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[[Image:サザンブロット図1.jpg|thumb|right|300px|''' | <div align="right"> | ||
<font size="+1">[http://researchmap.jp/read0204069 平林 敬浩]、[http://researchmap.jp/read0076409 八木 健]</font><br> | |||
''大阪大学大学院生命機能研究科''<br> | |||
DOI XXXX/XXXX 原稿受付日:2013年5月18日 原稿完成日:2013年5月21日<br> | |||
担当編集委員:[http://researchmap.jp/okanolab 岡野 栄之](慶應義塾大学医学部)<br> | |||
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[[Image:サザンブロット図1.jpg|thumb|right|300px|'''図1.相補性のある2本のDNA鎖は一対の2本鎖を形成する。''']] | |||
英語名:Southern blot | 英語名:Southern blot | ||
[[wikipedia:ja:遺伝的相補性|相補性]]のある2本の[[wikipedia:ja:DNA1|DNA1]] | {{box|text= [[wikipedia:ja:遺伝的相補性|相補性]]のある2本の[[wikipedia:ja:DNA1|DNA1]]本鎖は一対の2本鎖を形成するというDNAの性質(図1)を利用して、ある特定の[[wikipedia:ja:塩基配列|塩基配列]]を有するDNA断片を検出する方法である。電気泳動を用いた分画により、検出するDNAの鎖長を明らかにすることが可能である。E. M. Southernが考案した<ref><pubmed> 1195397 </pubmed></ref>ためにこの名が付けられた。 | ||
}} | |||
== 手順 == | == 手順 == | ||
[[Image:サザンブロット図2修正.jpg|thumb|right|300px|''' | [[Image:サザンブロット図2修正.jpg|thumb|right|300px|'''図2.サザンブロットの手順''']] | ||
本法の手順を図2に示す。 | |||
#制限酵素によるDNAの配列選択的切断処理<br> この際にメチル化感受性制限酵素と非[[wikipedia:ja:DNAメチル化|メチル化]]感受性[[wikipedia:ja:制限酵素|制限酵素]]を組み合わせて使用することで後述に示すDNAメチル化状態の解析が出来る。 | #制限酵素によるDNAの配列選択的切断処理<br> この際にメチル化感受性制限酵素と非[[wikipedia:ja:DNAメチル化|メチル化]]感受性[[wikipedia:ja:制限酵素|制限酵素]]を組み合わせて使用することで後述に示すDNAメチル化状態の解析が出来る。 | ||
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基本原理、手順ともに両者に大きな相違はないが、[[ノーザンブロット]]は検出する対象がDNAではなくRNAであること、さらにRNAは1本鎖であるために泳動後のアガロースゲルを塩基性 溶液で処理する必要がないことである。なお、サザンブロットは考案者の名前から命名されているため、英文では大文字から表記される (Southern blot)が、ノーザンブロットはサザンブロットに対する「洒落」で命名されているため小文字から表記 (northern blot)される。これは[[wikipedia:ja:抗体|抗体]]を用いて[[wikipedia:ja:SDS-PAGE|SDS-PAGE]]後のタンパク質を検出する[[ウェスタンブロット]] (western blot)においても同様である。 | 基本原理、手順ともに両者に大きな相違はないが、[[ノーザンブロット]]は検出する対象がDNAではなくRNAであること、さらにRNAは1本鎖であるために泳動後のアガロースゲルを塩基性 溶液で処理する必要がないことである。なお、サザンブロットは考案者の名前から命名されているため、英文では大文字から表記される (Southern blot)が、ノーザンブロットはサザンブロットに対する「洒落」で命名されているため小文字から表記 (northern blot)される。これは[[wikipedia:ja:抗体|抗体]]を用いて[[wikipedia:ja:SDS-PAGE|SDS-PAGE]]後のタンパク質を検出する[[ウェスタンブロット]] (western blot)においても同様である。 | ||
[[Image:サザンブロット図3修正.jpg|thumb|right|300px|''' | [[Image:サザンブロット図3修正.jpg|thumb|right|300px|'''図3.サザンブロットにより遺伝子変異の検出例''']] | ||
[[Image:サザンブロット図4.jpg|thumb|right|300px|''' | [[Image:サザンブロット図4.jpg|thumb|right|300px|'''図4.サザンブロットによるDNAメチル化状態の解析例''']] | ||
== 使用例 == | == 使用例 == | ||
=== 遺伝子変異の検出 === | === 遺伝子変異の検出 === | ||
サザンブロットにより検出されるバンドの大きさの変化で遺伝子の変異を検出することが出来る。例えば[[遺伝子改変動物]]を[[ジーンターゲティング法]] | サザンブロットにより検出されるバンドの大きさの変化で遺伝子の変異を検出することが出来る。例えば[[遺伝子改変動物]]を[[ジーンターゲティング法]]で作製した場合には、そのバンドの大きさで遺伝子型(野生型、ヘテロ、ホモ)の判別に用いられる(図3)。 | ||
=== DNAメチル化状態の解析 === | === DNAメチル化状態の解析 === | ||
[[wikipedia:ja:ゲノム|ゲノム]]DNAメチル化は遺伝子発現における調節因子であるため、その解析は遺伝子発現制御の分野では重要である。 制限酵素[[wikipedia:List_of_restriction_enzyme_cutting_sites:_G-K#H|HpaII]]と[[wikipedia:List_of_restriction_enzyme_cutting_sites:_L-N#M|MspI]]は同じ5'- CCGG - 3'を認識し切断するが、メチル化感受性制限酵素であるHpaIIは2番目のCがメチル化された配列 (5'- CmCGG - 3') | [[wikipedia:ja:ゲノム|ゲノム]]DNAメチル化は遺伝子発現における調節因子であるため、その解析は遺伝子発現制御の分野では重要である。 制限酵素[[wikipedia:List_of_restriction_enzyme_cutting_sites:_G-K#H|HpaII]]と[[wikipedia:List_of_restriction_enzyme_cutting_sites:_L-N#M|MspI]]は同じ5'- CCGG - 3'を認識し切断するが、メチル化感受性制限酵素であるHpaIIは2番目のCがメチル化された配列 (5'- CmCGG - 3')は切断することが出来ない。一方MspIはメチル化状態にかかわらず切断することが出来る。そこで、これらの制限酵素を利用したサザンブロットで特定のCpG配列のメチル化状態を調べることが出来る(図4)。 | ||
== 関連項目 == | == 関連項目 == | ||
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== 参考文献 == | == 参考文献 == | ||
<references /> | <references /> | ||