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Light/dark transition test | Light/dark transition test | ||
マウスが新奇環境下で探索行動を行う性質と、明るい環境を避ける性質とを利用し、不安様行動を評価するテスト。抗不安薬のスクリーニングを行うテストとして開発され、広く使われている<ref name=ref21><pubmed></pubmed></ref>。明箱と暗箱を連結させた装置にマウスを入れ、明箱と暗箱にそれぞれ滞在していた時間と移動距離、明箱と暗箱を行き来した回数、最初に明箱に入るまでの潜時などを測定する<ref name=ref22><pubmed></pubmed></ref>。明箱と暗箱間の移動回数、明箱での滞在時間が不安様行動の指標としてよく使われる。移動回数が多く、明箱での滞在時間が長ければ不安様行動の低下が、逆に移動回数が少なく、明箱での滞在時間が短ければ不安様行動の増加が示唆される。 | マウスが新奇環境下で探索行動を行う性質と、明るい環境を避ける性質とを利用し、不安様行動を評価するテスト。抗不安薬のスクリーニングを行うテストとして開発され、広く使われている<ref name=ref21><pubmed>6106204</pubmed></ref>。明箱と暗箱を連結させた装置にマウスを入れ、明箱と暗箱にそれぞれ滞在していた時間と移動距離、明箱と暗箱を行き来した回数、最初に明箱に入るまでの潜時などを測定する<ref name=ref22><pubmed>18704188</pubmed></ref>。明箱と暗箱間の移動回数、明箱での滞在時間が不安様行動の指標としてよく使われる。移動回数が多く、明箱での滞在時間が長ければ不安様行動の低下が、逆に移動回数が少なく、明箱での滞在時間が短ければ不安様行動の増加が示唆される。 | ||
====高架式十字迷路テスト==== | ====高架式十字迷路テスト==== | ||
Elevated plus maze test | Elevated plus maze test | ||
マウスが壁際を好み、高所を避けるという性質を利用した不安様行動のテスト。自発的交替課題を行うためのY字迷路を高架式にし、壁を持つアーム(クローズドアーム)と壁のないアーム(オープンアーム)を組み合わせ、それぞれのアームへの進入回数から不安様行動を評価した<ref name=ref23><pubmed></pubmed></ref>ものが原型となっている。その後、装置や測定指標の改良を経て、1985 年にPellow らが高架式十字迷路テストとして発表した<ref name=ref24><pubmed></pubmed></ref>。高架式十字迷路では、クローズドアームとオープンアームとを十字に組み合わせた迷路にマウスを置き自由に探索させ、それぞれのアームに滞在していた時間や入った回数、移動距離などを測定する<ref name=ref25><pubmed></pubmed></ref>。アームへの進入回数およびアーム上の滞在時間を絶対値のまま指標とするとこれらの値は活動性に影響を受けやすいので、オープンアームに対する数値とクローズドアームに対する数値とで比をとって指標にすることが多い。オープンアームに対する進入回数および滞在時間が増加していれば不安様行動の低下が、逆にそれらが低下していれば不安様行動の増加が示唆される。高架式十字迷路テストで測定される不安様行動は、ベンゾジアゼピン系抗不安薬やアドレナリンα受容体関連薬物などの薬剤に対する反応性から妥当性が行動薬理学的に示されている<ref name=ref24 /> <ref name=ref26><pubmed></pubmed></ref>。その他にも、オープンアーム滞在中の血中コルチコステロン濃度の上昇<ref name=ref24 /> <ref name=ref27><pubmed></pubmed></ref>や脱糞の増加<ref name=ref24 />などの生理学的指標の変化も報告されている。このため、高架式十字迷路テストは、ヒトにおける不安に類似した行動を評価していると考えられており、 抗不安薬のスクリーニングによく使われている<ref name=ref28><pubmed></pubmed></ref>。 | マウスが壁際を好み、高所を避けるという性質を利用した不安様行動のテスト。