「セマフォリン」の版間の差分

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== 発現パターンと細胞内分布 ==
== 発現パターンと細胞内分布 ==
 脊椎動物に発現するセマフォリンSema3-7は各々固有の生体内分布を示す(表1)、(6,7)。セマフォリンは神経系に広く分布するのみならず、肺、消化器系、循環器系、免疫組織、骨組織を形成する細胞群にも発現し、その多彩な生理機能を有することを示唆している。セマフォリンの細胞内分布の詳細な解析は今後の課題である。
 脊椎動物に発現するセマフォリンSema3-7は各々固有の生体内分布を示す(表1)、(6,7)。セマフォリンは神経系に広く分布するのみならず、肺、消化器系、循環器系、免疫組織、骨組織を形成する細胞群にも発現し、その多彩な生理機能を有することを示唆している。セマフォリンの細胞内分布の詳細な解析は今後の課題である。
{| class="wikitable"
|+ '''表1.セマフォリンの生体内分布'''(文献、5〜7)
|-
| 種類
| 神経系
| 非神経系
|-
| Sema3A
| 大脳皮質、梨状葉、海馬、尾状核、被核、扁桃体、小脳、分界条、 脊髄、後根神経節
| 肺、胎盤、胃、大腸、小腸、前立腺、骨芽細胞、腎臓
|-
| Sema3B
| 嗅球、小脳、中脳、橋、延髄
|
|-
| Sema3C
| 大脳皮質、梨状葉、内嗅領皮質、海馬、淡蒼球、扁桃体、小脳
| 脂肪細胞、肺、子宮、卵巣、膀胱、胃、大腸、骨芽細胞、骨格筋
|-
| Sema3D
| 嗅球、脊髄、後根神経節
| 卵巣、膀胱、臍帯、上皮、骨芽細胞、脾臓、リンパ節、角膜、レンズ
|-
| Sema3E
| 嗅球、網膜、大脳皮質、海馬、腹側線条体、基底前脳、 視床、中脳、橋、延髄
| 肺、胎盤、臍帯、上皮、胃、骨芽細胞
|-
| Sema3F
| 大脳皮質、海馬、被殻、 腹側線条体、基底前脳、 扁桃体、視床、中脳、橋、延髄、小脳
| 肺、胎盤、子宮、下垂体
|-
| Sema3G
| 後根神経節
| 肺、胎盤、卵巣、脂肪組織、腎臓
|-
| Sema4A
| 大脳皮質、梨状葉、内嗅領皮質、海馬、被殻、淡蒼球、黒質、扁桃体、小脳
| 脂肪組織、膀胱、胃、大腸、小腸、前立腺、T細胞、NK細胞、肥満細胞、樹状細胞、網膜色素上皮、角膜
|-
| Sema4B
| 後根神経節
| 胎盤、小腸、B細胞、形質細胞様樹状細胞
|-
| Sema4C
| 後根神経節、小脳、嗅球、脊髄
| 胎盤、子宮、膀胱、肥満細胞、形質細胞様樹状細胞、ミクログリア、網膜、角膜、虹彩
|-
| Sema4D
|
| B細胞、肥満細胞、マクロファージ、破骨細胞、ミクログリア、脾臓、リンパ節、骨髄、腎臓
|-
| Sema4F
| 大脳皮質、扁桃体、海馬、嗅球、脊髄、視床下部、小脳、側坐核、背側線条体、後根神経節
| 肺、胸腺細胞、T細胞、樹状細胞、顆粒球、網膜
|-
| Sema4G
| 扁桃体、海馬、嗅球、視床下部、小脳
| 肝臓、腎臓、膀胱、胃、大腸、小腸
|-
| Sema5A
| 大脳皮質、扁桃体、海馬、嗅球、脊髄、視床下部、小脳、側坐核、線条体、後根神経節
| 子宮、卵巣、膀胱、骨芽細胞、水晶体
|-
| Sema5B
| 大脳皮質、扁桃体、海馬、嗅球、脊髄、側坐核、後根神経節
| 涙腺、膵臓、心臓、肝臓、ミクログリア
|-
| Sema6A
| 大脳皮質、扁桃体、海馬、嗅球、脊髄、視床下部、小脳、側坐核、線条体、後根神経節
| 肺、胎盤、卵巣、小腸、膵臓、脂肪細胞、心臓、B細胞、肥満細胞、樹状細胞、脾臓、腎臓、網膜色素上皮、毛様体、水晶体
|-
| Sema6B
| 大脳皮質、扁桃体、海馬、嗅球、脊髄、視床下部、小脳、側坐核、線条体
| 膵臓、涙腺、唾液腺、マクロファージ
|-
| Sema6C
| 大脳皮質、扁桃体、海馬、嗅球、脊髄、視床下部、小脳、側坐核、線条体、後根神経節
| 肺、卵巣、心臓、樹状細胞、リンパ節、虹彩、眼杯
|-
| Sema6D
| 脊髄、小脳
| 胃、小腸、膵臓、骨芽細胞、水晶体
|-
| Sema7A
| 脊髄、小脳
| 胃、小腸、膵臓、心臓、樹状細胞、骨芽細胞、破骨細胞、水晶体、角膜
|-
|}


