「ミエリン関連糖タンパク質」の版間の差分

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<遺伝子クローニングからノックアウトマウスの作製へ>  
<遺伝子クローニングからノックアウトマウスの作製へ>  


1987年に3つのグループがMAGのcDNAクローニングを行った。少し遅れて日本でも宮武らのグループがヒトのcDNAのクローニングを報告した。 1994年にノックアウトマウスが2つのグループによって報告され、in vitroの結果から予測されたようなドラスティックな異常はみられず、ミエリン形成がほとんど正常におこっていたことから、研究者を非常にがっかりさせた。しかしながら、そのマウスでは脱髄のあとの回復が遅れていたことから、MAGはおそらく神経再生においてのミエリン形成には重要なのではないかと考えられた<ref><pubmed>7519026</pubmed></ref><ref><pubmed>7516497</pubmed></ref>。また、MAGノックアウトマウスにおいては別の分子がその機能をコンペンセイトしているのではないかと考えられた。事実、MAGとガラクト脂質合成酵素(MAGに結合するシアル酸の合成酵素)のダブルノックアウトマウスではノードとパラノードの形成はおこるものの、その構造の維持がおこらないことから、MAGはこのようなミエリン化された神経の構造の維持に重要であると考えられている(図1)<ref><pubmed>11827985</pubmed></ref>。  
1987年に3つのグループがMAGのcDNAクローニングを行った。少し遅れて日本でも宮武らのグループがヒトのcDNAのクローニングを報告した。 1994年にノックアウトマウスが2つのグループによって報告され、in vitroの結果から予測されたようなドラスティックな異常はみられず、ミエリン形成がほとんど正常におこっていたことから、研究者を非常にがっかりさせた。しかしながら、そのマウスでは脱髄のあとの回復が遅れていたことから、MAGはおそらく神経再生においてのミエリン形成には重要なのではないかと考えられた<ref><pubmed>7519026</pubmed></ref><ref><pubmed>7516497</pubmed></ref>。また、MAGノックアウトマウスにおいては別の分子がその機能をコンペンセイトしているのではないかと考えられた。事実、MAGとガラクト脂質合成酵素(MAGに結合するシアル酸の合成酵素)のダブルノックアウトマウスではノードとパラノードの形成はおこるものの、その構造の維持がおこらないことから、MAGはこのようなミエリン化された神経の構造の維持に重要であると考えられている(図1)<ref><pubmed>11827985</pubmed></ref>[[Image:脳科学辞典01.jpg|図1 ミエリン形成された神経軸索の模式図]]。  


&lt;ミエリンインヒビターとしての論争&gt;  
&lt;ミエリンインヒビターとしての論争&gt;  
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&lt;実はNogoレセプターのリガンドだった&gt;  
&lt;実はNogoレセプターのリガンドだった&gt;  


Schwabのグループはその後も地道に生化学的に彼らのミエリンインヒビターの精製と同定を進めていた。その彼らの発表した部分アミノ酸配列をもとに2000年に3つのグループがこの分子の同定を発表し、Nogoと呼ばれたこの分子はMAGとは構造的に異なるものであった。その後、2001年にNogoのクローニングを行った3つのグループの1つであるSteven StrittmatterのグループによってNogoレセプターが同定された。その後、2002年に再び驚くべき報告がなされた。StrittmatterのグループとFilbinのグループが実はMAGもNogoレセプターのリガンドであることを明らかにしたのである<ref><pubmed>12160746</pubmed></ref><ref><pubmed>12089450</pubmed></ref>。 また、山下らはMAGの神経成長阻害の活性はp75を介しておこることを示していたが、その数ヶ月後に実はNogoレセプターはp75と結合しMAGを含むNogoリガンドはp75を通じて神経成長阻害を示すことが別の2つのグループによって明らかにされた<ref><pubmed>12426574</pubmed></ref><ref><pubmed>12422217</pubmed></ref>。つまり、ミエリンアソシエイティドインヒビターには幾つかのものがあり、MAGもその一つで、Nogoレセプターとp75を介して神経成長を抑制するということである(図2)。このMAGの活性とシグナル系路が正常のミエリン形成等においてどのような機能を果たしているかについてははっきりしていない。Nogoを含むミエリンインヒビターについてはその項を参照されたい。
Schwabのグループはその後も地道に生化学的に彼らのミエリンインヒビターの精製と同定を進めていた。その彼らの発表した部分アミノ酸配列をもとに2000年に3つのグループがこの分子の同定を発表し、Nogoと呼ばれたこの分子はMAGとは構造的に異なるものであった。その後、2001年にNogoのクローニングを行った3つのグループの1つであるSteven StrittmatterのグループによってNogoレセプターが同定された。その後、2002年に再び驚くべき報告がなされた。StrittmatterのグループとFilbinのグループが実はMAGもNogoレセプターのリガンドであることを明らかにしたのである<ref><pubmed>12160746</pubmed></ref><ref><pubmed>12089450</pubmed></ref>。 また、山下らはMAGの神経成長阻害の活性はp75を介しておこることを示していたが、その数ヶ月後に実はNogoレセプターはp75と結合しMAGを含むNogoリガンドはp75を通じて神経成長阻害を示すことが別の2つのグループによって明らかにされた<ref><pubmed>12426574</pubmed></ref><ref><pubmed>12422217</pubmed></ref>。つまり、ミエリンアソシエイティドインヒビターには幾つかのものがあり、MAGもその一つで、Nogoレセプターとp75を介して神経成長を抑制するということである(図2)[[Image:脳科学辞典02.jpg]]。このMAGの活性とシグナル系路が正常のミエリン形成等においてどのような機能を果たしているかについてははっきりしていない。Nogoを含むミエリンインヒビターについてはその項を参照されたい。


&lt;疾患との関係&gt;  
&lt;疾患との関係&gt;  
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