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細 (→FRETの画像検出) |
細 (→プローブのデザイン) |
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== プローブのデザイン == | == プローブのデザイン == | ||
かつてはFRETを生細胞イメージングするのは、非常に煩雑であった。プローブとなるタンパク質を精製、化学的に色素でラベルし、細胞に導入するという操作が必要であり、神経科学分野での応用はきわめて限定されたものであった。しかし、GFPとその変異体、類縁タンパク質の発見により今日においては様々な細胞生物学の分野において、多くの蛍光タンパク質を基にしたFRETプローブが使用されている。 | |||
これらのプローブを分類すると、以下のように分類される。 | |||
===プローブの分解に伴うFRETの変化を検出するプローブ=== | ===プローブの分解に伴うFRETの変化を検出するプローブ=== | ||
この原理は、FRETプローブの最も初期に導入されたデザインである。例として、[[wikipedia:Factor X|Factor X]]などのプロテアーゼが挙げられ<ref><pubmed>8707050</pubmed></ref>、[[wikipedia:ja:プロテアーゼ|プロテアーゼ]]によって分解される配列の両端にドナーとアクセプターを連結する。プロテアーゼによって、この配列が分解されるとドナーとアクセプターの間に起きていたFRETが解消されることによって、プロテアーゼの活性を評価する。[[wikipedia:ja:カスパーゼ|カスパーゼ]]などの活性を測定するためにも使用されている<ref><pubmed>9518501</pubmed></ref><ref><pubmed>12409609</pubmed></ref><ref><pubmed>21637712</pubmed></ref><ref><pubmed>17946841</pubmed></ref>。このプローブのデザインの短所としては、反応が不可逆的であるために、一つの実験系で何度も測定することが困難であることである。 | この原理は、FRETプローブの最も初期に導入されたデザインである。例として、[[wikipedia:Factor X|Factor X]]などのプロテアーゼが挙げられ<ref><pubmed>8707050</pubmed></ref>、[[wikipedia:ja:プロテアーゼ|プロテアーゼ]]によって分解される配列の両端にドナーとアクセプターを連結する。プロテアーゼによって、この配列が分解されるとドナーとアクセプターの間に起きていたFRETが解消されることによって、プロテアーゼの活性を評価する。[[wikipedia:ja:カスパーゼ|カスパーゼ]]などの活性を測定するためにも使用されている<ref><pubmed>9518501</pubmed></ref><ref><pubmed>12409609</pubmed></ref><ref><pubmed>21637712</pubmed></ref><ref><pubmed>17946841</pubmed></ref>。このプローブのデザインの短所としては、反応が不可逆的であるために、一つの実験系で何度も測定することが困難であることである。 | ||
=== | ===二分子間相互作用を利用したFRETプローブ=== | ||
興味のあるタンパク質同士の相互作用を測定する際に、この原理が用いられる。一方にドナー、他方にアクセプターを連結する。タンパク質同士が結合していないときにはFRETは起きていないが、結合することによってFRETを生じる。応用例としては蛍光寿命を基にした[[Gタンパク質]]の活性化の測定に用いられている<ref><pubmed>11429608</pubmed></ref>。また、[[アクチン]]の重合度を測定するために、アクチンにドナー、アクセプターを連結して測定している例もある<ref><pubmed>15361876</pubmed></ref>。 距離のファクターを生かせるために、比較的大きなシグナルが得られる一方、内在性のタンパク質が反応に関与するために、その分FRET応答が減少する。ドナーとアクセプターの発現量の差によるFRETの応答の変化も問題になる。特に、アクセプターと結合しないドナーが多量に存在するとFRET応答が小さくなる。一般にアクセプターが多い系が、使用に適している。 | 興味のあるタンパク質同士の相互作用を測定する際に、この原理が用いられる。一方にドナー、他方にアクセプターを連結する。タンパク質同士が結合していないときにはFRETは起きていないが、結合することによってFRETを生じる。応用例としては蛍光寿命を基にした[[Gタンパク質]]の活性化の測定に用いられている<ref><pubmed>11429608</pubmed></ref>。また、[[アクチン]]の重合度を測定するために、アクチンにドナー、アクセプターを連結して測定している例もある<ref><pubmed>15361876</pubmed></ref>。 距離のファクターを生かせるために、比較的大きなシグナルが得られる一方、内在性のタンパク質が反応に関与するために、その分FRET応答が減少する。ドナーとアクセプターの発現量の差によるFRETの応答の変化も問題になる。特に、アクセプターと結合しないドナーが多量に存在するとFRET応答が小さくなる。一般にアクセプターが多い系が、使用に適している。 | ||
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====タンパク質結合に伴う構造変化を基にしたFRETプローブ==== | ====タンパク質結合に伴う構造変化を基にしたFRETプローブ==== | ||
ある種のタンパク質は活性化、非活性化に伴い、下流のタンパク質と結合する。このような相互作用を利用してタンパク質の活性化、非活性化を測定することができる。例えば[[カルシウム]]FRETプローブ、カメレオンはこの原理を利用している<ref><pubmed>9278050</pubmed></ref>。 また、低分子Gタンパク質の活性化プローブは、低分子Gタンパク質、シグナル伝達下流の結合タンパク質の結合ドメインをドナーとアクセプターで挟んだ形状をしている。低分子Gタンパク質がGDPからGTP結合型になり活性化すると、結合ドメインと相互作用をしFRETが生じる<ref><pubmed>16429133</pubmed></ref>。 | |||
====共有結合修飾によって生じる構造変化を測定するプローブ==== | ====共有結合修飾によって生じる構造変化を測定するプローブ==== | ||
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====生体膜上の小分子を測定するFRETプローブ==== | ====生体膜上の小分子を測定するFRETプローブ==== | ||
このプローブは、主に、[[wikipedia:ja:脂質|脂質]]分子に応用されてきた。ドナー、脂質結合ドメイン、アクセプターが堅いヘリックス構造で連結され、グリシングリシン配列をその途中に導入することで、そこを中心に一方の蛍光タンパク質が回転することができる。膜結合ドメインを用いて、プローブを結合させる。脂質分子が増えた際に、脂質結合ドメインが脂質分子を認識し、構造変化が起き、ドナートアクセプターの距離が縮まりFRETが生じる。ジアシルグリセロール<ref><pubmed>16990811</pubmed></ref> | このプローブは、主に、[[wikipedia:ja:脂質|脂質]]分子に応用されてきた。ドナー、脂質結合ドメイン、アクセプターが堅いヘリックス構造で連結され、グリシングリシン配列をその途中に導入することで、そこを中心に一方の蛍光タンパク質が回転することができる。膜結合ドメインを用いて、プローブを結合させる。脂質分子が増えた際に、脂質結合ドメインが脂質分子を認識し、構造変化が起き、ドナートアクセプターの距離が縮まりFRETが生じる。ジアシルグリセロール<ref><pubmed>16990811</pubmed></ref>、イノシトールリン脂質群<ref><pubmed>14528311</pubmed></ref><ref><pubmed>18685081</pubmed></ref><ref><pubmed>18685081</pubmed></ref><ref><pubmed>18685081</pubmed></ref>を測定するために用いられている。 | ||
== 神経科学分野への応用 == | == 神経科学分野への応用 == |