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{{GNF_Protein_box | {{GNF_Protein_box | ||
| Name = Disabled 1 | | Name = Disabled 1 | ||
| image = | | image = 1NTV.pdb | ||
| image_source = | | image_source = Dab1のPTBドメインと、ApoER2細胞内ドメインの一部。Protein Data Bank 1NTV<ref><pubmed>12737822</pubmed></ref>による。 | ||
| PDB = | | PDB = | ||
| HGNCid = 2661 | | HGNCid = 2661 | ||
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では、''dab1''の欠損により、何が一次的に障害されているのか?、この問題を解明する為に、周囲の細胞が正常な環境下で、一部の神経細胞でのみDab1の機能を阻害し、''dab1''の欠損によりどのような移動障害が引き起こされるのかが詳細に観察された。大脳新皮質の神経細胞は誕生時期の違いにより、異なる移動過程を経ることが知られている<ref><pubmed>20182622</pubmed></ref>。早生まれの神経細胞は脳室帯で誕生した後、もともと脳の表層にアンカリングしてあった突起を用いて[[細胞体]]を引き上げる、ソーマルトランスロケーション(somal translocation)と呼ばれる形式で移動する<ref><pubmed>11567613</pubmed></ref>。一方、遅生まれの神経細胞は脳室帯で誕生した後、[[脳室下帯(subventricular zone:SVZ)]]の直上で多極性の形態(多極性細胞)をとり、突起を出したり縮めたりしながら多極性移動(Multipolar migration)と呼ばれる移動を行い、その後、紡錘形の形態にトランスフォームして脳表面にロコモーション(locomotion)と呼ばれる方式で移動する<ref><pubmed>14602813</pubmed></ref>。さらに、脳表面付近では神経細胞の進行方向に長く伸びた先導突起(leading process)と呼ばれる突起を辺縁帯(marginal zone)付近まで伸ばし、核を引き上げる様に移動するターミナルトランスロケーションと呼ばれる移動様式により移動を行う<ref><pubmed>11175874</pubmed></ref>。 | では、''dab1''の欠損により、何が一次的に障害されているのか?、この問題を解明する為に、周囲の細胞が正常な環境下で、一部の神経細胞でのみDab1の機能を阻害し、''dab1''の欠損によりどのような移動障害が引き起こされるのかが詳細に観察された。大脳新皮質の神経細胞は誕生時期の違いにより、異なる移動過程を経ることが知られている<ref><pubmed>20182622</pubmed></ref>。早生まれの神経細胞は脳室帯で誕生した後、もともと脳の表層にアンカリングしてあった突起を用いて[[細胞体]]を引き上げる、ソーマルトランスロケーション(somal translocation)と呼ばれる形式で移動する<ref><pubmed>11567613</pubmed></ref>。一方、遅生まれの神経細胞は脳室帯で誕生した後、[[脳室下帯(subventricular zone:SVZ)]]の直上で多極性の形態(多極性細胞)をとり、突起を出したり縮めたりしながら多極性移動(Multipolar migration)と呼ばれる移動を行い、その後、紡錘形の形態にトランスフォームして脳表面にロコモーション(locomotion)と呼ばれる方式で移動する<ref><pubmed>14602813</pubmed></ref>。さらに、脳表面付近では神経細胞の進行方向に長く伸びた先導突起(leading process)と呼ばれる突起を辺縁帯(marginal zone)付近まで伸ばし、核を引き上げる様に移動するターミナルトランスロケーションと呼ばれる移動様式により移動を行う<ref><pubmed>11175874</pubmed></ref>。 | ||
'' | ''In utero''エレクトロポレーションによって''dab1''のノックダウンが行われた結果、神経細胞は脳の表層近くまで移動するが、移動の最終過程であるターミナルトランスロケーションが障害されていること<ref name="dab1KD" /><ref name="sekine1"><pubmed>21697392</pubmed></ref><ref><pubmed>20720102</pubmed></ref>、さらに、Dab1依存的に神経細胞がターミナルトランスロケーションを行う部位は、発達した神経細胞のマーカーである[[NeuN]]が陰性の[[原始皮質帯]] (primitive cortical zone:PCZ) に相当する部分であることが示されている<ref name="sekine1" />。また、''dab1''のコンディショナルノックアウトマウスを用い、''in utero''エレクトロポレーションにより一部の細胞でdab1をノックアウトした実験では、早生まれの細胞ではソーマルトランスロケーションが阻害され、遅生まれの細胞ではターミナルトランスロケーションが阻害されていることが示された<ref name="ncad2" />。一方、これらの実験では樹状突起形成にも異常が生じる結果が報告されているが、ターミナルトランスロケーションも阻害されていることから、これらの実験での樹状突起形成の[[発達障害]]は二次的な影響との可能性も考えられる。 | ||
しかしながら、海馬において生後3日に時期特異的に''dab1''をノックアウトした場合に、樹状突起形成に異常が生じること<ref name="matsuki" />、''dab1''ノックアウトマウスから得られた神経細胞を培養した場合にも樹状突起の形成に障害が生じること<ref name="Niu" />等から、dab1には樹状突起形成を促進する働きがあることが示唆されている。 | しかしながら、海馬において生後3日に時期特異的に''dab1''をノックアウトした場合に、樹状突起形成に異常が生じること<ref name="matsuki" />、''dab1''ノックアウトマウスから得られた神経細胞を培養した場合にも樹状突起の形成に障害が生じること<ref name="Niu" />等から、dab1には樹状突起形成を促進する働きがあることが示唆されている。 |