「随意運動と不随意運動」の版間の差分

ナビゲーションに移動 検索に移動
編集の要約なし
編集の要約なし
編集の要約なし
1行目: 1行目:
<div align="right"> 
<font size="+1">[http://researchmap.jp/read0168034 蔵田 潔]</font><br>
''弘前大学 大学院医学研究科 統合機能生理学講座''<br>
DOI XXXX/XXXX 原稿受付日:2012年12月6日 原稿完成日:2013年月日<br>
担当編集委員:[http://researchmap.jp/tadashiisa 伊佐 正](自然科学研究機構生理学研究所)<br>
</div>
英語名:voluntary movement and involuntary movement
英語名:voluntary movement and involuntary movement


4行目: 11行目:


 今日の脳研究の理解では、随意運動に関連する主要な脳領域は[[大脳皮質]]、[[小脳]]、それに[[大脳基底核]]である。随意運動を伝える経路として、20世紀の初頭に始まる近代脳研究の黎明期から、[[延髄錐体]]が注目されてきた。延髄錐体は大脳皮質から脊髄への直接下行路であり、錐体交差で左右大脳皮質からの線維が反体側に交差し、脊髄に直接あるいは間接投射することで、左脳が右半身を、右脳が左半身の随意運動を制御している。錐体路が傷害されると、特に手指の精緻な随意運動に障害が生じることから、このときに生じる症状が「[[錐体路症状]]」と呼ばれてきた。一方、大脳基底核の病変に伴い生じるさまざまな不随意運動が臨床的に「[[錐体外路症状]]」と呼びならわされてきた。しかし、「錐体外路」は錐体路以外の中枢内投射の総称であり、必ずしも大脳基底核の異常に特異的ではない。
 今日の脳研究の理解では、随意運動に関連する主要な脳領域は[[大脳皮質]]、[[小脳]]、それに[[大脳基底核]]である。随意運動を伝える経路として、20世紀の初頭に始まる近代脳研究の黎明期から、[[延髄錐体]]が注目されてきた。延髄錐体は大脳皮質から脊髄への直接下行路であり、錐体交差で左右大脳皮質からの線維が反体側に交差し、脊髄に直接あるいは間接投射することで、左脳が右半身を、右脳が左半身の随意運動を制御している。錐体路が傷害されると、特に手指の精緻な随意運動に障害が生じることから、このときに生じる症状が「[[錐体路症状]]」と呼ばれてきた。一方、大脳基底核の病変に伴い生じるさまざまな不随意運動が臨床的に「[[錐体外路症状]]」と呼びならわされてきた。しかし、「錐体外路」は錐体路以外の中枢内投射の総称であり、必ずしも大脳基底核の異常に特異的ではない。
(執筆者:蔵田潔 担当編集委員:伊佐正)

案内メニュー