「In situハイブリダイゼーション法」の版間の差分

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<font size="+1">[http://researchmap.jp/ohuchihideyo 大内 淑代]</font><br>
''岡山大学 大学院医歯薬学総合研究科細胞組織学分野''<br>
DOI XXXX/XXXX 原稿受付日:2012年7月12日 原稿完成日:2013年3月25日<br>
担当編集委員:[http://researchmap.jp/noriko1128 大隅 典子](東北大学 大学院医学系研究科 附属創生応用医学研究センター 脳神経科学コアセンター 発生発達神経科学分野)<br>
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[[Image:In situハイブリダイゼーション法1A.png|thumb|300px|'''図1A.ISHの実験例'''<br>組織切片ISH(トリ胚網膜、opsin 5、青い点状のシグナルがmRNA発現細胞、右はセンスプローブによる陰性コントロール)<br>発色基質:NBT, BCIP]]
[[Image:In situハイブリダイゼーション法1A.png|thumb|300px|'''図1A.ISHの実験例'''<br>組織切片ISH(トリ胚網膜、opsin 5、青い点状のシグナルがmRNA発現細胞、右はセンスプローブによる陰性コントロール)<br>発色基質:NBT, BCIP]]


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英:''in situ'' hybridization 独:''In situ''-Hybridisierung 仏:hybridation in situ
英:''in situ'' hybridization 独:''In situ''-Hybridisierung 仏:hybridation in situ


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 ''In situ''とは”原位置で”という意味で、''in situ''ハイブリダイゼーション(''in situ'' hybridization: ISH)とは原位置でのハイブリダイゼーション(後述)ということである。ISH法には、[[wikipedia:ja:染色体|染色体]]ISHと組織切片ISH、ホールマウントISH (whole-mount ISH: WISH) がある<ref>'''野地澄晴編'''<br>免疫染色&''in situ''ハイブリダイゼーション<br>''羊土社''、東京、2006</ref><ref>'''D.G. Wilkinson'''<br>In Situ Hybridization, A Practical Approach, 2nd Edition<br>''Oxford University Press'', Oxford, 1999</ref>。染色体ISH法は、染色体における目的遺伝子の[[wikipedia:ja:遺伝子座|遺伝子座]]を明らかにし、染色体異常を検出することができる。組織ISH法は、組織切片を用いて遺伝子発現の第一段階である[[wikipedia:ja:mRNA|mRNA]]の局在を細胞レベルで明らかにする。[[wikipedia:ja:病理|病理]]組織から[[wikipedia:ja:ウイルス|ウイルス]][[wikipedia:ja:ゲノム|ゲノム]]を検出し、ウイルス感染の診断に用いられることもある。また、胚や器官の一部などを丸ごと用いるISH法を、ホールマウントISH(WISH)という。実験例を図1に示す。遺伝子発現部位の三次元的な情報を得た後で、細胞レベルで遺伝子発現部位を同定しなければならない場合は、WISH後の胚などの組織切片を作製する。図2に、組織切片を用いた''in situ''ハイブリダイゼーション法の工程を模式的に示す。ISHは、細胞内mRNAの局在を明らかにする実験であるので、分解されやすいRNAをいかに分解させずに実験を行うかが重要である。
 ''In situ''とは”原位置で”という意味で、''in situ''ハイブリダイゼーション(''in situ'' hybridization: ISH)とは原位置でのハイブリダイゼーション(後述)ということである。ISH法には、[[wikipedia:ja:染色体|染色体]]ISHと組織切片ISH、ホールマウントISH (whole-mount ISH: WISH) がある<ref>'''野地澄晴編'''<br>免疫染色&''in situ''ハイブリダイゼーション<br>''羊土社''、東京、2006</ref><ref>'''D.G. Wilkinson'''<br>In Situ Hybridization, A Practical Approach, 2nd Edition<br>''Oxford University Press'', Oxford, 1999</ref>。染色体ISH法は、染色体における目的遺伝子の[[wikipedia:ja:遺伝子座|遺伝子座]]を明らかにし、染色体異常を検出することができる。組織ISH法は、組織切片を用いて遺伝子発現の第一段階である[[wikipedia:ja:mRNA|mRNA]]の局在を細胞レベルで明らかにする。[[wikipedia:ja:病理|病理]]組織から[[wikipedia:ja:ウイルス|ウイルス]][[wikipedia:ja:ゲノム|ゲノム]]を検出し、ウイルス感染の診断に用いられることもある。また、胚や器官の一部などを丸ごと用いるISH法を、ホールマウントISH(WISH)という。実験例を図1に示す。遺伝子発現部位の三次元的な情報を得た後で、細胞レベルで遺伝子発現部位を同定しなければならない場合は、WISH後の胚などの組織切片を作製する。図2に、組織切片を用いた''in situ''ハイブリダイゼーション法の工程を模式的に示す。ISHは、細胞内mRNAの局在を明らかにする実験であるので、分解されやすいRNAをいかに分解させずに実験を行うかが重要である。
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== ''In situ''ハイブリダイゼーション法の各工程 ==
== ''In situ''ハイブリダイゼーション法の各工程 ==
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== 参考文献 ==
== 参考文献 ==
<references />
<references />
(執筆者:大内淑代 担当編集委員:大隅典子)

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