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また、神経毒として知られる各種[[ボツリヌス毒素]]や[[テタヌス毒素]]が神経伝達物質の放出を阻害する作用は、それらがSNAREタンパク質を特異的に切断することによる<ref name=ref25><pubmed>9759724</pubmed></ref>。 | また、神経毒として知られる各種[[ボツリヌス毒素]]や[[テタヌス毒素]]が神経伝達物質の放出を阻害する作用は、それらがSNAREタンパク質を特異的に切断することによる<ref name=ref25><pubmed>9759724</pubmed></ref>。 | ||
シナプス小胞のエキソサイトーシスの特徴は、Ca<sup>2+</sup>によって迅速に制御される点が挙げられる。シナプス小胞に豊富に存在するタンパク質であるシナプトタグミンは、[[リン脂質依存性タンパク質リン酸化酵素]] ([[protein kinase C]], [[PKC]] | シナプス小胞のエキソサイトーシスの特徴は、Ca<sup>2+</sup>によって迅速に制御される点が挙げられる。シナプス小胞に豊富に存在するタンパク質であるシナプトタグミンは、[[リン脂質依存性タンパク質リン酸化酵素]] ([[protein kinase C]], [[PKC]])のCa<sup>2+</sup>結合部位と相同性を持つ[[C2ドメイン]]を有する[[Ca2+結合タンパク質|Ca<sup>2+</sup>結合タンパク質]]であると同時に[[リン脂質]]やSNAREタンパク質への結合能を有する膜タンパク質であり、シナプス小胞膜上のCa<sup>2+</sup>センサーの候補である<ref name=ref26><pubmed>1589771</pubmed></ref>。 | ||
[[wj:トーマス・スードフ|Thomas Südhof]]らは、シナプトタグミン 1[[ノックアウトマウス]]由来の神経培養細胞を解析した結果、[[活動電位]] | [[wj:トーマス・スードフ|Thomas Südhof]]らは、シナプトタグミン 1[[ノックアウトマウス]]由来の神経培養細胞を解析した結果、[[活動電位]]に同期して起こる迅速なシナプス伝達が消失していることを見いだした。しかしながら、活動電位に同期しない遅いシナプス応答は依然として見られることから、シナプトタグミンが速いシナプス小胞のエキソサイトーシスにおけるCa<sup>2+</sup>センサーであると考えられている<ref name=ref27><pubmed>7954835</pubmed></ref>。実際、Ca<sup>2+</sup>に対する親和性が低下するシナプトタグミン変異体のノックインマウスの[[海馬]][[培養細胞]]では、小胞の放出確率が優位に有為に低下することが示されている<ref name=ref28><pubmed>11242035</pubmed></ref>。 | ||
遅いエキソサイトーシスを担うCa<sup>2+</sup>センサーとして、他のシナプトタグミンイソ型の関与が提唱されている<ref name=ref29><pubmed>24267651</pubmed></ref>。また、自発的エキソサイトーシスや遅いエキソサイトーシスに関わるCa<sup>2+</sup>センサーとしてCa<sup>2+</sup>親和性の高い可溶性Ca<sup>2+</sup>結合タンパク質であるDoc2の関与も示唆されている<ref name=ref30><pubmed>22036572</pubmed></ref> <ref name=ref31><pubmed>20150444</pubmed></ref>。 | 遅いエキソサイトーシスを担うCa<sup>2+</sup>センサーとして、他のシナプトタグミンイソ型の関与が提唱されている<ref name=ref29><pubmed>24267651</pubmed></ref>。また、自発的エキソサイトーシスや遅いエキソサイトーシスに関わるCa<sup>2+</sup>センサーとしてCa<sup>2+</sup>親和性の高い可溶性Ca<sup>2+</sup>結合タンパク質であるDoc2の関与も示唆されている<ref name=ref30><pubmed>22036572</pubmed></ref> <ref name=ref31><pubmed>20150444</pubmed></ref>。 |