「アミロイドβタンパク質」の版間の差分

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 一方でこれまでに多くのAβに対する治療法開発が失敗に終わってきた。特にAβワクチン療法AN-1792の治験では、老人斑蓄積が消失している患者が確認されたにも関わらず認知機能の低下は抑制されておらず<ref><pubmed> 12640446 </pubmed></ref>、アミロイドカスケード仮説に基づいた抗Aβ療法に疑義が呈された。しかし近年の大規模臨床観察研究や、FAD変異キャリヤーのバイオマーカー解析などから、Aβ蓄積はアルツハイマー病発症から15-20年以上前に始まり、引き続いてタウ病変が惹起されること<ref><pubmed> 22784036 </pubmed></ref>、老人斑蓄積が確認される健常者やmild cognitive impairment(MCI)がアルツハイマー病を発症する確率が有意に高いことが明らかとなり<ref><pubmed> 19587325 </pubmed></ref><ref><pubmed> 19346482 </pubmed></ref>、Aβの蓄積が脳アミロイドーシスとしてのアルツハイマー病病変における最上流プロセスであることは間違いないと考えられている。そして抗Aβ抗体医薬の一つ[[Solanezumab]]の治験においては、全体としてはエンドポイントが達成できなかったものの、mild-to-moderateに分類される、比較的早期の[[アルツハイマー病]]患者においては認知機能の低下が抑制されたと報告されている([https://investor.lilly.com/releasedetail.cfm?releaseid=711933 Detailed Results of the Phase 3 Solanezumab EXPEDITION Studies])。そのような観点から、未発症期に個々人のAD発症リスクを正しく理解して抗Aβ療法を先制医療として開始することが正しいのではないかと考えられている。
 一方でこれまでに多くのAβに対する治療法開発が失敗に終わってきた。特にAβワクチン療法AN-1792の治験では、老人斑蓄積が消失している患者が確認されたにも関わらず認知機能の低下は抑制されておらず<ref><pubmed> 12640446 </pubmed></ref>、アミロイドカスケード仮説に基づいた抗Aβ療法に疑義が呈された。しかし近年の大規模臨床観察研究や、FAD変異キャリヤーのバイオマーカー解析などから、Aβ蓄積はアルツハイマー病発症から15-20年以上前に始まり、引き続いてタウ病変が惹起されること<ref><pubmed> 22784036 </pubmed></ref>、老人斑蓄積が確認される健常者やmild cognitive impairment(MCI)がアルツハイマー病を発症する確率が有意に高いことが明らかとなり<ref><pubmed> 19587325 </pubmed></ref><ref><pubmed> 19346482 </pubmed></ref>、Aβの蓄積が脳アミロイドーシスとしてのアルツハイマー病病変における最上流プロセスであることは間違いないと考えられている。そして抗Aβ抗体医薬の一つ[[Solanezumab]]の治験においては、全体としてはエンドポイントが達成できなかったものの、mild-to-moderateに分類される、比較的早期の[[アルツハイマー病]]患者においては認知機能の低下が抑制されたと報告されている([https://investor.lilly.com/releasedetail.cfm?releaseid=711933 Detailed Results of the Phase 3 Solanezumab EXPEDITION Studies])。そのような観点から、未発症期に個々人のAD発症リスクを正しく理解して抗Aβ療法を先制医療として開始することが正しいのではないかと考えられている。
==関連項目==
*[[アルツハイマー病]]
*[[アミロイドーシス]]


==参考文献==
==参考文献==
<references/>
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