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22 バイト追加 、 2012年2月16日 (木)
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= 概要  =
= 概要  =


 Nogoは脊椎動物の中枢神経細胞に対して軸索伸長の阻害効果をもち、髄鞘(ミエリン)に含まれる軸索損傷後の再生を阻害する分子であると考えられている。Nogo-A蛋白内には2つの軸索伸張阻害作用を有する蛋白ドメインがあり(Δ20とNogo-66)、軸索伸長阻害のみならず、軸索の先端の成長円錐を虚脱させる作用を持っている。動物実験によりNogo-Aあるいはその下流のシグナルを阻害することにより、神経損傷時における神経軸索の再生を促すことが示されてきた。このことから軸索が損傷を受け、その再生ができないことにより、重度の後遺障害が残る脊髄損傷や多発性硬化症のような脱髄疾患における軸索再生治療への期待がかけられている。また、病態時のみならず、脳内の学習と記憶のプロセスを強化する課程において重要な役割を果たすことが分かっている。 <br>
 Nogoは脊椎動物の中枢神経細胞に対して軸索伸長の阻害効果をもち、髄鞘(ミエリン)に含まれる軸索損傷後の再生を阻害する分子であると考えられている。Nogo-A蛋白内には2つの軸索伸張阻害作用を有する蛋白ドメインがあり(Δ20とNogo-66)、軸索伸長阻害のみならず、軸索の先端の成長円錐を虚脱させる作用を持っている。動物実験によりNogo-Aあるいはその下流のシグナルを阻害することにより、神経損傷時における神経軸索の再生を促すことが示されてきた。このことから軸索が損傷を受け、その再生ができないことにより、重度の後遺障害が残る脊髄損傷や多発性硬化症のような脱髄疾患における軸索再生治療への期待がかけられている。また、病態時


[[Image:Nogo 一次構造.jpg|thumb|right|400px|(図1)Nogo蛋白の一次構造]]
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= 蛋白の一次構造とドメイン  =
のみならず、脳内の学習と記憶のプロセスを強化する課程において重要な役割を果たすことが分かっている。 <br>


 Nogo-A蛋白は、1163アミノ酸で構成される蛋白である。<br> 図1に示されるとおり、Nogo蛋白の一次構造は、''RTN4''遺伝子によりコードされる二回膜貫通型の蛋白である。&nbsp;''RTN4''遺伝子からは、3つのアイソフォームNogo-A,Nogo-B,Nogo-Cが作られる。<ref><pubmed> 21045861 </pubmed></ref><br> 軸索伸展阻害作用を持つNogo-66はNogo-A,-B,-Cに共通の66個のアミノ酸からなるドメインである。一方、もう一つの軸索伸展阻害作用を持つΔ20ドメインは、Nogo-Aのみが持つことが分かっている。Δ20ドメインが重要と考えているグループとNogo-66が重要と考えているグループに分かれているが、一般的に、Nogoの作用を指すのは、Nogo-66の作用である場合が多い。<br>  
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= 蛋白の一次構造とドメイン[[Image:Nogo_一次構造.jpg|thumb|right|400px|(図1)Nogo蛋白の一次構造]]  =
 
 Nogo-A蛋白は、1163アミノ酸で構成される蛋白である。  
<div><br> 図1に示されるとおり、Nogo蛋白の一次構造は、''RTN4''遺伝子によりコードされる二回膜貫通型の蛋白である。&nbsp;''RTN4''遺伝子からは、3つのアイソフォームNogo-A,Nogo-B,Nogo-Cが作られる。<ref><pubmed> 21045861 </pubmed></ref><br> 軸索伸展阻害作用を持つNogo-66はNogo-A,-B,-Cに共通の66個のアミノ酸からなるドメインである。一方、もう一つの軸索伸展阻害作用を持つΔ20ドメインは、Nogo-Aのみが持つことが分かっている。Δ20ドメインが重要と考えているグループとNogo-66が重要と考</div>
えているグループに分かれているが、一般的に、Nogoの作用を指すのは、Nogo-66の作用である場合が多い。<br>  


 Nogo-Aは二回膜貫通型で、図2で示されるように、アミノ末端部は細胞外に露出していると考えられている。また、アミノ末端側の膜貫通ドメインは二回膜貫通できるのに十分長いと考えられている。  
 Nogo-Aは二回膜貫通型で、図2で示されるように、アミノ末端部は細胞外に露出していると考えられている。また、アミノ末端側の膜貫通ドメインは二回膜貫通できるのに十分長いと考えられている。  
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 細胞内では、他のreticulonファミリー蛋白と同様に、小胞体もしくは図2に示されるように細胞表面に発現していると考えられている。  
 細胞内では、他のreticulonファミリー蛋白と同様に、小胞体もしくは図2に示されるように細胞表面に発現していると考えられている。  


 神経系においては、発生時期には、神経芽細胞や移動中の幼弱な神経細胞に発現が報告されている。一方、生後および成獣においては主として希突起膠細胞そして、一部の神経細胞に発現が認められると報告されている。<ref><pubmed> 21045861 </pubmed></ref><br> <br>  
 神経系においては、発生時期には、神経芽細胞や移動中の幼弱な神経細胞に発現が報告されている。一方、生後および成獣においては主として希突起膠細胞そして、一部の神経細胞に発現が認められると報告されている。<ref><pubmed> 21045861 </pubmed></ref><br>  


= 蛋白の機能&nbsp;[[Image:Nogo signal 400.jpg|thumb|right|400px|(図2)Nogoとそのシグナル伝達経路]]<br>  =
= 蛋白の機能&nbsp;[[Image:Nogo signal 400.jpg|thumb|right|400px|(図2)Nogoとそのシグナル伝達経路]]<br>  =
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