「Nogo」の版間の差分

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 Schwabのグループは1999年に、IN-1抗体の認識する蛋白の部分配列を公開した<ref>Spillmann, A.A.: J. Biol. Chem., 273, 19283-19293 (1999)</ref>。このペプチド配列をもとに、長年捜し求めた目的の蛋白がクローニングされ、3つのグループによって同時に報告された<ref>Chen, M.S., et al.: Nature, 403, 434-438 (2000)</ref><ref>Grandpre, T., Nakamura, F., Vartanian, T., Strittmatter, S.M.: Nature, 403, 439-444 (2000)</ref><ref>Prinjha, R., et al.: Nature, 403, 383-384 (2000)</ref>。Nogoと名付けられたこの蛋白はその配列情報から2回膜貫通構造をもっていると考えられ、培養神経細胞に対して突起伸展抑制作用をもっていた。Nogoは選択的スプライシングによって3つの長さの異なる蛋白が作られる。このうち最も長いNogo-Aには再生阻害に働く2つのドメインが存在する。Schwabらはアミノ端のNogoがより重要であると考えているが、Strittmatterらは膜貫通領域に囲まれる66個のアミノ酸からなるペプチド部分(Nogo-66)の再生抑制作用に注目し、その後の研究の潮流をリードした。<br> そして、Nogoの神経細胞上の受容体が同定された。Nogo発見の翌年、StrittmatterらはNogo-66の受容体NgR1を同定した<ref>Fournier, A.E., et al.: Nature, 409, 341-346 (2001)</ref>。NgR1は細胞内ドメインをもたないGPIアンカー型蛋白であり、Nogo-66に対し高親和性を示すことが分かった。<br>  
 Schwabのグループは1999年に、IN-1抗体の認識する蛋白の部分配列を公開した<ref>Spillmann, A.A.: J. Biol. Chem., 273, 19283-19293 (1999)</ref>。このペプチド配列をもとに、長年捜し求めた目的の蛋白がクローニングされ、3つのグループによって同時に報告された<ref>Chen, M.S., et al.: Nature, 403, 434-438 (2000)</ref><ref>Grandpre, T., Nakamura, F., Vartanian, T., Strittmatter, S.M.: Nature, 403, 439-444 (2000)</ref><ref>Prinjha, R., et al.: Nature, 403, 383-384 (2000)</ref>。Nogoと名付けられたこの蛋白はその配列情報から2回膜貫通構造をもっていると考えられ、培養神経細胞に対して突起伸展抑制作用をもっていた。Nogoは選択的スプライシングによって3つの長さの異なる蛋白が作られる。このうち最も長いNogo-Aには再生阻害に働く2つのドメインが存在する。Schwabらはアミノ端のNogoがより重要であると考えているが、Strittmatterらは膜貫通領域に囲まれる66個のアミノ酸からなるペプチド部分(Nogo-66)の再生抑制作用に注目し、その後の研究の潮流をリードした。<br> そして、Nogoの神経細胞上の受容体が同定された。Nogo発見の翌年、StrittmatterらはNogo-66の受容体NgR1を同定した<ref>Fournier, A.E., et al.: Nature, 409, 341-346 (2001)</ref>。NgR1は細胞内ドメインをもたないGPIアンカー型蛋白であり、Nogo-66に対し高親和性を示すことが分かった。<br>  


[[Image:Nogo 一次構造.jpg|frame|right|500px|(図1)Nogo蛋白の一次構造]]  
[[Image:Nogo 一次構造.jpg|frame|right|250px|(図1)Nogo蛋白の一次構造]]  
 
= [[Image:Nogo signaling.jpg|frame|right|300px|(図2)受容体と細胞内シグナル伝達経路]] =


= 蛋白の一次構造とドメイン  =
= 蛋白の一次構造とドメイン  =
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= 蛋白の機能 <br>  =
= 蛋白の機能 <br>  =


=== <span style="font-weight: bold;"> 成体神経細胞に対する軸索伸展阻害作用</span><br>  ===
=== <span style="font-weight: bold;"> 成体神経細胞に対する軸索伸展阻害作用
 
</span> ===
=== <span style="font-weight: bold;"> 胎生期神経前駆細胞の放射状移動を制御</span><br>  ===


===  Critical periodの形成に関わり、成体の軸索の再編成を制御し、神経ネットワークの可塑性を制御<br>  ===
==== &nbsp; 受容体と細胞内シグナル ====


= [[Image:Nogo signaling.jpg|frame|(図2)受容体と細胞内シグナル伝達経路]]  =
=== その他の機能 ===


===  βセクレターゼ活性の制御によるAPPの切断を制御<br>  ===
==== <span style="font-weight: bold;"> 胎生期神経前駆細胞の放射状移動を制御</span><br>  ====


<br>  
====  Critical periodの形成に関わり、成体の軸索の再編成を制御し、神経ネットワークの可塑性を制御<br> ====


= 受容体と細胞内シグナル  =
==== <span class="Apple-style-span" style="font-size: 18px; font-weight: bold; "> βセクレターゼ活性の制御によるAPPの切断を制御</span> ====


[[Image:Nogo|RTENOTITLE]]<br>  
==== <br> ====


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= <font class="Apple-style-span" size="2"><br></font><br> =


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