「自閉スペクトラム症」の版間の差分

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 社会的相互交渉の質的異常、コミュニケーションの質的異常、および興味の限局と[[反復的行動]]のパターンを特徴とする[[発達障害]]群。[[DSM-IV]](1994)では、最も典型的な「[[自閉性障害]]」、言語発達の良好な「[[アスペルガー障害]]」、女児にみられる「[[レット障害]]」、特徴的な経過の「[[小児期崩壊性障害]]」、および「特定不能の[[広汎性発達障害]]([[非定型自閉症]]を含む)」の下位分類が設定されている。発生率は、自閉性障害が0.3~0.5%、広汎性発達障害全体で1%。性比は男:女=2~3:1で男性に多い。[[知的障害]]を伴う自閉性障害では、[[てんかん]]の合併が多い。その原因には遺伝要因のしめる割合が大きいと考えられている。多くの[[wikipedia:ja:染色体|染色体]]領域との[[wikipedia:ja:連鎖|連鎖]]が報告されており、5%程度の症例では[[wikipedia:ja:染色体異常|染色体異常]]が見られ、最も多いのは15q11-13の重複である。孤発例の10%程度にde novo[[コピー数変異]]が、15%程度にde novo[[wikipedia:ja:点変異|点変異]]が見られる。脳形態では[[小脳]][[虫部]]の体積低下や、発達早期から見られる脳全体の過形成が比較的よく一致した所見である。治療では、「療育/治療教育」「[[特別支援教育]]」などによる教育的アプローチが最も確実とされる。近年では早期発見技術が向上し、早期介入による転帰の改善が期待されている。基本症状が改善する薬物療法は今のところないが、併発しやすい[[パニック]]、[[興奮]]、[[不眠]]などに対する薬物療法が補助的に行われる。
 社会的相互交渉の質的異常、コミュニケーションの質的異常、および興味の限局と[[反復的行動]]のパターンを特徴とする[[発達障害]]群。[[DSM-IV]](1994)では、最も典型的な「[[自閉性障害]]」、言語発達の良好な「[[アスペルガー障害]]」、女児にみられる「[[レット障害]]」、特徴的な経過の「[[小児期崩壊性障害]]」、および「特定不能の[[広汎性発達障害]]([[非定型自閉症]]を含む)」の下位分類が設定されていた。発生率は、自閉性障害が0.3~0.5%、広汎性発達障害全体で1%。性比は男:女=2~3:1で男性に多い。[[知的障害]]を伴う自閉性障害では、[[てんかん]]の合併が多い。その原因には遺伝要因のしめる割合が大きいと考えられている。多くの[[wikipedia:ja:染色体|染色体]]領域との[[wikipedia:ja:連鎖|連鎖]]が報告されており、5%程度の症例では[[wikipedia:ja:染色体異常|染色体異常]]が見られ、最も多いのは15q11-13の重複である。孤発例の10%程度にde novo[[コピー数変異]]が、15%程度にde novo[[wikipedia:ja:点変異|点変異]]が見られる。脳形態では[[小脳]][[虫部]]の体積低下や、発達早期から見られる脳全体の過形成が比較的よく一致した所見である。治療では、「療育/治療教育」「[[特別支援教育]]」などによる教育的アプローチが最も確実とされる。近年では早期発見技術が向上し、早期介入による転帰の改善が期待されている。基本症状が改善する薬物療法は今のところないが、併発しやすい[[パニック]]、[[興奮]]、[[不眠]]などに対する薬物療法が補助的に行われる。
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== 自閉スペクトラム症とは ==
== 自閉スペクトラム症とは ==


 社会的相互交渉の質的異常、コミュニケーションの質的異常、および興味の限局と反復的行動のパターンを特徴とする発達障害群。DSM-IV(1994)では、最も典型的な「自閉性障害」、言語発達の良好な「アスペルガー障害」、女児にみられる「レット障害」、特徴的な経過の「小児期崩壊性障害」、および「特定不能の広汎性発達障害(非定型自閉症を含む)」の下位分類が設定されている。必ずしも広汎な領域に発達の異常がみられるとは限らないことから、「広汎性」の呼称は適切ではないとの批判がある。また、現行の下位分類設定はその妥当性に十分な根拠がないとの指摘がある。これらの理由により、最近ではこの障害群を総称して「[[自閉症スペクトラム障害]]」と呼ぶ研究者が増えており、2013年に発表され、2014年に日本語訳が出版されたDSM-5では、「自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害」とされている。
 社会的相互交渉の質的異常、コミュニケーションの質的異常、および興味の限局と反復的行動のパターンを特徴とする発達障害群。DSM-IV(1994)では、最も典型的な「自閉性障害」、言語発達の良好な「アスペルガー障害」、女児にみられる「レット障害」、特徴的な経過の「小児期崩壊性障害」、および「特定不能の広汎性発達障害(非定型自閉症を含む)」の下位分類が設定されていた。必ずしも広汎な領域に発達の異常がみられるとは限らないことから、「広汎性」の呼称は適切ではないとの批判があった。また、この下位分類設定はその妥当性に十分な根拠がないとの指摘があった。これらの理由により、最近ではこの障害群を総称して「[[自閉症スペクトラム障害]]」と呼ぶ研究者が増えており、2013年に発表され、2014年に日本語訳が出版されたDSM-5では、「自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害」とされている。


==症状==
==症状==

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