「めまい」の版間の差分

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== '''めまいの治療<sup>2)</sup>'''<sup></sup> ==
== '''めまいの治療 == <ref>'''河村 満編'''<br>標準的神経治療:めまい<br>''日本神経治療学会'':2011</ref>


=== 1. 急性期対症療法  ===
=== 1. 急性期対症療法  ===


原因の如何に関わらずめまいの急性期ではベンゾジアゼピン系の抗不安薬が有効である。また鎮静効果とともに前庭神経機能抑制効果があるとされる抗ヒスタミン剤(ヒドロキシジン注射液など)も良く用いられる。世界的に本邦のみで用いられるにも関わらず、臨床現場で今もしばしば使用されているのが7%炭酸水素ナトリウム注射液の静注である。投与による血中炭酸ガスの増加にともなう末梢・中枢の血流増加がその作用機序と想定されているが、十分に解明されているとは言えない。最近、扁桃体の神経細胞に化学受容体が発現していることが報告され<sup>3)</sup>、血液が酸性に傾くと扁桃体の異常な興奮とともに不安症状が生じること、さらに血液をアルカリ性に傾けることで扁桃体の異常興奮をともなう不安症状を和らげることができることが報告されている。あるいはこうした情動面の作用も炭酸水素ナトリウム静注の作用機序の一つであるかもしれない。  
原因の如何に関わらずめまいの急性期ではベンゾジアゼピン系の抗不安薬が有効である。また鎮静効果とともに前庭神経機能抑制効果があるとされる抗ヒスタミン剤(ヒドロキシジン注射液など)も良く用いられる。世界的に本邦のみで用いられるにも関わらず、臨床現場で今もしばしば使用されているのが7%炭酸水素ナトリウム注射液の静注である。投与による血中炭酸ガスの増加にともなう末梢・中枢の血流増加がその作用機序と想定されているが、十分に解明されているとは言えない。最近、扁桃体の神経細胞に化学受容体が発現していることが報告され<ref><pubmed> 19945383 </pubmed></ref>、血液が酸性に傾くと扁桃体の異常な興奮とともに不安症状が生じること、さらに血液をアルカリ性に傾けることで扁桃体の異常興奮をともなう不安症状を和らげることができることが報告されている。あるいはこうした情動面の作用も炭酸水素ナトリウム静注の作用機序の一つであるかもしれない。  


=== 2. 慢性期対症療法  ===
=== 2. 慢性期対症療法  ===
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良性発作性頭位性眩暈ではめまい発作の原因となっている耳石断片等の浮遊物を問題部位から除去するための理学療法(Epley法など)が推奨されている。メニエール病では内リンパ水腫を改善させるためにイソソルビドなどの利尿剤やステロイド剤も用いられる。重症例には外科治療も試みられる。前庭神経炎の多くは対症療法でめまい症状の改善を図る内に軽快して行くが重症例ではやはりステロイド剤が用いられる。椎骨脳底動脈不全症では通常、脳血流改善薬を使用する。循環動態の異常に起因する場合は循環系の治療を優先する。例えば不整脈の治療、昇圧剤による低血圧の治療などを行う。  
良性発作性頭位性眩暈ではめまい発作の原因となっている耳石断片等の浮遊物を問題部位から除去するための理学療法(Epley法など)が推奨されている。メニエール病では内リンパ水腫を改善させるためにイソソルビドなどの利尿剤やステロイド剤も用いられる。重症例には外科治療も試みられる。前庭神経炎の多くは対症療法でめまい症状の改善を図る内に軽快して行くが重症例ではやはりステロイド剤が用いられる。椎骨脳底動脈不全症では通常、脳血流改善薬を使用する。循環動態の異常に起因する場合は循環系の治療を優先する。例えば不整脈の治療、昇圧剤による低血圧の治療などを行う。  


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(執筆者:武田 篤、担当編集委員: )
(執筆者:武田 篤、担当編集委員: )
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