「操作的診断基準(精神疾患の)」の版間の差分

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<font size="+1">[http://researchmap.jp/read0018809 塩入 俊樹]</font><br>
''岐阜大学 精神科''<br>
DOI XXXX/XXXX 原稿受付日:2012年3月28日 原稿完成日:2013年1月17日<br>
担当編集委員:[http://researchmap.jp/tadafumikato 加藤 忠史](独立行政法人理化学研究所 脳科学総合研究センター)<br>
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英語名:operational diagnostic criteria
英語名:operational diagnostic criteria


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 操作的診断基準は、原因不明なため、検査法がなく、臨床症状に依存して診断せざるを得ない精神疾患に対し、信頼性の高い診断を与えるために、明確な基準を設けた診断基準である。操作的診断基準を用いて均一の患者群を抽出することによって、病態解明の研究や疫学調査を推進することに加え、治療成績や転帰の比較検討を可能にするといった意義がある。
 操作的診断基準は、原因不明なため、検査法がなく、臨床症状に依存して診断せざるを得ない精神疾患に対し、信頼性の高い診断を与えるために、明確な基準を設けた診断基準である。操作的診断基準を用いて均一の患者群を抽出することによって、病態解明の研究や疫学調査を推進することに加え、治療成績や転帰の比較検討を可能にするといった意義がある。
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== 操作的診断基準の意義 ==  
== 操作的診断基準の意義 ==  
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 疾患分類には、カテゴリー的(categorical)分類とディメンション(dimensional)方式がある。前者は現在DSM-ⅣやICD-10で主に用いられ、精神疾患を定義する特徴を記した基準の組み合わせに基づいて病型に分ける、つまり、臨床症状を各カテゴリーによって割り付けるものである。しかしながらこの分類方式は、①分類された一群が均一である時、②各分類間の境界が明確である時、そして③他の分類とは相互背反的である時、最も有効なため、そもそも精神疾患での使用には限界がある。一方、ディメンション方式は、各要素の数量化に基づいて分類し、分散が連続的で明瞭な境界線を持たない現象の記述に最も適する。つまり、ディメンジョン方式は、症状の重症度を“症状なし”から“重度”まで評価することで、カテゴリー方式では閾値以下であった臨床的特徴も記述でき、個々の患者へのより適切な治療を提供できるかもしれない。一方で、数量的なディメンション式記述はカテゴリー式病名に比べ、はるかになじみのないことや生き生きとした描写にも欠ける等の欠点もある。したがって、どちらが精神疾患の分類に適しているかはまだ合意がなされていない。なお、2010年2月に発表された[[DSM-5]]のドラフト(案)では、新たにディメンジョン要素を追加するために、[[抑うつ]]、[[不安]]、[[睡眠]]、[[自殺]]等を横断的に評価する患者自己記入尺度の導入も提案されているものの、基本的には従来のカテゴリー診断アプローチを踏襲している。
 疾患分類には、カテゴリー的(categorical)分類とディメンション(dimensional)方式がある。前者は現在DSM-ⅣやICD-10で主に用いられ、精神疾患を定義する特徴を記した基準の組み合わせに基づいて病型に分ける、つまり、臨床症状を各カテゴリーによって割り付けるものである。しかしながらこの分類方式は、①分類された一群が均一である時、②各分類間の境界が明確である時、そして③他の分類とは相互背反的である時、最も有効なため、そもそも精神疾患での使用には限界がある。一方、ディメンション方式は、各要素の数量化に基づいて分類し、分散が連続的で明瞭な境界線を持たない現象の記述に最も適する。つまり、ディメンジョン方式は、症状の重症度を“症状なし”から“重度”まで評価することで、カテゴリー方式では閾値以下であった臨床的特徴も記述でき、個々の患者へのより適切な治療を提供できるかもしれない。一方で、数量的なディメンション式記述はカテゴリー式病名に比べ、はるかになじみのないことや生き生きとした描写にも欠ける等の欠点もある。したがって、どちらが精神疾患の分類に適しているかはまだ合意がなされていない。なお、2010年2月に発表された[[DSM-5]]のドラフト(案)では、新たにディメンジョン要素を追加するために、[[抑うつ]]、[[不安]]、[[睡眠]]、[[自殺]]等を横断的に評価する患者自己記入尺度の導入も提案されているものの、基本的には従来のカテゴリー診断アプローチを踏襲している。
(執筆者:塩入俊樹  担当編集者:加藤忠史)

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