「血管性認知症」の版間の差分

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<font size="+1">冨本 秀和</font><br>
''三重大学神経内科''<br>
DOI XXXX/XXXX 原稿受付日:2012年6月26日 原稿完成日:2013年月日<br>
担当編集委員:[http://researchmap.jp/ryosuketakahashi 高橋 良輔](京都大学 大学院医学研究科)<br>
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同義語:脳血管性認知症、脳血管性痴呆、多発梗塞性認知症、多発梗塞性痴呆、脳動脈硬化症  
同義語:脳血管性認知症、脳血管性痴呆、多発梗塞性認知症、多発梗塞性痴呆、脳動脈硬化症  


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 血管性認知症(vascular dementia: VaD)はすべての脳血管障害に起因して生じる[[認知症]]の総称である。この範疇に属する用語として、古くは「脳動脈硬化症」がある。この用語は認知機能の低下をきたす責任病変が何かが明確でなく、現在学術用語として用いられることはなくなっている。それ以降、1970年にTomlinsonは空洞性の[[梗塞]]巣の容積が50 mlを超えると認知機能の低下が生じることを報告し、「多発梗塞性認知症」(旧来は多発梗塞性痴呆)の概念を提唱した<ref name="ref1"><pubmed>5505685</pubmed></ref>。このことは、[[老人斑]]や[[神経原線維変化]]などの[[Alzheimer病]]理以外に、血管病変が認知機能障害の責任病変となることを指摘した点で重要な意義があった。しかし一方では、脳血管障害に起因する認知機能障害=多発梗塞性認知症とする誤解が生じ、大きな空洞性変化をきたさない[[白質病変]]や[[ラクナ梗塞]]などの小血管病変の重要性が看過される契機にもなった。  
 血管性認知症(vascular dementia: VaD)はすべての脳血管障害に起因して生じる[[認知症]]の総称である。この範疇に属する用語として、古くは「脳動脈硬化症」がある。この用語は認知機能の低下をきたす責任病変が何かが明確でなく、現在学術用語として用いられることはなくなっている。それ以降、1970年にTomlinsonは空洞性の[[梗塞]]巣の容積が50 mlを超えると認知機能の低下が生じることを報告し、「多発梗塞性認知症」(旧来は多発梗塞性痴呆)の概念を提唱した<ref name="ref1"><pubmed>5505685</pubmed></ref>。このことは、[[老人斑]]や[[神経原線維変化]]などの[[Alzheimer病]]理以外に、血管病変が認知機能障害の責任病変となることを指摘した点で重要な意義があった。しかし一方では、脳血管障害に起因する認知機能障害=多発梗塞性認知症とする誤解が生じ、大きな空洞性変化をきたさない[[白質病変]]や[[ラクナ梗塞]]などの小血管病変の重要性が看過される契機にもなった。  
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== Binswanger病の位置づけ  ==
== Binswanger病の位置づけ  ==
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== 参考文献  ==
== 参考文献  ==


<references />  
<references />
 
<br> (執筆者:冨本秀和 担当編集委員:高橋良輔)

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