「脊髄の発生」の版間の差分

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(執筆者:高橋将文、担当編集委員:大隅典子)
<font size="+1">[http://researchmap.jp/mtaka 高橋 将文]</font><br>
''自治医科大学 分子病態治療研究センター 細胞生物研究部''<br>
DOI XXXX/XXXX 原稿受付日:2013年7月28日 原稿完成日:2013年月日<br>
担当編集委員:[http://researchmap.jp/noriko1128 大隅 典子](東北大学 大学院医学系研究科 附属創生応用医学研究センター 脳神経科学コアセンター 発生発達神経科学分野)<br>
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英語名:spinal cord development
英語名:spinal cord development
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== ニューロンの発生 ==
== ニューロンの発生 ==
[[image:脊髄図2.jpg|thumb|350px|'''図2.脊髄神経管のパターニングとニューロンサブタイプ'''<br>(A) 脳室帯における前駆細胞ドメインの形成と各ドメインから派生するニューロンサブタイプ<br>(B)前駆細胞ドメインに発現する転写因子。]]
[[image:脊髄図2.jpg|thumb|350px|'''図2.脊髄神経管のパターニングとニューロンサブタイプ'''<br>(A) 脳室帯における前駆細胞ドメインの形成と各ドメインから派生するニューロンサブタイプ<br>(B) 前駆細胞ドメインに発現する転写因子。]]


 脳室帯の腹側領域からは運動ニューロンと介在ニューロンが発生し、脳室帯の背側領域からは介在ニューロンが発生する。これらのニューロンには機能が異なるサブタイプが存在する[1](図2)。は、脳室帯には、底板から[[分泌]]されるソニックヘッジホッグ(Shh) [2]の濃度勾配が形成され、その情報にしたがって、様々な転写因子が決められた場所に発現する。たとえば、SHHは脳室帯の細胞にNkx2.2, Olig2, Nkx6.1, Nkx6.2の発現を誘導し、[[PAX6|Pax6]], Irx3, Dbx1, Dbx2の発現を抑制する[3, 4]。対になって発現する遺伝子間には相互抑制作用が働き、発現境界により区分される前駆細胞ドメイン(progenitor domain)が形成される[3](図2)。各ドメインにおける転写因子の発現の組み合わせが、ニューロンに個性を与える。一方、神経管の背側領域のニューロンのサブタイプ決定には、蓋板から分泌される[[BMP]]や[[WNT|Wnt]]タンパク質の濃度勾配が関与し、決められた前駆細胞ドメインから、異なる種類のニューロンが生みだされる(図3) [5]。また、神経管の中間領域の前駆細胞の特異化には、神経管に隣接する体節から分泌されるレチノイン酸の作用も重要である [6]。
 脳室帯の腹側領域からは運動ニューロンと介在ニューロンが発生し、脳室帯の背側領域からは介在ニューロンが発生する。これらのニューロンには機能が異なるサブタイプが存在する[1](図2)。は、脳室帯には、底板から[[分泌]]されるソニックヘッジホッグ(Shh) [2]の濃度勾配が形成され、その情報にしたがって、様々な転写因子が決められた場所に発現する。たとえば、SHHは脳室帯の細胞にNkx2.2, Olig2, Nkx6.1, Nkx6.2の発現を誘導し、[[PAX6|Pax6]], Irx3, Dbx1, Dbx2の発現を抑制する[3, 4]。対になって発現する遺伝子間には相互抑制作用が働き、発現境界により区分される前駆細胞ドメイン(progenitor domain)が形成される[3](図2)。各ドメインにおける転写因子の発現の組み合わせが、ニューロンに個性を与える。一方、神経管の背側領域のニューロンのサブタイプ決定には、蓋板から分泌される[[BMP]]や[[WNT|Wnt]]タンパク質の濃度勾配が関与し、決められた前駆細胞ドメインから、異なる種類のニューロンが生みだされる(図3) [5]。また、神経管の中間領域の前駆細胞の特異化には、神経管に隣接する体節から分泌されるレチノイン酸の作用も重要である [6]。

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