「島」の版間の差分

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羅:insula、cortex insularis 英:insula、insular cortex 独:inselrinde 仏:Cortex insulaire
羅:insula、cortex insularis 英:insula、insular cortex 独:inselrinde 仏:Cortex insulaire


同義語:島皮質
同義語:島皮質、Reilの島


{{box|text= [[霊長類]]の島は[[シルビウス裂]]内奥に位置し、[[前頭葉]]、[[側頭葉]]、[[頭頂葉]]、[[基底核]]に囲まれた領域である。島は[[Brodmann]]の[[13野]]から[[16野]]に相当する。組織学的には、前腹側部に[[顆粒細胞]]層を欠く[[無顆粒島]]が、その後背側部に[[亜顆粒島]]が、さらにその後背側部に全ての層構造が明瞭な[[顆粒島]]が分布する。前部島では[[行動発現]]、[[知覚]]、[[内受容]]、[[情動]]など、[[認知機能]]に関する活動がみられ、後部島では認知機能への関与は少ないとされる。島の活動は、[[味覚]]、[[嗅覚]]、[[触覚]]、[[痛覚]]などに加え、[[報酬]]、[[社会的な痛み]]、[[情動]]、[[社会的情動]]、[[共感]]、[[内臓覚]]、[[内受容]]や[[自己意識]]にまで関係しているという仮説がある。臨床的には、種々の[[精神神経疾患]]との関連が示唆されている。
{{box|text= [[霊長類]]の島は[[シルビウス裂]]内奥に位置し、[[前頭葉]]、[[側頭葉]]、[[頭頂葉]]、[[基底核]]に囲まれた領域である。島は[[Broadmann]]の[[13野]]から[[16野]]に相当する。組織学的には、前腹側部に[[顆粒細胞]]層を欠く[[無顆粒島]]が、その後背側部に[[亜顆粒島]]が、さらにその後背側部に全ての層構造が明瞭な[[顆粒島]]が分布する。前部島では[[行動発現]]、[[知覚]]、[[内受容]]、[[情動]]など、[[認知機能]]に関する活動がみられ、後部島では認知機能への関与は少ないとされる。島の活動は、[[味覚]]、[[嗅覚]]、[[触覚]]、[[痛覚]]などに加え、[[報酬]]、[[社会的な痛み]]、[[情動]]、[[社会的情動]]、[[共感]]、[[内臓覚]]、[[内受容]]や[[自己意識]]にまで関係しているという仮説がある。臨床的には、種々の[[精神神経疾患]]との関連が示唆されている。
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 霊長類の島はシルビウス裂内奥に位置し、前頭葉、側頭葉、頭頂葉、基底核に囲まれる(図)。
 霊長類の島はシルビウス裂内奥に位置し、前頭葉、側頭葉、頭頂葉、基底核に囲まれる(図)。


 ヒトなどの大型霊長類では、島極には[[前頭島皮質]](frontoinsular cortex)が存在し、[[眼窩前頭葉]]と接する<ref name=ref5><pubmed>20512368</pubmed></ref>。脳に占める島の体積の割合はヒトが1.2-1.7%、[[wj:ゴリラ|ゴリラ]]1.1-1.7%、[[wj:オランウータン|オランウータン]]1-1.5%であり、[[wj:テナガザル|テナガザル]]0.9-1.1%と比して3割程度大きい<ref name=ref6><pubmed>10656781</pubmed></ref>。滑脳性の動物([[げっ歯類]]など)の島は大脳半球の表面に露出し、[[嗅脳溝]]の上方に位置する。前下方は[[眼窩皮質]]と、背尾側は[[感覚皮質]]と接している<ref name=ref5><pubmed>20512368</pubmed></ref>。[[サル]]において島中心溝は明らかではなく<ref name=ref7><pubmed>9391023</pubmed></ref>、便宜的に亜顆粒領域(後述)の中央で前部と後部に二分する<ref name=ref8><pubmed>7174907</pubmed></ref>。ヒト前部島には3つの短い[[脳回]]を、後部島には2つの長い脳回を認めるが、個人差が大きいとされる。またサルにおいてはこれらを認めない<ref name=ref3 />。島はBroadmannの13野から1[[6野]]に相当する<ref>'''Brodman'''<br>Vergleichende Lokalisationslehre der Grosshirnrinde<br>''Barth-Verlag in Leipzig'', 1909</ref>。
 ヒトなどの大型霊長類では、島極には[[前頭島皮質]](frontoinsular cortex)が存在し、[[眼窩前頭葉]]と接する<ref name=ref5><pubmed>20512368</pubmed></ref>。脳に占める島の体積の割合はヒトが1.2-1.7%、[[wj:ゴリラ|ゴリラ]]1.1-1.7%、[[wj:オランウータン|オランウータン]]1-1.5%であり、[[wj:テナガザル|テナガザル]]0.9-1.1%と比して3割程度大きい<ref name=ref6><pubmed>10656781</pubmed></ref>。滑脳性の動物([[げっ歯類]]など)の島は大脳半球の表面に露出し、[[嗅脳溝]]の上方に位置する。前下方は[[眼窩皮質]]と、背尾側は[[感覚皮質]]と接している<ref name=ref5><pubmed>20512368</pubmed></ref>。[[サル]]において島中心溝は明らかではなく<ref name=ref7><pubmed>9391023</pubmed></ref>、便宜的に亜顆粒領域(後述)の中央で前部と後部に二分する<ref name=ref8><pubmed>7174907</pubmed></ref>。ヒト前部島には3つの短い[[脳回]]を、後部島には2つの長い脳回を認めるが、個人差が大きいとされる。またサルにおいてはこれらを認めない<ref name=ref3 />。島はBroadmannの13野から[[16野]]に相当する<ref>'''Brodman'''<br>Vergleichende Lokalisationslehre der Großhirnrinde<br>''Barth-Verlag in Leipzig'', 1909</ref>。


===組織===
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