覚フィードバックを統合する異種感覚統合機能が破壊されることで生じると考えられている。
 
 感覚統合は、大脳皮質連合野に限定された脳機能ではない。[[外側溝]]内側に畳み込まれた[[島皮質]]は、体性感覚、味覚、嗅覚を含めた特殊感覚、内臓感覚を含めた全感覚の統合に関わっている<ref name="ref1"><pubmed>8957561</pubmed></ref> <ref name="ref6"><pubmed>7174907</pubmed></ref> 。島皮質は、情動、言語、更には、身体知覚に基づいた自己意識に関わると考えられている<ref name="ref3"><pubmed>12965300</pubmed></ref> <ref name="ref10"><pubmed>19643659</pubmed></ref>。一方、臨床的な観点からは、島皮質が[[気分障害]]<ref name="ref7"><pubmed>17416488</pubmed></ref> <ref name="ref11"><pubmed>21531027</pubmed></ref>、[[神経性食欲不振症]]<ref name="ref9"><pubmed>18406432</pubmed></ref>、[[統合失調症]]<ref name="ref4"><pubmed>18486104</pubmed></ref> <ref name="ref5"><pubmed>14609882</pubmed></ref>などに関わることが示唆されている。


 感覚統合は、大脳皮質連合野に限定された脳機能ではない。[[外側溝]]内側に畳み込まれた[[島皮質]]は、体性感覚、味覚、嗅覚を含めた特殊感覚、内臓感覚を含めた全感覚の統合に関わっている<ref name="ref1"><pubmed>8957561</pubmed></ref> <ref name="ref6"><pubmed>7174907</pubmed></ref> 。島皮質は、情動、言語、更には、身体知覚に基づいた自己意識に関わると考えられている<ref name="ref3"><pubmed>12965300</pubmed></ref> <ref name="ref10"><pubmed>19643659</pubmed></ref>。一方、臨床的な観点からは、島皮質が[[気分障害]]<ref name="ref7"><pubmed>17416488</pubmed></ref> <ref name="ref11"><pubmed>21531027</pubmed></ref>、[[神経性食欲不振症]]<ref name="ref9"><pubmed>18406432</pubmed></ref>、[[統合失調症]]<ref name="ref4"><pubmed>18486104</pubmed></ref> <ref name="ref5"><pubmed>14609882</pubmed></ref>などに関わることが示唆されている。


== 参考文献  ==
== 参考文献  ==
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