「鏡像認知」の版間の差分

ナビゲーションに移動 検索に移動
編集の要約なし
編集の要約なし
編集の要約なし
31行目: 31行目:
== 脳内基盤 ==
== 脳内基盤 ==


 最近は、自己に関する神経科学的研究も盛んで、[[自己意識]]、[[自己顔]]、[[自己評価]]などに関する脳内基盤が検討されている。鏡像認識に関連する自己顔の研究では、成人の参加者が自己顔を観察すると、自己以外の見慣れた顔を観察した時と比べて、右側の[[運動前野]]や[[下前頭回]]などの前頭領域<ref><pubmed>15019708</pubmed></ref>や、右の[[下頭頂葉]]<ref><pubmed>15588605</pubmed></ref><ref><pubmed>15808992</pubmed></ref>などの自己に関する情報を処理する領域を賦活させることが示されている。但し、用いられる課題や刺激の種類などによって活動する領域は大幅に異なる<ref name=ref1 />
 最近は、自己に関する神経科学的研究も盛んで、[[自己意識]]、[[自己顔]]、[[自己評価]]などに関する脳内基盤が検討されている。鏡像認識に関連する自己顔の研究では、成人の参加者が自己顔を観察すると、自己以外の見慣れた顔を観察した時と比べて、右側の[[運動前野]]や[[下前頭回]]などの前頭領域<ref><pubmed>15019708</pubmed></ref>や、右の[[下頭頂葉]]<ref><pubmed>15588605</pubmed></ref><ref><pubmed>15808992</pubmed></ref>などの自己に関する情報を処理する領域を賦活させることが示されている。但し、用いられる課題や刺激の種類などによって活動する領域は大幅に異なる<ref name=ref1 />


 ヒト乳幼児を対象にした研究は少ないが、近年[[構造MRI]]を用いた検討もなされている。Lewis らは、1-2歳児を対象に、自己認識の発達と、脳内の変化の関連を調べた<ref><pubmed>18793066</pubmed></ref>。行動実験として、鏡像認知と、ふり遊びの2つの尺度が用いられた。これらをまとめて、自己認識発達の行動指標として、どの脳領域と関連があるかが調べられた。その結果、左の[[側頭・頭頂接合部]]と行動指標の間にのみ有意な相関がみられた。この結果は成人の脳機能イメージング研究と必ずしも一致しないが、乳幼児を対象にした知見が少ないことから、今後も知見を蓄積していくことで、鏡像認識の発達とその脳内機構の関連は評価されるべきである。
 ヒト乳幼児を対象にした研究は少ないが、近年[[構造MRI]]を用いた検討もなされている。Lewis らは、1-2歳児を対象に、自己認識の発達と、脳内の変化の関連を調べた<ref><pubmed>18793066</pubmed></ref>。行動実験として、鏡像認知と、ふり遊びの2つの尺度が用いられた。これらをまとめて、自己認識発達の行動指標として、どの脳領域と関連があるかが調べられた。その結果、左の[[側頭・頭頂接合部]]と行動指標の間にのみ有意な相関がみられた。この結果は成人の脳機能イメージング研究と必ずしも一致しないが、乳幼児を対象にした知見が少ないことから、今後も知見を蓄積していくことで、鏡像認識の発達とその脳内機構の関連は評価されるべきである。


==関連項目==
==関連項目==
・自己
・自己<br>
・自己意識
・自己意識


== 参考文献 ==
== 参考文献 ==
<references/>
<references/>
50

回編集

案内メニュー