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δ–カテニンは、神経系特異的な発現が特徴で、δ–カテニンの局在は、樹状突起のシナプスに強く観察され、樹状突起の形態変化に寄与する。マウスの脳組織における免疫沈降実験から、δ–カテニンはN–カドヘリンとβ–カテニンと結合することが確認され、シナプスにおいてカドヘリン·カテニン複合体の一員として機能することが予想される[29]。また、ラット神経組織の[[初代培養]]細胞では、δ–カテニンはGSK3β、β–カテニンと複合体を形成し、β–カテニンの分解を促進させる機能も有する[30]。もともと、δ–カテニンは家族性アルツハイマ–病の原因遺伝子であるプレセニリン1の相互作用因子の解析から同定された[31]。染色体上のδ–カテニン遺伝子座を含む領域の欠損は、精神発達遅滞を起こすヒト遺伝病の一つであるネコ鳴き症候群患者に多くみられ、その後のδ–カテニンのノックアウトマウスの解析から、δ–カテニンはその症候群でみられる精神発達遅滞との関連が示唆された。そのノックアウトマウスでは、視覚からの刺激に対する視覚野の応答に障害がみられ、海馬の短期増強と長期増強の異常を示す。このノックアウトマウスの発生期のシナプス形成には異常はみられず、生存可能であるが、10週齢になると、大脳皮質のシナプスの密度の減少やシナプスの維持の欠落が見られるようになる。その分子機構はまだ不明であるが、δ–カテニンは、シナプスのスパイン構造の維持で機能することで、正常な認知機能やそれに繋がりうる精神発達に寄与すると示唆されている[32] 。 | δ–カテニンは、神経系特異的な発現が特徴で、δ–カテニンの局在は、樹状突起のシナプスに強く観察され、樹状突起の形態変化に寄与する。マウスの脳組織における免疫沈降実験から、δ–カテニンはN–カドヘリンとβ–カテニンと結合することが確認され、シナプスにおいてカドヘリン·カテニン複合体の一員として機能することが予想される[29]。また、ラット神経組織の[[初代培養]]細胞では、δ–カテニンはGSK3β、β–カテニンと複合体を形成し、β–カテニンの分解を促進させる機能も有する[30]。もともと、δ–カテニンは家族性アルツハイマ–病の原因遺伝子であるプレセニリン1の相互作用因子の解析から同定された[31]。染色体上のδ–カテニン遺伝子座を含む領域の欠損は、精神発達遅滞を起こすヒト遺伝病の一つであるネコ鳴き症候群患者に多くみられ、その後のδ–カテニンのノックアウトマウスの解析から、δ–カテニンはその症候群でみられる精神発達遅滞との関連が示唆された。そのノックアウトマウスでは、視覚からの刺激に対する視覚野の応答に障害がみられ、海馬の短期増強と長期増強の異常を示す。このノックアウトマウスの発生期のシナプス形成には異常はみられず、生存可能であるが、10週齢になると、大脳皮質のシナプスの密度の減少やシナプスの維持の欠落が見られるようになる。その分子機構はまだ不明であるが、δ–カテニンは、シナプスのスパイン構造の維持で機能することで、正常な認知機能やそれに繋がりうる精神発達に寄与すると示唆されている[32] 。 | ||
==脳におけるカテニンの機能==[[ファイル:fig3hh.jpg|right| | ==脳におけるカテニンの機能== | ||
[[ファイル:fig3hh.jpg|right|thumb|400x283px|''図3中枢神経系におけるカテニンの寄与'']] | |||
===神経発生=== | ===神経発生=== |
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