「Discs, large homolog-associated protein」の版間の差分

ナビゲーションに移動 検索に移動
Tfuruyaトーク)による第2837版を取り消し
(Tfuruyaトーク)による第2837版を取り消し)
(Tfuruyaトーク)による第2837版を取り消し)
15行目: 15行目:
== 構造と相互作用分子  ==
== 構造と相互作用分子  ==


 4つのアイソフォームはアミノ酸レベルで40-50%の相同性があり、いずれも、中央部に14アミノ酸からなる5回の繰り返し配列を持ち、その部位でPSD-95、[[MAGI2]]/S-SCAMのguanylate kinase領域に結合する。繰り返し配列よりN末端側には特徴的配列がないが、[[ニューロフィラメント]] (neurofilament)などの[[中間系フィラメント]]に結合する<ref><pubmed>10759891</pubmed></ref>。繰り返し配列のC末端側のプロリンリッチ配列を介して、[[チロシンリン酸化|チロシンキナーゼ]]Abl/Arg結合蛋白質である[[NArgBP2]]の[[SH3]]領域に結合する<ref><pubmed>10521485</pubmed></ref>。さらにそれよりもC末端側で[[ダイニン軽鎖]] (dynein light chain) [[LC1]]、[[LC8]]に結合するが、その部分には特徴的配列を欠く<ref name=Haraguchi><pubmed>10844022</pubmed></ref><ref><pubmed>11122378</pubmed></ref>。C末端に[[PDZ]]結合モチーフをもち、Shankの[[PDZ領域]]に結合する<ref><pubmed>10433268</pubmed></ref><ref><pubmed>10527873</pubmed></ref>。その他、[[神経型一酸化窒素合成酵素]](nNOS)とも結合する<ref name=Haraguchi><pubmed>10844022</pubmed></ref>。DLGAP3は、[[FAK]]、[[PYK2]]と相互作用すると報告されている<ref name=Haraguchi><pubmed>10844022</pubmed></ref><ref><pubmed>11122378</pubmed></ref><ref>Bongiorno-Borbone L, Kadaré G, Benfenati F, Girault JA. FAK and PYK2 interact with SAP90/PSD-95-Associated Protein-3. Biochem Biophys Res Commun. 2005 Nov 18;337:641-6.</ref>。[[カルシウム/カルモジュリン依存性蛋白質キナーゼII]](CaMKII)、p38 [[MAPK]]により[[リン酸化]]されることも報告されている<ref>Dosemeci A, Jaffe H.  Regulation of phosphorylation at the postsynaptic density during different activity states of Ca2+/calmodulin-dependent protein kinase II. Biochem Biophys Res Commun. 2010 Jan 1;391:78-84.</ref><ref>Sabio G, Arthur JS, Kuma Y, Peggie M, Carr J, Murray-Tait V, Centeno F, Goedert M, Morrice NA, Cuenda A. p38gamma regulates the localisation of SAP97 in the cytoskeleton by modulating its interaction with GKAP. EMBO J. 2005 Mar 23;24:1134-45</ref>。相互作用分子の研究には、DLGAP1のラット、マウスホモログが用いられていることが多いが、アミノ酸配列の相同性に照らすと、報告されている相互作用の多くは、種とアイソフォームを超えて保存されていると推測される。  
 4つのアイソフォームはアミノ酸レベルで40-50%の相同性があり、いずれも、中央部に14アミノ酸からなる5回の繰り返し配列を持ち、その部位でPSD-95、[[MAGI2]]/S-SCAMのguanylate kinase領域に結合する。繰り返し配列よりN末端側には特徴的配列がないが、[[ニューロフィラメント]] (neurofilament)などの[[中間系フィラメント]]に結合する<ref><pubmed>10759891</pubmed></ref>。繰り返し配列のC末端側のプロリンリッチ配列を介して、[[チロシンリン酸化|チロシンキナーゼ]]Abl/Arg結合蛋白質である[[NArgBP2]]の[[SH3]]領域に結合する<ref><pubmed>10521485</pubmed></ref>。さらにそれよりもC末端側で[[ダイニン軽鎖]] (dynein light chain) [[LC1]]、[[LC8]]に結合するが、その部分には特徴的配列を欠く<ref><pubmed>10844022</pubmed></ref><ref name=Haraguchi><pubmed>11122378</pubmed></ref>。C末端に[[PDZ]]結合モチーフをもち、Shankの[[PDZ領域]]に結合する<ref><pubmed>10433268</pubmed></ref><ref><pubmed>10527873</pubmed></ref>。その他、[[神経型一酸化窒素合成酵素]](nNOS)とも結合する<ref name=Haraguchi><pubmed>11122378</pubmed></ref>。DLGAP3は、[[FAK]]、[[PYK2]]と相互作用すると報告されている<ref><pubmed>16202977</pubmed></ref>。[[カルシウム/カルモジュリン依存性蛋白質キナーゼII]](CaMKII)、p38 [[MAPK]]により[[リン酸化]]されることも報告されている<ref><pubmed>19896464</pubmed></ref><ref><pubmed>15729360</pubmed></ref>。相互作用分子の研究には、DLGAP1のラット、マウスホモログが用いられていることが多いが、アミノ酸配列の相同性に照らすと、報告されている相互作用の多くは、種とアイソフォームを超えて保存されていると推測される。  