自発的交替課題を行うためのY字迷路を高架式にし、壁を持つアーム(クローズドアーム)と壁のないアーム(オープンアーム)を組み合わせ、それぞれのアームへの進入回数から不安様行動を評価した<ref name=ref23><pubmed>13252152</pubmed></ref>ものが原型となっている。その後、装置や測定指標の改良を経て、1985 年にPellow らが高架式十字迷路テストとして発表した<ref name=ref24><pubmed>2864480</pubmed></ref>。高架式十字迷路では、クローズドアームとオープンアームとを十字に組み合わせた迷路にマウスを置き自由に探索させ、それぞれのアームに滞在していた時間や入った回数、移動距離などを測定する<ref name=ref25><pubmed>19229173</pubmed></ref>。アームへの進入回数およびアーム上の滞在時間を絶対値のまま指標とするとこれらの値は活動性に影響を受けやすいので、オープンアームに対する数値とクローズドアームに対する数値とで比をとって指標にすることが多い。オープンアームに対する進入回数および滞在時間が増加していれば不安様行動の低下が、逆にそれらが低下していれば不安様行動の増加が示唆される。高架式十字迷路テストで測定される不安様行動は、ベンゾジアゼピン系抗不安薬やアドレナリンα受容体関連薬物などの薬剤に対する反応性から妥当性が行動薬理学的に示されている<ref name=ref24 /> <ref name=ref26><pubmed>3110839</pubmed></ref>。その他にも、オープンアーム滞在中の血中コルチコステロン濃度の上昇<ref name=ref24 /> <ref name=ref27><pubmed>7862873</pubmed></ref>や脱糞の増加<ref name=ref24 />などの生理学的指標の変化も報告されている。このため、高架式十字迷路テストは、ヒトにおける不安に類似した行動を評価していると考えられており、 抗不安薬のスクリーニングによく使われている<ref name=ref28><pubmed>6149466</pubmed></ref>。 | ||
明暗選択テスト (項目3.3.1) と高架式十字迷路テスト (項目3.3.2) はともに不安様行動を測定する代表的なテストである。それぞれのテストで測定される行動を引き起こしている要因には共通しているものがあるが、一方で異なる要因もあり、この2つのテストで得られる結果から推測される不安様行動の増減が常に同じ方向であるとは限らない。実際、遺伝子改変マウスの行動表現型では双方で不安様行動が低下あるいは亢進している場合もあるが、片方のテストでだけ不安様行動の増減が見られたり<ref name=ref29><pubmed></pubmed></ref> <ref name=ref30><pubmed></pubmed></ref>、あるいは2つのテストで不安様行動について一方のテストでは低下し、他方では増加しているといった逆方向<ref name=ref19 /> <ref name=ref31><pubmed></pubmed></ref>の表現型が得られることもある。 | 明暗選択テスト (項目3.3.1) と高架式十字迷路テスト (項目3.3.2) はともに不安様行動を測定する代表的なテストである。それぞれのテストで測定される行動を引き起こしている要因には共通しているものがあるが、一方で異なる要因もあり、この2つのテストで得られる結果から推測される不安様行動の増減が常に同じ方向であるとは限らない。実際、遺伝子改変マウスの行動表現型では双方で不安様行動が低下あるいは亢進している場合もあるが、片方のテストでだけ不安様行動の増減が見られたり<ref name=ref29><pubmed>18958194</pubmed></ref> <ref name=ref30><pubmed>23060763</pubmed></ref>、あるいは2つのテストで不安様行動について一方のテストでは低下し、他方では増加しているといった逆方向<ref name=ref19 /> <ref name=ref31><pubmed>23268962</pubmed></ref>の表現型が得られることもある。 | ||
===うつ様行動=== | ===うつ様行動=== | ||
158行目: | 158行目: | ||
