「カプグラ症候群」の版間の差分

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 カプグラ症候群は、1923年にCapgras. J. とReboul-Lachaux. J.<ref name=ref8 />によって最初に報告され、「[[ソジーの錯覚]]」と呼ばれた。症例は53歳の女性であり、その妄想は「自分が高貴な家の出身である」「悪の結社によって子供やパリ市民が地下に幽閉されている」ことの他に、「乳児期に死んだ彼女の子供、夫、彼女が結社を告発している警察庁の長官、彼女が入院している精神病院の医師や看護婦や患者、及び彼女自身に、それぞれ数人から数千人におよぶ瓜二つの外見をしたの替え玉(sosies) が存在する」と言う訴えが含まれた<ref name=ref43>'''立花光雄、榊原純'''<br>ソジーの錯覚(Capgras 症候群) 中安信夫編:稀で特異な精神症候群ないし状態像<br>''星和書店''、東京、p. 109-118,2004.</ref>。
 カプグラ症候群は、1923年にCapgras. J. とReboul-Lachaux. J.<ref name=ref8 />によって最初に報告され、「[[ソジーの錯覚]]」と呼ばれた。症例は53歳の女性であり、その妄想は「自分が高貴な家の出身である」「悪の結社によって子供やパリ市民が地下に幽閉されている」ことの他に、「乳児期に死んだ彼女の子供、夫、彼女が結社を告発している警察庁の長官、彼女が入院している精神病院の医師や看護婦や患者、及び彼女自身に、それぞれ数人から数千人におよぶ瓜二つの外見をしたの替え玉(sosies) が存在する」と言う訴えが含まれた<ref name=ref43>'''立花光雄、榊原純'''<br>ソジーの錯覚(Capgras 症候群) 中安信夫編:稀で特異な精神症候群ないし状態像<br>''星和書店''、東京、p. 109-118,2004.</ref>。


 ここでソジー (sosie) とは、[[wj:古代ローマ|古代ローマ]]の劇作家[[wj:プラウトゥス|Titus Maccius Plautus]]の戯曲「[[w:Amphitryon (play)|Amphitryon]]」の登場人物である。[[wj:アムピトリュオーン|Amphitryon]]の妻[[wj:アルクメーネー|Alcmene]]の篭絡を企む[[wj:ユピテル|Jupiter]]は、[[wj: メルクリウス|Mercure]]をAmphitryon 家の召使に変身させて送り込むが、この召使の名前がSosieである。17世紀後半、フランスの劇作家[[w:Molière|Molière]] がこのPlautusの戯曲を題材にして同名の作品を上演して以来、sosie は瓜二つの替え玉を意味する一般名詞になった<ref name=ref43 />。
 ソジー (sosie) とは、[[wj:古代ローマ|古代ローマ]]の劇作家[[wj:プラウトゥス|Titus Maccius Plautus]]の戯曲「[[w:Amphitryon (play)|Amphitryon]]」の登場人物である。[[wj:アムピトリュオーン|Amphitryon]]の妻[[wj:アルクメーネー|Alcmene]]の篭絡を企む[[wj:ユピテル|Jupiter]]は、[[wj: メルクリウス|Mercure]]をAmphitryon 家の召使に変身させて送り込むが、この召使の名前がSosieである。17世紀後半、フランスの劇作家[[w:Molière|Molière]] がこのPlautusの戯曲を題材にして同名の作品を上演して以来、sosie は瓜二つの替え玉を意味する一般名詞になった<ref name=ref43 />。


 1929年、Lévy-Valensi, J.<ref name=ref33>'''Lévy-Valensi, J.'''<br>L'illusion des sosies. <br>''Gaz. Hôp. Paris'', 55; 1001-1003, 1929</ref>はソジーの錯覚を「カプグラ症候群」と呼ぶことを提唱し、自己や近親者に関する事物、居住する街などに関わる誤認もカプグラ症候群に含めた<ref name=ref43 />。1930年、Vie, J.<ref name=ref45>'''Vié, J.'''<br>Un trouble de l'identification des personnes -L'illusion des sosies.<br>''Ann. Méd. Psychol.'', 88 ; 214-237, 1930.</ref>はCourbon, P. とFail, G.<ref name=ref14>'''Courbon, P., Fail, G.'''<br>L'illusion de Frégoli et schizophrénie.<br>''Bull. Soc. Clin. Méd. Ment.'', 15 ; 121-124.1927.</ref>が報告したフレゴリの錯覚をカプグラ症候群と合わせ、人物誤認というカテゴリーに一括した。
 1929年、Lévy-Valensi, J.<ref name=ref33>'''Lévy-Valensi, J.'''<br>L'illusion des sosies. <br>''Gaz. Hôp. Paris'', 55; 1001-1003, 1929</ref>はソジーの錯覚を「カプグラ症候群」と呼ぶことを提唱し、自己や近親者に関する事物、居住する街などに関わる誤認もカプグラ症候群に含めた<ref name=ref43 />。1930年、Vie, J.<ref name=ref45>'''Vié, J.'''<br>Un trouble de l'identification des personnes -L'illusion des sosies.<br>''Ann. Méd. Psychol.'', 88 ; 214-237, 1930.</ref>はCourbon, P. とFail, G.<ref name=ref14>'''Courbon, P., Fail, G.'''<br>L'illusion de Frégoli et schizophrénie.<br>''Bull. Soc. Clin. Méd. Ment.'', 15 ; 121-124.1927.</ref>が報告したフレゴリの錯覚をカプグラ症候群と合わせ、人物誤認というカテゴリーに一括した。
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