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== 検査所見 == | == 検査所見 == | ||
===画像診断=== | |||
MS病巣は[[核磁気共鳴画像]] (magnetic resonance imaging, [[MRI]])で最も鋭敏に検出される。頭部MRI画像では、[[側脳室]]周囲から大脳[[白質]]に垂直方向に伸びる卵円形の病巣(ovoid lesion)が比較的本症に特徴的とされる。大脳深部白質、皮質直下の白質、[[脳梁]]、脳幹、[[脊髄]]に病巣がみられることが多い。[[T2強調画像]]や[[FLAIR画像]]で高信号、[[T1強調画像]]で低信号に描出される。新しい病巣は、[[血液脳関門]]の破綻を反映して、[[ガドリニウム]]などの[[造影剤]]で造影される。脊髄病巣は2椎体を超えず白質主体に存在することが多い。 | MS病巣は[[核磁気共鳴画像]] (magnetic resonance imaging, [[MRI]])で最も鋭敏に検出される。頭部MRI画像では、[[側脳室]]周囲から大脳[[白質]]に垂直方向に伸びる卵円形の病巣(ovoid lesion)が比較的本症に特徴的とされる。大脳深部白質、皮質直下の白質、[[脳梁]]、脳幹、[[脊髄]]に病巣がみられることが多い。[[T2強調画像]]や[[FLAIR画像]]で高信号、[[T1強調画像]]で低信号に描出される。新しい病巣は、[[血液脳関門]]の破綻を反映して、[[ガドリニウム]]などの[[造影剤]]で造影される。脊髄病巣は2椎体を超えず白質主体に存在することが多い。 | ||
===電気生理学的検査=== | |||
[[誘発電位検査]]は、当該伝導路に存在する潜在性病巣の検出に有用である。[[視覚誘発電位]](visual evoked potential)、[[体性感覚誘発電位]](somatosensory evoked potential)、[[聴性脳幹誘発反応]] (auditory brainstem evoked potential)などがある。[[錐体路]]病巣の検出には、磁気刺激装置を用いた[[運動誘発電位]](motor evoked potential)が用いられる。 | [[誘発電位検査]]は、当該伝導路に存在する潜在性病巣の検出に有用である。[[視覚誘発電位]](visual evoked potential)、[[体性感覚誘発電位]](somatosensory evoked potential)、[[聴性脳幹誘発反応]] (auditory brainstem evoked potential)などがある。[[錐体路]]病巣の検出には、磁気刺激装置を用いた[[運動誘発電位]](motor evoked potential)が用いられる。 | ||
===血液検査=== | |||
MSに特異的な所見は乏しく、主に[[wikipedia:ja:膠原病|膠原病]]などによる中枢神経病巣を鑑別診断するために各種[[wikipedia:ja:自己抗体|自己抗体]]を[[検索]]する。MSは[[wikipedia:ja:抗核抗体|抗核抗体]]が弱陽性になる例があるが、それ以外の特異的な自己抗体は検出されない。視神経と脊髄が選択的に侵される視神経脊髄炎では、[[アストロサイト]]の足突起に存在する[[水チャネル]]である[[aquaporin-4]]に対する自己抗体が約半数で検出される。[[髄液]]細胞数と総タンパク質量は、再発期には軽度の細胞増多([[wikipedia:ja:単核球|単核球]])と総タンパク質量増加がみられることがある。髄鞘の破壊を反映した[[髄鞘塩基性タンパク質]] ([[myelin basic protein]], MBP)の上昇、[[wikipedia:ja:IgG|IgG]] indexの上昇,髄液中の[[wikipedia:ja:オリゴクローナルIgGバンド|オリゴクローナルIgGバンド]]陽性などがみられることもある。オリゴクローナルIgGバンドは、欧米白人のMSの90%、日本人MSの約60%で陽性となり、比較的本症に特徴的といえる<ref name=ref3><pubmed>20494560</pubmed></ref><ref name=ref4><pubmed>21962794</pubmed></ref><ref name=ref6>'''吉良潤一'''<br> | |||
日本における多発性硬化症の臨床像・疾患観念の変遷.アクチュアル脳・神経疾患の臨床.最新アプローチ 多発性硬化症と視神経脊髄炎.<br> | 日本における多発性硬化症の臨床像・疾患観念の変遷.アクチュアル脳・神経疾患の臨床.最新アプローチ 多発性硬化症と視神経脊髄炎.<br> | ||
辻省次(総編集).吉良潤一(専門編集).中山書店 pp. 2-8, 2012.</ref><ref name=ref7>'''吉良潤一'''<br>自然経過からみた病型分類と予後.アクチュアル脳・神経疾患の臨床.最新アプローチ 多発性硬化症と視神経脊髄炎.<br>辻省次(総編集).吉良潤一(専門編集).中山書店 pp. 18-28, 2012.</ref>。 | 辻省次(総編集).吉良潤一(専門編集).中山書店 pp. 2-8, 2012.</ref><ref name=ref7>'''吉良潤一'''<br>自然経過からみた病型分類と予後.アクチュアル脳・神経疾患の臨床.最新アプローチ 多発性硬化症と視神経脊髄炎.<br>辻省次(総編集).吉良潤一(専門編集).中山書店 pp. 18-28, 2012.</ref>。 | ||
== 治療 == | == 治療 == |