Porsolt forced swim test | Porsolt forced swim test | ||
回避ができない環境で強制的に泳がされたマウスが学習性無力感によって遊泳しなくなることを利用したうつ様行動のテスト。水を入れた円筒形の容器にマウスを入れ、無動状態の時間を測定する<ref name=ref32><pubmed></pubmed></ref>。水に入れた直後、マウスは脱出しようと動き回るが、次第に遊泳しなくなり動かない時間(無動時間)が増える。抗うつ薬を投与すると無動時間が減少する<ref name=ref32 />ことから、無動時間の長さがうつ様行動の指標とされている。無動時間が長ければうつ様行動の増加が、短ければ減少が示唆される。 | 回避ができない環境で強制的に泳がされたマウスが学習性無力感によって遊泳しなくなることを利用したうつ様行動のテスト。水を入れた円筒形の容器にマウスを入れ、無動状態の時間を測定する<ref name=ref32><pubmed>204499</pubmed></ref>。水に入れた直後、マウスは脱出しようと動き回るが、次第に遊泳しなくなり動かない時間(無動時間)が増える。抗うつ薬を投与すると無動時間が減少する<ref name=ref32 />ことから、無動時間の長さがうつ様行動の指標とされている。無動時間が長ければうつ様行動の増加が、短ければ減少が示唆される。 | ||
====尾懸垂テスト==== | ====尾懸垂テスト==== | ||
Tail suspension test | Tail suspension test | ||
逆さ向きに吊されたマウスが学習性無力感によって動かなくなることを利用したうつ様行動のテスト。マウスを尻尾から逆さに吊るし、無動時間を測定する<ref name=ref33><pubmed></pubmed></ref>。吊されたマウスは脱出しようと動き回るが、次第に動かない時間が増えてくる。このテストでも抗うつ薬を投与すると無動時間が減少する<ref name=ref33 />ことから、無動時間の長さがうつ様行動の指標とされている。 | 逆さ向きに吊されたマウスが学習性無力感によって動かなくなることを利用したうつ様行動のテスト。マウスを尻尾から逆さに吊るし、無動時間を測定する<ref name=ref33><pubmed>15890404</pubmed></ref>。吊されたマウスは脱出しようと動き回るが、次第に動かない時間が増えてくる。このテストでも抗うつ薬を投与すると無動時間が減少する<ref name=ref33 />ことから、無動時間の長さがうつ様行動の指標とされている。 | ||
先述した不安様行動テストの場合と同様に、うつ様行動の代表的な2つのテストであるポーソルト強制水泳テスト (項目 3.4.1) と尾懸垂テスト (項目 3.4.2) でも、それぞれのテストで測定される行動の背景には共通の要因と個別に異なる要因とがある。そのため同じ遺伝子改変マウスに2つのテストを行った場合に、両方でうつ様行動の増減が同方向にみられる<ref name=ref34><pubmed></pubmed></ref>こともあれば一方ではうつ様行動が増加、他方では減少というように逆方向になることもある<ref name=ref31 />。ポーソルト強制水泳テストと尾懸垂テストは、ともに抗うつ剤の評価およびスクリーニングによく使われている。抗うつ薬の臨床における治療効果は、長期間の服用ではじめて得られるとされているが、げっ歯類を用いたこれらの実験では急性投与での効果のみが評価さていれるという問題が指摘されている<ref name=ref35><pubmed></pubmed></ref>。 | 先述した不安様行動テストの場合と同様に、うつ様行動の代表的な2つのテストであるポーソルト強制水泳テスト (項目 3.4.1) と尾懸垂テスト (項目 3.4.2) でも、それぞれのテストで測定される行動の背景には共通の要因と個別に異なる要因とがある。そのため同じ遺伝子改変マウスに2つのテストを行った場合に、両方でうつ様行動の増減が同方向にみられる<ref name=ref34><pubmed>23300874</pubmed></ref>こともあれば一方ではうつ様行動が増加、他方では減少というように逆方向になることもある<ref name=ref31 />。ポーソルト強制水泳テストと尾懸垂テストは、ともに抗うつ剤の評価およびスクリーニングによく使われている。抗うつ薬の臨床における治療効果は、長期間の服用ではじめて得られるとされているが、げっ歯類を用いたこれらの実験では急性投与での効果のみが評価さていれるという問題が指摘されている<ref name=ref35><pubmed>11931738</pubmed></ref>。 | ||