== セマフォリンファミリー分子とその受容体 ==
== セマフォリンファミリー分子とその受容体 ==
[[image:semaphorin 1.jpg|thumb|350px|図1.]]
[[image:semaphorin 1.jpg|thumb|350px|'''図1.''']]
[[image:semaphorin 2.jpg|thumb|350px|図2.]]
[[image:semaphorin 2.jpg|thumb|350px|'''図2.''']]
[[image:semaphorin 3.jpg|thumb|350px|図3.]]
[[image:semaphorin 3.jpg|thumb|350px|'''図3.''']]


 全てのセマフォリンの N末端側はセマドメインとなっており、C末端側の構造によって、分泌型、膜貫通型、 GPIアンカー型等の性質が付与される。これらの構造の違いにより、8つのサブファミリー (Sema1-7とV [ウイルス])に分類される(図1), (1)。この内、Sema1aは線虫やショウジョウバエ、Sema2aはショウジョウバエ、ハチ等の昆虫に存在するセマフォリンである。プレキシンはA-Dの四つのサブファミリーに分類される。N末端はセマフォリンと同様にセマドメインとなっており、それ以外の細胞外ドメインも各サブタイプでほぼ共通である。立体構造の解析から、セマフォリンとプレキシンのセマドメインは七枚の羽のようなユニットからなるβプロペラ構造を持っていることが明らかとなった。セマフォリンとプレキシンの結合はお互いのセマドメイン同士を介して行われる。Sema3サブファミリーは直接プレキシンと結合しないが、ニューロピリンとの結合を介してプレキシンAのセマドメインと相互作用する。プレキシンの中には、膜貫通型チロシンキナーゼや免疫グロブリンスーパーファミリー等と会合するものがある。これらの分子はプレキシンによる情報伝達を修飾する役割を担っている。いくつかのセマフォリンはプレキシン以外の受容体と結合することが知られている。CD72、Tim-2、インテグリン等が該当するが、それらはセマドメインを持たず、共通性が見られない。今後、これらの非プレキシン型受容体に関しても解明が進むものと思われる。
 全てのセマフォリンの N末端側はセマドメインとなっており、C末端側の構造によって、分泌型、膜貫通型、 GPIアンカー型等の性質が付与される。これらの構造の違いにより、8つのサブファミリー (Sema1-7とV [ウイルス])に分類される(図1), (1)。この内、Sema1aは線虫やショウジョウバエ、Sema2aはショウジョウバエ、ハチ等の昆虫に存在するセマフォリンである。プレキシンはA-Dの四つのサブファミリーに分類される。N末端はセマフォリンと同様にセマドメインとなっており、それ以外の細胞外ドメインも各サブタイプでほぼ共通である。立体構造の解析から、セマフォリンとプレキシンのセマドメインは七枚の羽のようなユニットからなるβプロペラ構造を持っていることが明らかとなった。セマフォリンとプレキシンの結合はお互いのセマドメイン同士を介して行われる。Sema3サブファミリーは直接プレキシンと結合しないが、ニューロピリンとの結合を介してプレキシンAのセマドメインと相互作用する。プレキシンの中には、膜貫通型チロシンキナーゼや免疫グロブリンスーパーファミリー等と会合するものがある。これらの分子はプレキシンによる情報伝達を修飾する役割を担っている。いくつかのセマフォリンはプレキシン以外の受容体と結合することが知られている。CD72、Tim-2、インテグリン等が該当するが、それらはセマドメインを持たず、共通性が見られない。今後、これらの非プレキシン型受容体に関しても解明が進むものと思われる。

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