「エフリン」の版間の差分

ナビゲーションに移動 検索に移動
編集の要約なし
編集の要約なし
2行目: 2行目:
<font size="+1">[http://researchmap.jp/masaharunoda 野田 昌晴]</font><br>
<font size="+1">[http://researchmap.jp/masaharunoda 野田 昌晴]</font><br>
''基礎生物学研究所 神経生物学領域 統合神経生物学研究部門''<br>
''基礎生物学研究所 神経生物学領域 統合神経生物学研究部門''<br>
DOI XXXX/XXXX 原稿受付日:2012年2月15日 原稿完成日:2012年2月25日<br>
DOI [[XXXX]]/XXXX 原稿受付日:2012年2月15日 原稿完成日:2012年2月25日<br>
担当編集委員:[http://researchmap.jp/fujiomurakami 村上 富士夫](大阪大学 大学院生命機能研究科)<br>
担当編集委員:[http://researchmap.jp/fujiomurakami 村上 富士夫](大阪大学 大学院生命機能研究科)<br>
</div>
</div>
34行目: 34行目:
== サブタイプ ==
== サブタイプ ==


 [[wikipedia:ja:哺乳類|哺乳類]]では8種類のエフリンが存在しており、これらは構造上の違いから、エフリンA1~A5より構成されるA型エフリン(class A ephrins)と、エフリンB1~B3より構成されるB型エフリン(class B ephrins)に分類される<ref name=ref2><pubmed> 15928710 </pubmed></ref>。
 [[wikipedia:ja:哺乳類|哺乳類]]では8種類のエフリンが存在しており、これらは構造上の違いから、エフリンA1~A5より構成されるA型エフリン(class A [[ephrins]])と、エフリンB1~B3より構成されるB型エフリン(class B ephrins)に分類される<ref name=ref2><pubmed> 15928710 </pubmed></ref>。


== 構造 ==
== 構造 ==
42行目: 42行目:
== 受容体とシグナル伝達==
== 受容体とシグナル伝達==


 エフリンの受容体であるEph受容体も、構造上A型とB型に分類され、一般にA型エフリンは広くA型のEph受容体に結合し、B型エフリンは広くB型のEph受容体に結合する<ref name=ref2 /><ref><pubmed> 8755474 </pubmed></ref>。ただし、エフリンA5はB型Eph受容体であるEphB2にも結合し、エフリンB1~B3はA型Eph受容体であるEphA4にも結合するという例外が知られている。また、EphB4のリガンド分子はエフリンB2のみである<ref name=ref2 />。
 エフリンの受容体である[[Eph]]受容体も、構造上A型とB型に分類され、一般にA型エフリンは広くA型のEph受容体に結合し、B型エフリンは広くB型のEph受容体に結合する<ref name=ref2 /><ref><pubmed> 8755474 </pubmed></ref>。ただし、エフリンA5はB型Eph受容体であるEphB2にも結合し、エフリンB1~B3はA型Eph受容体であるEphA4にも結合するという例外が知られている。また、EphB4のリガンド分子はエフリンB2のみである<ref name=ref2 />。


 エフリンがEph受容体に結合すると、Eph受容体は二量体化し、お互いに相手の細胞内領域の特定の[[wikipedia:ja:チロシン|チロシン]]残基を[[リン酸化]]することによって活性化する<ref name=ref2 />。エフリンは細胞膜に結合した状態でのみリガンド分子としての活性を有しており、遊離したエフリンはEph受容体には結合するが受容体の活性化を誘導しない。Eph受容体はエフリンに対して逆にリガンド分子としても働くことが知られており、エフリンを発現する細胞とEph受容体を発現する細胞が接触すると、両細胞に双方向性の情報伝達が生じる<ref name=ref4><pubmed> 17420126 </pubmed></ref>。Eph受容体を発現する細胞内への[[シグナル]]を順行性シグナル(forward signal)と呼び、エフリンを発現する細胞内へのシグナルを逆行性シグナル(reverse signal)と呼ぶ。このエフリンを受容体とする逆行性シグナルの伝達には、[[チロシンリン酸化#.E9.9D.9E.E5.8F.97.E5.AE.B9.E4.BD.93.E5.9E.8B.E3.83.81.E3.83.AD.E3.82.B7.E3.83.B3.E3.82.AD.E3.83.8A.E3.83.BC.E3.82.BC|Srcファミリーチロシンキナーゼ]]の活性化が関与している<ref name=ref4 />。A型エフリンは[[インテグリン]]や[[神経栄養因子]]の受容体等と複合体を形成することにより<ref name=ref4 /><ref><pubmed> 19036963 </pubmed></ref>、一方、B型エフリンは[[アダプタータンパク質]]の[[Grb4]]や、[[PDZドメイン]]タンパク質の[[シンテニン]]等と複合体を形成することにより<ref name=ref4 /><ref><pubmed> 11557983 </pubmed></ref>、それぞれ特異的な逆行性シグナルを伝達すると考えられている。
 エフリンがEph受容体に結合すると、Eph受容体は二量体化し、お互いに相手の細胞内領域の特定の[[wikipedia:ja:チロシン|チロシン]]残基を[[リン酸化]]することによって活性化する<ref name=ref2 />。エフリンは細胞膜に結合した状態でのみリガンド分子としての活性を有しており、遊離したエフリンはEph受容体には結合するが受容体の活性化を誘導しない。Eph受容体はエフリンに対して逆にリガンド分子としても働くことが知られており、エフリンを発現する細胞とEph受容体を発現する細胞が接触すると、両細胞に双方向性の情報伝達が生じる<ref name=ref4><pubmed> 17420126 </pubmed></ref>。Eph受容体を発現する細胞内への[[シグナル]]を順行性シグナル(forward signal)と呼び、エフリンを発現する細胞内へのシグナルを逆行性シグナル(reverse signal)と呼ぶ。このエフリンを受容体とする逆行性シグナルの伝達には、[[チロシンリン酸化#.E9.9D.9E.E5.8F.97.E5.AE.B9.E4.BD.93.E5.9E.8B.E3.83.81.E3.83.AD.E3.82.B7.E3.83.B3.E3.82.AD.E3.83.8A.E3.83.BC.E3.82.BC|Srcファミリーチロシンキナーゼ]]の活性化が関与している<ref name=ref4 />。A型エフリンは[[インテグリン]]や[[神経栄養因子]]の受容体等と複合体を形成することにより<ref name=ref4 /><ref><pubmed> 19036963 </pubmed></ref>、一方、B型エフリンは[[アダプタータンパク質]]の[[Grb4]]や、[[PDZドメイン]]タンパク質の[[シンテニン]]等と複合体を形成することにより<ref name=ref4 /><ref><pubmed> 11557983 </pubmed></ref>、それぞれ特異的な逆行性シグナルを伝達すると考えられている。

案内メニュー