===学習・記憶=== | ===学習・記憶=== | ||
175行目: | 175行目: | ||
Morris water maze test | Morris water maze test | ||
水を張った円形のプール内で、水面下に設置されたプラットフォーム(逃避台)をマウスに泳いで探索させることで空間記憶を測定するテスト<ref name=ref36>< | 水を張った円形のプール内で、水面下に設置されたプラットフォーム(逃避台)をマウスに泳いで探索させることで空間記憶を測定するテスト<ref name=ref36>'''Morris, R. G. M.'''<br>Spatial localization does not require the presence of local cues. <br>''Learn. Motiv.'' 12, 239–260 (1981).</ref>。水からの逃避が動機づけとなっており、マウスは迷路外にある視覚的手がかりを利用してプラットフォームを 探索する。プールの大きさは施設やプロトコルによって異なるが、直径80〜200cm、高さ30〜50cm のものが使われることが多い。プール内の水は白色の塗料やスキムミルク、酸化チタンなどを用いて白濁させ、水面下のプラットフォームをマウスに対して不可視化する。一般的に用いられる方法では、最初にマウスをプールとプラットフォームに慣らせるために visible platform task を行う。この課題では、プラットフォームにマウスが目視できる旗やオブジェクトなどの目印をつけるか、プラットフォームそのものが水面より上になるように設置し、被験体の水泳能力や視覚能力を評価する。プラットフォームの位置は試行毎にランダムに設定される。Visible platform task での成績に特に異常が見られなければ、次にプラットフォームを不可視にしてその位置を探索・学習させるhidden platform task を行う。通常、訓練の初期はランダムにプラットフォームの位置を探索するか、接触走性 (Thigmotaxis) によって壁に沿って泳いでプラットフォームにたどり着くことが多いが、訓練が進むにしたがって直接プラットフォームのある方向へ泳ぐようになる。接触走性によって迷路外の刺激を使わずに壁に沿って探索する戦略が固定してしまうとこのテストでの空間記憶の評価は難しくなってしまうのでマウスがプラットフォームを探索する戦略についても注意が必要である<ref name=ref37><pubmed>11390774</pubmed></ref>。統制群のマウスでプラットフォームにたどり着くまでの時間や距離が短縮され、プラットフォーム位置についての学習が成立した後、プローブテストを行う。プローブテストでは、プラットフォームを取り除いた状態でマウスを自由に探索させ、プラットフォームが設置されていた領域にマウスが留まる時間の長さによって空間記憶をどのくらい保持・想起できるかを評価する。モリス水迷路は、もともとはラットを対象として考案されたテストであり、マウスでの使用には問題点も指摘されている。例えば、課題遂行の動機付けが水からの逃避ではない空間学習記憶においてマウスはラットと同等の遂行能力を持つものの、モリス水迷路においてはマウスの遂行能力はラットに比較して劣っていることが報告されている<ref name=ref38><pubmed>8916170</pubmed></ref>。また、水泳能力や視力、水に対する反応性などの違いが混交要因 (4.5 結果の解釈における注意事項を参照) となり、結果が大きく変わることがあるので実験の選択および得られた結果の解釈には注意が必要である<ref name=ref37 />。 | ||
====バーンズ円形迷路テスト==== | ====バーンズ円形迷路テスト==== | ||
Barnes maze test | Barnes maze test | ||
