「軟膜」の版間の差分

2 バイト追加 、 2019年10月11日 (金)
編集の要約なし
編集の要約なし
編集の要約なし
 
(2人の利用者による、間の2版が非表示)
2行目: 2行目:
<font size="+1">[http://researchmap.jp/kyosukekamada 鎌田 恭輔 ]</font><br>
<font size="+1">[http://researchmap.jp/kyosukekamada 鎌田 恭輔 ]</font><br>
''旭川医科大学脳神経外科 ''<br>
''旭川医科大学脳神経外科 ''<br>
DOI:<selfdoi /> 原稿受付日:2015年6月10日 原稿完成日:2015年月日<br>
DOI:<selfdoi /> 原稿受付日:2015年6月10日 原稿完成日:2015年7月8日<br>
担当編集委員:[http://researchmap.jp/ichirofujita 藤田 一郎](大阪大学 大学院生命機能研究科)<br></div>
担当編集委員:[http://researchmap.jp/ichirofujita 藤田 一郎](大阪大学 大学院生命機能研究科)<br></div>


19行目: 19行目:
*'''内軟膜''' 隙間のない膜で、脳および脊髄の神経組織と癒着している。血管が脳内に入り込むところでは、内軟膜も折れ曲がって血管を包み込むように脳内に入り込んでいる。内軟膜の細胞は血管からではなく、神経組織内を拡散する[[脳脊髄液]]に栄養を依存する。
*'''内軟膜''' 隙間のない膜で、脳および脊髄の神経組織と癒着している。血管が脳内に入り込むところでは、内軟膜も折れ曲がって血管を包み込むように脳内に入り込んでいる。内軟膜の細胞は血管からではなく、神経組織内を拡散する[[脳脊髄液]]に栄養を依存する。


 [[脳軟膜]]は脳内部の空間である[[脳室]]にまで侵入し、脳室壁の[[脳室上衣細胞]]層と癒着して[[側脳室脈絡組織]]、[[第四脳室脈絡組織]]、および[[第三脳室脈絡組織]]を形成している。これらの[[脈絡組織]]は著しく血管に富む[[脈絡叢]]を形成しており、この脈絡叢から脳脊髄液が分泌される。そして、脳室内に浮遊している脈絡叢をつなぎとめる役割を果たしている(図2)。
 脳[[軟膜]]は脳内部の空間である[[脳室]]にまで侵入し、脳室壁の[[脳室上衣細胞]]層と癒着して[[側脳室脈絡組織]]、[[第四脳室脈絡組織]]、および[[第三脳室脈絡組織]]を形成している。これらの[[脈絡組織]]は著しく血管に富む[[脈絡叢]]を形成しており、この脈絡叢から脳脊髄液が分泌される。そして、脳室内に浮遊している脈絡叢をつなぎとめる役割を果たしている(図2)。


 脊髄も頭蓋内脳組織と同様に、脊柱管内では[[硬膜]]、[[くも膜]]、および軟膜に覆われている。[[脊髄軟膜]]は脊髄を全周で覆っており、どの溝にも侵入している。脊髄軟膜は内軟膜と上軟膜層に分けられ、この2層の間に脊髄の動脈系、静脈系が存在している。
 脊髄も頭蓋内脳組織と同様に、脊柱管内では[[硬膜]]、[[くも膜]]、および軟膜に覆われている。[[脊髄軟膜]]は脊髄を全周で覆っており、どの溝にも侵入している。脊髄軟膜は内軟膜と上軟膜層に分けられ、この2層の間に脊髄の動脈系、静脈系が存在している。
31行目: 31行目:


==参考文献==
==参考文献==
'''Werner Kahle、長島聖司・岩堀修明訳'''<br>
# '''Werner Kahle、長島聖司・岩堀修明訳'''<br>『分冊 解剖学アトラスIII』第5版<br>''文光堂''、ISBN 4-8306-0026-8、日本語版2003年
『分冊 解剖学アトラスIII』第5版<br>
''文光堂''、ISBN 4-8306-0026-8、日本語版2003年