「社交不安症」の版間の差分

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|+ 表1.DSM-5 300.23 社交不安症(社交恐怖)(F40.10(この番号は[[ICD-10]]でしょうか?))
|+ 表1.DSM-5 300.23 社交不安症(社交恐怖)(ICD-10 F40.10)
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|'''A.'''他人の注視をあびるかもしれない社会的状況に対しての顕著な恐怖もしくは不安。例えば、社会的交流(例:会話をする、知らない人に会う)、注視される(例:食事をする,飲み物を摂る)、他人の前で行為をする(例:スピーチをする)。<br>
|'''A.'''他人の注視をあびるかもしれない社会的状況に対しての顕著な恐怖もしくは不安。例えば、社会的交流(例:会話をする、知らない人に会う)、注視される(例:食事をする,飲み物を摂る)、他人の前で行為をする(例:スピーチをする)。<br>
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===遺伝子研究===
===遺伝子研究===
 16番遺伝子[[ノルアドレナリン・トランスポータ]]の近位部との[[wikipedia:連鎖|連鎖]]が社交不安症で示唆された<ref><pubmed>14702251</pubmed></ref>。その他の遺伝子研究はすべて社交不安症そのものとではなく、社交不安症の表現型との関連を示している(表2)。
 16番遺伝子[[ノルアドレナリン・トランスポータ]]の近位部との[[wikipedia:連鎖|連鎖]]が社交不安症で示唆された<ref><pubmed>14702251</pubmed></ref>。その他の遺伝子研究はすべて社交不安症そのものとではなく、社交不安症と関連する表現型との関連を示している(表2)。


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|+表2. 社交不安症の表現型の連鎖研究(文献は編集部で著者名と年号を手がかりに入れましたのでご確認下さい)
|+表2. 社交不安症の表現型の連鎖研究(文献は編集部で著者名と年号を手がかりに入れましたのでご確認下さい)
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|'''表現系'''||'''遺伝子'''||'''参考文献'''
|'''表現型'''||'''遺伝子'''||'''参考文献'''
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|外向性の低さ||[[β1アドレナリン受容体|β<sub>1</sub>アドレナリン受容体]]([[ADRB1]])や[[カテコール-O-メチル基転移酵素|カテコール-''O''-メチル基転移酵素]](COMT)の塩基多型||<ref><pubmed>15312808</pubmed></ref>
|外向性の低さ||[[β1アドレナリン受容体|β<sub>1</sub>アドレナリン受容体]]([[ADRB1]])や[[カテコール-O-メチル基転移酵素|カテコール-''O''-メチル基転移酵素]](COMT)の塩基多型||<ref><pubmed>15312808</pubmed></ref>
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===画像研究===
===画像研究===
 [[プロトンMRS]]で[[前帯状回]]の[[グルタミン酸]]増加。[[PET]]血流研究でスピーチによる扁桃体の血流増加過剰、これは薬物療法で改善。PET受容体研究で[[線条体]][[ドパミン受容体]]および[[トランスポーター]]結合の減少;扁桃体、前帯状回、[[島皮質]]における[[セロトニン1A受容体]]結合の減少。[[fMRI]]研究で不快表情提示により扁桃体または前帯状回の過活性;線条体の活動性低下;公衆でのスピーチ時の[[前頭眼窩皮質]]の活性低下;不快表情刺激による扁桃体活性と前頭眼窩皮質および[[後帯状回皮質]]/[[前楔部]]との結合性低下<ref name=ref5><pubmed>21356318</pubmed></ref>。
 [[プロトンMRS]]で[[前帯状回]]の[[グルタミン酸]]増加が見られる。[[PET]]による脳血流研究で、スピーチによる扁桃体の血流増加が過剰という所見が見られるが、これは薬物療法で改善する。PETによる受容体研究で、[[線条体]][[ドパミン受容体]]および[[トランスポーター]]結合の減少および、扁桃体、前帯状回、[[島皮質]]における[[セロトニン1A受容体]]結合の減少が報告されている。[[fMRI]]研究では、不快表情提示により扁桃体または前帯状回の過活性、線条体の活動性低下、公衆の前でのスピーチ時の[[前頭眼窩皮質]]の活性低下、不快表情刺激による扁桃体活性と前頭眼窩皮質および[[後帯状回皮質]]/[[前楔部]]との結合性低下などが報告されている<ref name=ref5><pubmed>21356318</pubmed></ref>。


 社交不安症において病態生理の中心的役割を果たし過活性を示す扁桃体と、人間関係、道徳、社会活動および[[情動]]の評価と扁桃体制御に関係する前頭眼窩皮質および身体感覚も含めた自己参照機能に関係する後帯状回皮質/前楔部との連絡性が弱まっている所見は社交不安症の発症機構仮説を提唱している。最近の[[拡散テンソル画像]]研究や[[安静時fMRI]]研究により扁桃体以外にも[[大脳皮質]]全体の広範な神経ネットワークが社交不安症の発症と関係していることが明らかにされつつある<ref name=ref6><pubmed>23239106</pubmed></ref>。
 社交不安症において病態生理の中心的役割を果たし過活性を示す扁桃体と、人間関係、道徳、社会活動および[[情動]]の評価と扁桃体制御に関係する前頭眼窩皮質および身体感覚も含めた自己参照機能に関係する後帯状回皮質/前楔部との連絡性が弱まっている所見は社交不安症の発症機構仮説を提唱している。最近の[[拡散テンソル画像]]研究や[[安静時fMRI]]研究により扁桃体以外にも[[大脳皮質]]全体の広範な神経ネットワークが社交不安症の発症と関係していることが明らかにされつつある<ref name=ref6><pubmed>23239106</pubmed></ref>。

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