マウスが明るくて広い場所を避ける性質を利用し、円盤上に空けられた穴の下にある逃避箱の位置を学習させることで空間記憶を測定するテスト<ref name=ref39><pubmed></pubmed></ref>。水迷路のドライ版とも言われ、実験の方法はモリス水迷路と類似している。水を使用しないため、水泳能力や水に対する反応などに実験結果が影響を受けず、マウスに与えるストレスも水迷路と比較すると少ないため、広く使われている。迷路は円盤状で周辺部に等間隔で穴があいており、そのうち1カ所の下に逃避箱を設置する。マウスを迷路に置くと、円盤上を探索し、最終的には逃避箱を発見してその中へ入る。逃避箱にたどり着くまでの時間、移動距離、逃避箱が設置されていない穴を探索した回数(エラー数)などを測定する。参照記憶課題では、逃避箱の位置をマウスごとに一定とし、迷路外の物体を手がかりに逃避箱の位置を学習させるトレーニングを行う。トレーニング中は、一定数の試行毎に迷路を回転させ、迷路内の刺激を逃避箱の位置を記憶する手がかりとして使わせないようにする。トレーニング後、逃避箱を外した状態でマウスに迷路上を探索させ、逃避箱があった場所にどの程度留まるかを測定するプローブテストを行うことで、空間記憶をどの程度保持し想起できていたのかを評価する。 | マウスが明るくて広い場所を避ける性質を利用し、円盤上に空けられた穴の下にある逃避箱の位置を学習させることで空間記憶を測定するテスト<ref name=ref39><pubmed>221551</pubmed></ref>。水迷路のドライ版とも言われ、実験の方法はモリス水迷路と類似している。水を使用しないため、水泳能力や水に対する反応などに実験結果が影響を受けず、マウスに与えるストレスも水迷路と比較すると少ないため、広く使われている。迷路は円盤状で周辺部に等間隔で穴があいており、そのうち1カ所の下に逃避箱を設置する。マウスを迷路に置くと、円盤上を探索し、最終的には逃避箱を発見してその中へ入る。逃避箱にたどり着くまでの時間、移動距離、逃避箱が設置されていない穴を探索した回数(エラー数)などを測定する。参照記憶課題では、逃避箱の位置をマウスごとに一定とし、迷路外の物体を手がかりに逃避箱の位置を学習させるトレーニングを行う。トレーニング中は、一定数の試行毎に迷路を回転させ、迷路内の刺激を逃避箱の位置を記憶する手がかりとして使わせないようにする。トレーニング後、逃避箱を外した状態でマウスに迷路上を探索させ、逃避箱があった場所にどの程度留まるかを測定するプローブテストを行うことで、空間記憶をどの程度保持し想起できていたのかを評価する。 | ||
====8方向放射状迷路テスト==== | ====8方向放射状迷路テスト==== | ||
Eight-arm radial maze test | Eight-arm radial maze test | ||
食事制限したマウスに対して、迷路上の餌を探索させることで空間記憶を評価するテスト。プラットフォームから放射状に延びた8本のアームの先端に報酬となる餌を置き、食事制限によって空腹となったマウスに迷路内で餌を探索させる<ref name=ref40>< | 食事制限したマウスに対して、迷路上の餌を探索させることで空間記憶を評価するテスト。プラットフォームから放射状に延びた8本のアームの先端に報酬となる餌を置き、食事制限によって空腹となったマウスに迷路内で餌を探索させる<ref name=ref40>'''Olton, D. S. & Samuelson, R. J.'''<br>Remembrance of places passed: Spatial memory in rats. <br>''J. Exp. Psychol. Anim. Behav. Process.'' 2, 97–116 (1976).</ref>。一度選択して餌を食べたアームには餌はないので、効率よく餌を食べて課題を終了させるためには、既に餌を食べたアームの空間的な位置を試行中に記憶しておかなければならない。一度訪れたアームを再度選択するとエラーとなり、このエラー数が増加すれば作業記憶 (認知過程の中で、情報を一時的に保持しつつ操作を行う記憶のシステム)の低下が示唆される。最初の8回選択中の正答数も作業記憶の指標となり、正答数が少なければ作業記憶が低下している可能性が高い。8方向放射状迷路は作業記憶の評価に使われることが多いが、一定のアームにだけ餌を置いてテストを行うことで作業記憶のように一時的ではなく長期に保持される参照記憶(一般的法則・事実についての情報を保存する記憶のシステム)を評価することも可能である。 | ||
====恐怖条件づけテスト==== | ====恐怖条件づけテスト==== |