差分

ナビゲーションに移動 検索に移動
125行目: 125行目:  
 症状改善薬は症状を緩和する効果はあるが、病態の進行を抑制しない薬を指す。多くはアセチルコリン仮説に基づいて創薬された薬物で、コリン作動性のものが多い。アセチルコリンエステラーゼ阻害剤の[[ドネペジル]]、[[ガランタミン]]、[[リバスチグミン]]、[[NMDA型グルタミン酸受容体]][[アンタゴニスト]]の[[メマンチン]]が上市されている他、アセチルコリン受容体部分アゴニストや[[セロトニン]]受容体アンタゴニストが臨床開発段階にある。
 
 症状改善薬は症状を緩和する効果はあるが、病態の進行を抑制しない薬を指す。多くはアセチルコリン仮説に基づいて創薬された薬物で、コリン作動性のものが多い。アセチルコリンエステラーゼ阻害剤の[[ドネペジル]]、[[ガランタミン]]、[[リバスチグミン]]、[[NMDA型グルタミン酸受容体]][[アンタゴニスト]]の[[メマンチン]]が上市されている他、アセチルコリン受容体部分アゴニストや[[セロトニン]]受容体アンタゴニストが臨床開発段階にある。
   −
===疾患修飾薬===
+
=== 疾患修飾薬 ===
[[ファイル:Ryokoihara-Fig2.png|thumb|350px|'''図2.アミロイドカスケード仮説とそれに基づいた創薬''']] 疾患修飾薬は病態の進行そのものを抑制あるいは遅らせる薬である。アミロイドカスケード仮説に基づいた研究開発が盛んになされている。Aβの産生抑制、Aβのクリアランス促進、蓄積したAβの除去、Aβが惹起する神経毒性からの神経細胞保護、タウを介した毒性の抑制といった作用を狙った創薬である。残念ながら2013年現在までに第III相試験が成功した薬はないが、以下これまでに[[wikipedia:ja:臨床治験|臨床治験]]に入った薬物について述べる。
     −
*'''Aβ産生阻害'''
+
[[Image:Ryokoihara-Fig2.png|thumb|350px|<b>図2.アミロイドカスケード仮説とそれに基づいた創薬</b>]] 疾患修飾薬は病態の進行そのものを抑制あるいは遅らせる薬である。アミロイドカスケード仮説に基づいた研究開発が盛んになされている。Aβの産生抑制、Aβのクリアランス促進、蓄積したAβの除去、Aβが惹起する神経毒性からの神経細胞保護、タウを介した毒性の抑制といった作用を狙った創薬である。残念ながら2013年現在までに第III相試験が成功した薬はないが、以下これまでに[[wikipedia:ja:臨床治験|臨床治験]]に入った薬物について述べる。
: γセクレターゼ阻害剤は基質である[[Notch]]を介した重大な副作用のため開発が中止され、総Aβ中のAβ42の比率を低下させるγセクレターゼ修飾薬も開発が中断されている。脳内移行性やbioavailabilityの低さへの対策からγセクレターゼより遅れたが、BACE1阻害剤が臨床開発段階にある。BACE1の全ての基質は十分に明らかになっていないが、BACE1をノックアウトしても重大な形態・機能異常を認めないことから、γセクレターゼ阻害剤ほどの副作用は出現しないと期待されている。
+
 
 +
==== Aβ産生阻害 ====
 +
 
 +
 
 +
: γセクレターゼ阻害剤は基質である[[Notch]]を介した重大な副作用のため開発が中止され、総Aβ中のAβ42の比率を低下させるγセクレターゼ修飾薬も開発が中断されている。脳内移行性やbioavailabilityの低さへの対策からγセクレターゼより遅れたが、BACE1阻害剤が臨床開発段階にある。BACE1の全ての基質は十分に明らかになっていないが、BACE1をノックアウトしても重大な形態・機能異常を認めないことから、γセクレターゼ阻害剤ほどの副作用は出現しないと期待されている。 '''Aβ除去'''
   −
*'''Aβ除去'''
   
: 抗Aβ抗体、Aβワクチンが開発されている。抗Aβ抗体は臨床開発当初に患者を対象とした際に副作用として[[wikipedia:ja:血管原性浮腫|血管原性浮腫]]を認めたことから開発が難航した。オリゴマーから凝集体まで様々な形態のAβを標的としたものが作られており、オリゴマーを標的としたものはAβの蓄積に抑制的に働き、凝集体を標的としたものは既にある老人斑の除去に働くと想定されている。Aβワクチンは抗体同様Aβ除去を狙ったものである。最初に臨床治験に入った全長Aβを用いたワクチンは6%に[[髄膜脳炎]]の副作用を認めたことから開発中止されたが、副作用軽減のためAβのN末端のワクチンが開発され、臨床治験に入っている。
 
: 抗Aβ抗体、Aβワクチンが開発されている。抗Aβ抗体は臨床開発当初に患者を対象とした際に副作用として[[wikipedia:ja:血管原性浮腫|血管原性浮腫]]を認めたことから開発が難航した。オリゴマーから凝集体まで様々な形態のAβを標的としたものが作られており、オリゴマーを標的としたものはAβの蓄積に抑制的に働き、凝集体を標的としたものは既にある老人斑の除去に働くと想定されている。Aβワクチンは抗体同様Aβ除去を狙ったものである。最初に臨床治験に入った全長Aβを用いたワクチンは6%に[[髄膜脳炎]]の副作用を認めたことから開発中止されたが、副作用軽減のためAβのN末端のワクチンが開発され、臨床治験に入っている。
   −
*'''タウ毒性の抑制'''
+
==== '''タウ毒性の抑制''' ====
 +
 
 
: タウ病理を抑制する薬物として、タウ凝集阻害剤、タウのリン酸化を担う[[GSK-3β]]の阻害剤などが開発中である。
 
: タウ病理を抑制する薬物として、タウ凝集阻害剤、タウのリン酸化を担う[[GSK-3β]]の阻害剤などが開発中である。
  

案内メニュー