== 発現  ==
== 発現  ==


 神経細胞以外にもmRNAはあり、蛋白質も発現していると考えられるが、神経細胞における発現が極めて高い。脳内での各種アイソフォームの発現については、mRNAレベルでは4つのアイソフォームについて、蛋白質レベルではDLGAP2以外の3つのアイソフォームについて、ラット、マウス脳を用いた解析結果が報告されている<ref>Kindler S, Rehbein M, Classen B, Richter D, Böckers TM. Distinct spatiotemporal expression of SAPAP transcripts in the developing rat brain: a novel dendritically localized mRNA. Brain Res Mol Brain Res. 2004 Jul 5;126:14-21.</ref><ref>Welch JM, Wang D, Feng G. Differential mRNA expression and protein localization of the SAP90/PSD-95-associated proteins (SAPAPs) in the nervous system of the mouse. J Comp Neurol. 2004 Apr 19;472:24-39.</ref>。ちなみに、「異なるアイソフォームの分布は、オーバーラップしているが、それぞれに特異的である」と表現される。例えば、小脳を例にとると、[http://mouse.brain-map.org/experiment/show/70528599 DLGAP1]は[[顆粒細胞]]、[[プルキンエ細胞]]の両方に等しく、[http://mouse.brain-map.org/experiment/show/69626909 DLGAP2]は小脳になく、[http://mouse.brain-map.org/experiment/show/70528605 DLGAP3]は顆粒細胞に強く、[http://mouse.brain-map.org/experiment/show/68499267 DLGAP4]はプルキンエ細胞に強く発現する。海馬では、DLGAP1は[[CA1]]、[[CA3]]の[[錐体細胞]]と[[歯状回]]の顆粒細胞に発現するが、DLGAP4は歯状回の顆粒細胞にはない。DLGAP3は[[線条体]]に強く発現している。DLGAP3ノックアウトマウスの表現型が、線条体局所へのDLGAP3の強制発現により回復する観察から、DLGAP3は線条体において、他のアイソフォームによっては代償されない機能を果たしていると推論される<ref>Welch JM, Lu J, Rodriguiz RM, Trotta NC, Peca J, Ding JD, Feliciano C, Chen M, Adams JP, Luo J, Dudek SM, Weinberg RJ, Calakos N, Wetsel WC, Feng G. Cortico-striatal synaptic defects and OCD-like behaviours in Sapap3-mutant mice. Nature. 2007 Aug 23;448:894-900.</ref>。さらに、DLGAP3のmRNAは、神経細胞の[[細胞体]]でなく[[樹状突起]]に分布する点でも注目されている。  
 神経細胞以外にもmRNAはあり、蛋白質も発現していると考えられるが、神経細胞における発現が極めて高い。脳内での各種アイソフォームの発現については、mRNAレベルでは4つのアイソフォームについて、蛋白質レベルではDLGAP2以外の3つのアイソフォームについて、ラット、マウス脳を用いた解析結果が報告されている<ref><pubmed>15207911</pubmed></ref><ref>Welch JM, Wang D, Feng G. Differential mRNA expression and protein localization of the SAP90/PSD-95-associated proteins (SAPAPs) in the nervous system of the mouse. J Comp Neurol. 2004 Apr 19;472:24-39.</ref>。ちなみに、「異なるアイソフォームの分布は、オーバーラップしているが、それぞれに特異的である」と表現される。例えば、小脳を例にとると、[http://mouse.brain-map.org/experiment/show/70528599 DLGAP1]は[[顆粒細胞]]、[[プルキンエ細胞]]の両方に等しく、[http://mouse.brain-map.org/experiment/show/69626909 DLGAP2]は小脳になく、[http://mouse.brain-map.org/experiment/show/70528605 DLGAP3]は顆粒細胞に強く、[http://mouse.brain-map.org/experiment/show/68499267 DLGAP4]はプルキンエ細胞に強く発現する。海馬では、DLGAP1は[[CA1]]、[[CA3]]の[[錐体細胞]]と[[歯状回]]の顆粒細胞に発現するが、DLGAP4は歯状回の顆粒細胞にはない。DLGAP3は[[線条体]]に強く発現している。DLGAP3ノックアウトマウスの表現型が、線条体局所へのDLGAP3の強制発現により回復する観察から、DLGAP3は線条体において、他のアイソフォームによっては代償されない機能を果たしていると推論される<ref>Welch JM, Lu J, Rodriguiz RM, Trotta NC, Peca J, Ding JD, Feliciano C, Chen M, Adams JP, Luo J, Dudek SM, Weinberg RJ, Calakos N, Wetsel WC, Feng G. Cortico-striatal synaptic defects and OCD-like behaviours in Sapap3-mutant mice. Nature. 2007 Aug 23;448:894-900.</ref>。さらに、DLGAP3のmRNAは、神経細胞の[[細胞体]]でなく[[樹状突起]]に分布する点でも注目されている。  


== 機能、性状  ==
== 機能、性状  ==

案内メニュー