「無意識」の版間の差分

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== 歴史的変遷 ==
== 歴史的変遷 ==


 無意識・[[潜在意識]]の(あるいはその他の類似する)概念は古来からあったものの、学術的かつ日常的な単語として一般的に広がるきっかけの一つとなったのは、[[wikipedia:Ja:ジークムント・フロイト|Freud]]であると言われている<ref name=ref2>'''竹田青嗣, 山竹伸二''' 『フロイト思想を読む―無意識の哲学』''日本放送出版協会NHKブックス'', 2008年</ref>。自分の[[行動]]・[[認知]]・[[思考]]が自分の知り得ない過程によって影響を受けているという考え方は、あらゆる学問分野に影響を与えた。心理学・行動科学においては、[[wj:ジョン・ワトソン (心理学)|Watson]]や[[wj:バラス・スキナー|Skinner]]らの行動主義心理学が心的過程を観測不能なものとし、特に主観的意識を研究から積極的に排除することを目指したが<ref name=ref3>'''Burrhus F. Skinner''' Walden Two, ''Hackett Publishing Company'', 1948. <br> (宇津木保訳,『心理学的ユートピア』, ''誠信書房'', 1969年)</ref>、それに対する部分的な批判としての情報処理心理学・認知心理学<ref name=ref4>'''Ulric Neisser''' Cognitive Psychology ''Appleton-Century-Crofts'', New York, 1967<br>(大羽蓁訳, 『認知心理学』, ''誠信書房", 1987)</ref>の台頭は、再び心的過程(意識)を研究の対象とすることを可能にし、必然的に無意識も研究の俎上にのせられることとなった。
 無意識・[[潜在意識]]の(あるいはその他の類似する)概念は古来からあったものの、学術的かつ日常的な単語として一般的に広がるきっかけの一つとなったのは、[[wikipedia:Ja:ジークムント・フロイト|Freud]]であると言われている<ref name=ref2>'''竹田青嗣, 山竹伸二''' 『フロイト思想を読む―無意識の哲学』''日本放送出版協会NHKブックス'', 2008年</ref>。自分の[[行動]]・[[認知]]・[[思考]]が自分の知り得ない過程によって影響を受けているという考え方は、あらゆる学問分野に影響を与えた。心理学・行動科学においては、[[wj:ジョン・ワトソン (心理学)|Watson]]や[[wj:バラス・スキナー|Skinner]]らの行動主義心理学が心的過程を観測不能なものとし、特に主観的意識を研究から積極的に排除することを目指したが<ref name=ref3>'''Burrhus F. Skinner''' Walden Two, ''Hackett Publishing Company'', 1948. <br> (宇津木保訳,『心理学的ユートピア』, ''誠信書房'', 1969年)</ref>、それに対する部分的な批判としての情報処理心理学・認知心理学<ref name=ref4>'''Ulric Neisser''' Cognitive Psychology''Appleton-Century-Crofts'', New York, 1967<br>(大羽蓁訳, 『認知心理学』, ''誠信書房", 1987)</ref>の台頭は、再び心的過程(意識)を研究の対象とすることを可能にし、必然的に無意識も研究の俎上にのせられることとなった。


== 無意識と観察者 ==
== 無意識と観察者 ==
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== 内容の無意識性/関係性の無意識性/過程の無意識性 ==
== 内容の無意識性/関係性の無意識性/過程の無意識性 ==


 気づき(awareness)を心理物理学的に計測するときには[[閾値]]が使われることが多いが、[[閾下知覚]](subliminal [[perception]])や[[盲視]]([[blindsight]])のような現象に見られるように、意識にのぼらなかったコンテンツ(内容)の影響が、行動や他の判断などに現れることがある<ref name=ref5>'''下條信輔''', 『サブリミナル・マインド—潜在的人間観のゆくえ』, ''中央公論社'', 1996</ref>。この場合無意識的なのは刺激の内容ということになるが、多くの場合、気づかれなかった内容が行動に判断に影響を与えているという関係性にも、またそれが「なぜ/どのように」影響を与えているのかというプロセス(過程)も意識されず、主に判断や行動の結果のみが意識上に現れる事態も多い。日常生活における多くの複雑な判断(感性判断・好みの判断など)においては、内容の無意識性よりも、関係性・過程の無意識性に関連する現象が多く存在する<ref name=ref6>'''Nisbett, R. & Wilson, T.''' Telling More than we can Know: Verbal reports on mental processes.''Psychological Review'', 84, 231-259. 1977</ref>。
 気づき(awareness)を心理物理学的に計測するときには[[閾値]]が使われることが多いが、[[閾下知覚]](subliminal [[perception]])や[[盲視]]([[blindsight]])のような現象に見られるように、意識にのぼらなかったコンテンツ(内容)の影響が、行動や他の判断などに現れることがある<ref name=ref5>'''下條信輔''', 『サブリミナル・マインド—潜在的人間観のゆくえ』 ''中央公論社'', 1996</ref>。この場合無意識的なのは刺激の内容ということになるが、多くの場合、気づかれなかった内容が行動に判断に影響を与えているという関係性にも、またそれが「なぜ/どのように」影響を与えているのかというプロセス(過程)も意識されず、主に判断や行動の結果のみが意識上に現れる事態も多い。日常生活における多くの複雑な判断(感性判断・好みの判断など)においては、内容の無意識性よりも、関係性・過程の無意識性に関連する現象が多く存在する<ref name=ref6>'''Nisbett, R. & Wilson, T.''' Telling More than we can Know: Verbal reports on mental processes.''Psychological Review'', 84, 231-259. 1977</ref>。


== 関連項目 ==
== 関連項目 ==
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