「カリウムチャネル」の版間の差分

ナビゲーションに移動 検索に移動
編集の要約なし
883行目: 883行目:
 脳疾患では、神経性のM電流を欠損するKv7.2(KCNQ2)やKv7.3(KCNQ3)の機能欠損変異が[[家族性良性新生児痙攣]](Benign familial neonatal epilepsy、BFNE)の原因として報告されている <ref><pubmed>9430594</pubmed></ref><ref><pubmed>9872318</pubmed></ref><ref><pubmed>9425900</pubmed></ref><ref><pubmed>9425895</pubmed></ref>。また、Kv1.1の機能欠損変異が[[発作性運動失調症]](episodic ataxia、EA)を引き起こすこと知られている<ref><pubmed>7842011</pubmed></ref>。さらに、Kv7.4(KCNQ4)やKir4.1の変異が難聴に繋がることも分かっている。(KCNQ4遺伝子は[[wikipedia:ja:常染色体優性遺伝|常染色体優性遺伝]]形式を取るDFNA2の原因遺伝子として報告された)
 脳疾患では、神経性のM電流を欠損するKv7.2(KCNQ2)やKv7.3(KCNQ3)の機能欠損変異が[[家族性良性新生児痙攣]](Benign familial neonatal epilepsy、BFNE)の原因として報告されている <ref><pubmed>9430594</pubmed></ref><ref><pubmed>9872318</pubmed></ref><ref><pubmed>9425900</pubmed></ref><ref><pubmed>9425895</pubmed></ref>。また、Kv1.1の機能欠損変異が[[発作性運動失調症]](episodic ataxia、EA)を引き起こすこと知られている<ref><pubmed>7842011</pubmed></ref>。さらに、Kv7.4(KCNQ4)やKir4.1の変異が難聴に繋がることも分かっている。(KCNQ4遺伝子は[[wikipedia:ja:常染色体優性遺伝|常染色体優性遺伝]]形式を取るDFNA2の原因遺伝子として報告された)


 [[wikipedia:ja:腎|腎]]疾患、代謝性疾患で代表的なものは、[[wikipedia:ja:腎尿細管|腎尿細管]]上皮細胞頂上膜に局在するKir1.1(ROMK1)の異常が[[wikipedia:ja:代謝性アルカローシス|代謝性アルカローシス]]や[[wikipedia:ja:低K<sup>+</sup>血症|低K<sup>+</sup>血症]]を伴う[[wikipedia:ja:Bartter症候群|Bartter症候群]](II型)を引き起こすことが分かっている。さらにKir6.2、SUR1の変異による膵臓β細胞K<sub>ATP</sub>チャネルの機能獲得変異によって[[wikipedia:ja:新生児糖尿病|新生児糖尿病]](permenent neonatal diabetes)で、逆に機能欠損変異で[[wikipedia:ja:新生児持続性高インスリン性低血糖症|新生児持続性高インスリン性低血糖症]](Persistent hyperinsulinemic hypoglycemia of infancy、PHHI)などで見つかっている。
 [[wikipedia:ja:腎|腎]]疾患、代謝性疾患で代表的なものは、[[wikipedia:ja:腎尿細管|腎尿細管]]上皮細胞頂上膜に局在するKir1.1(ROMK1)の異常が[[wikipedia:ja:代謝性アルカローシス|代謝性アルカローシス]]や[[wj:低Kカリウム血症|低K<sup>+</sup>血症]]を伴う[[wikipedia:ja:Bartter症候群|Bartter症候群]](II型)を引き起こすことが分かっている。さらにKir6.2、SUR1の変異による膵臓β細胞K<sub>ATP</sub>チャネルの機能獲得変異によって[[wikipedia:ja:新生児糖尿病|新生児糖尿病]](permenent neonatal diabetes)で、逆に機能欠損変異で[[wikipedia:ja:新生児持続性高インスリン性低血糖症|新生児持続性高インスリン性低血糖症]](Persistent hyperinsulinemic hypoglycemia of infancy、PHHI)などで見つかっている。


 チャネル病の遺伝性を解析してみると、表現型が常染色体優性遺伝で遺伝されることが多い。カリウムチャネルはα、βサブユニットの複合体であるため、異常なサブユニットが一つでも入ることで複合体の機能が欠失するドミナントネガティブ効果でイオンチャネル機能が阻害されることがある。一方、[[wikipedia:ja:ハプロ不全|ハプロ不全]](haplo-insufficiency)で発病する場合も多く報告されている。しかもその場合、機能欠損変異のみならず機能獲得変異によるチャネル病も報告されている。このことはイオンチャネルの機能が欠損していても過剰になっていても生体にとっては不適で、言い換えると適切な発現レベルや活性の範囲が存在することを示している。
 チャネル病の遺伝性を解析してみると、表現型が常染色体優性遺伝で遺伝されることが多い。カリウムチャネルはα、βサブユニットの複合体であるため、異常なサブユニットが一つでも入ることで複合体の機能が欠失するドミナントネガティブ効果でイオンチャネル機能が阻害されることがある。一方、[[wikipedia:ja:ハプロ不全|ハプロ不全]](haplo-insufficiency)で発病する場合も多く報告されている。しかもその場合、機能欠損変異のみならず機能獲得変異によるチャネル病も報告されている。このことはイオンチャネルの機能が欠損していても過剰になっていても生体にとっては不適で、言い換えると適切な発現レベルや活性の範囲が存在することを示している。

案内メニュー