「エピジェネティクス」の版間の差分

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===多様なDNA配列のメチル化===
===多様なDNA配列のメチル化===


 DNAメチル化が重要となる現象の例に、[[ゲノム刷り込み]] ([[genomic imprinting]])がある。多くの場合、父親由来の[[wikipedia:ja:染色体|染色体]]上の遺伝子と母親由来の遺伝子の発現量はほぼ等しいが、インプリンティング遺伝子の場合、一方の遺伝子は発現するもののもう一方からの発現は抑制される。これらの遺伝子は近傍に[[wikipedia:imprinting control region|imprinting control region]] (ICR) と呼ばれる領域を持つことが多く、どちらかの親由来のアレルが高メチル化、もう片親由来のアレルが低メチル化を示す[[wikipedia:differentially methylated region|differentially methylated region]] (DMR)を含む事が多い<ref><pubmed> 12869525 </pubmed></ref>。ゲノム上の[[wikipedia:ja:反復配列|反復配列]]や[[wikipedia:ja:DNA|DNA]]転移因子([[wikipedia:ja:トランスポゾン|トランスポゾン])様配列は一般的にメチル化され転写が抑制された状態にある。これは、染色体の安定化に寄与していると考えられている<ref name="ref5" />。また、[[wikipedia:ja:哺乳類|哺乳類]]における[[wikipedia:ja:遺伝子量補正|遺伝子量補正]](gene dosage compensation)の機構として、[[wikipedia:ja:女性|女性]]の2本ある[[wikipedia:ja:X染色体|X染色体]]のうちの1本は転写が不活性化([[wikipedia:X chromosome inactivation|X chromosome inactivation]])され高メチル化された状態にある<ref><pubmed> 22619385 </pubmed></ref>。不活性化されたX染色体は[[wikipedia:ja:バー小体|バー小体]](Barr body)という特徴的な構造を示す。  
 DNAメチル化が重要となる現象の例に、[[ゲノム刷り込み]] ([[genomic imprinting]])がある。多くの場合、父親由来の[[wikipedia:ja:染色体|染色体]]上の遺伝子と母親由来の遺伝子の発現量はほぼ等しいが、インプリンティング遺伝子の場合、一方の遺伝子は発現するもののもう一方からの発現は抑制される。これらの遺伝子は近傍に[[wikipedia:imprinting control region|imprinting control region]] (ICR) と呼ばれる領域を持つことが多く、どちらかの親由来のアレルが高メチル化、もう片親由来のアレルが低メチル化を示す[[wikipedia:differentially methylated region|differentially methylated region]] (DMR)を含む事が多い<ref><pubmed> 12869525 </pubmed></ref>。ゲノム上の[[wikipedia:ja:反復配列|反復配列]]や[[wikipedia:ja:転移因子|転移因子]]([[wikipedia:ja:トランスポゾン|トランスポゾン]])様配列は一般的にメチル化され転写が抑制された状態にある。これは、染色体の安定化に寄与していると考えられている<ref name="ref5" />。また、[[wikipedia:ja:哺乳類|哺乳類]]における[[wikipedia:ja:遺伝子量補正|遺伝子量補正]](gene dosage compensation)の機構として、[[wikipedia:ja:女性|女性]]の2本ある[[wikipedia:ja:X染色体|X染色体]]のうちの1本は転写が不活性化([[wikipedia:X chromosome inactivation|X chromosome inactivation]])され高メチル化された状態にある<ref><pubmed> 22619385 </pubmed></ref>。不活性化されたX染色体は[[wikipedia:ja:バー小体|バー小体]](Barr body)という特徴的な構造を示す。


===DNAメチル化と転写の制御===
===DNAメチル化と転写の制御===

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