9,444
回編集
(ページの作成:「<div align="right"> <font size="+1">井上 貴史、[http://researchmap.jp/marmoset 佐々木 えりか]</font><br> ''新潟大学 大学院医歯学総合研究科 生...」) |
細 (→繁殖) |
||
14行目: | 14行目: | ||
性成熟まで約1年半と他の実験用サル類(3~4年)に比べて短い。飼育下では1回の出産で2〜3仔を出産する。周年繁殖で1年間に2回出産し、年間4~6匹、生涯に1匹の雌が産む子の数は40~80匹となり、非常に高い繁殖力を持つ。また、同腹の仔は胎盤を共有するため、血液キメラとなるユニークな生物学的特性を持つ。 | 性成熟まで約1年半と他の実験用サル類(3~4年)に比べて短い。飼育下では1回の出産で2〜3仔を出産する。周年繁殖で1年間に2回出産し、年間4~6匹、生涯に1匹の雌が産む子の数は40~80匹となり、非常に高い繁殖力を持つ。また、同腹の仔は胎盤を共有するため、血液キメラとなるユニークな生物学的特性を持つ。 | ||
== 社会性 == | == 社会性 == | ||
野生では繁殖ペアとその仔からなるファミリー単位で生活する。父親や兄姉が[[子育て]]に協力するという社会構造上の特徴を持つ。このような社会性は、社会行動の研究でも注目される。ファミリーにおいて、繁殖雌以外の雌は性周期が抑制されることが知られている。また、マーモセットは、小鳥のさえずりに似た独特の鳴き声や威嚇の鳴き声などいくつかの異なった音声を発し、特徴的な音声コミュニケーションを行う。 | 野生では繁殖ペアとその仔からなるファミリー単位で生活する。父親や兄姉が[[子育て]]に協力するという社会構造上の特徴を持つ。このような社会性は、社会行動の研究でも注目される。ファミリーにおいて、繁殖雌以外の雌は性周期が抑制されることが知られている。また、マーモセットは、小鳥のさえずりに似た独特の鳴き声や威嚇の鳴き声などいくつかの異なった音声を発し、特徴的な音声コミュニケーションを行う。 | ||
== 実験動物コロニー == | == 実験動物コロニー == | ||
日本、米国、ドイツ、イギリス、オランダ、オーストラリアなどに実験動物としての室内繁殖コロニーが存在し、実験動物として供給されている。このため、微生物学的にもコントロールされた動物を実験に使用することができる。これまで実験動物コロニー由来のマーモセットにおいて重篤な人獣共通感染症の報告はなく、その危険性は低い。マカクサル類で注意が必要なBウイルスのマーモセットの自然感染例はない。日本では1970年代から導入され、繁殖コロニーが維持されている。 | 日本、米国、ドイツ、イギリス、オランダ、オーストラリアなどに実験動物としての室内繁殖コロニーが存在し、実験動物として供給されている。このため、微生物学的にもコントロールされた動物を実験に使用することができる。これまで実験動物コロニー由来のマーモセットにおいて重篤な人獣共通感染症の報告はなく、その危険性は低い。マカクサル類で注意が必要なBウイルスのマーモセットの自然感染例はない。日本では1970年代から導入され、繁殖コロニーが維持されている。 | ||