「瞬目反射条件づけ」の版間の差分

ナビゲーションに移動 検索に移動
編集の要約なし
編集の要約なし
29行目: 29行目:
 
 
[[ファイル:MouseEBCC.jpg|サムネイル|300px|右|'''図1. 非拘束動物における瞬目反射条件づけ'''<br>フリームービングの実験動物で瞬目反射条件づけを可能とする手術法の概念図を示している。ラットやマウスを対象として開発された技法であるが、現在はウサギを含め多くの実験動物種における主流の方法論である。上瞼の裏に4本の電極を埋め込み、そのうち2本が眼輪筋の筋電図の取得、残る2本がUSとしての電気刺激のために用いられる。]]
[[ファイル:MouseEBCC.jpg|サムネイル|300px|右|'''図1. 非拘束動物における瞬目反射条件づけ'''<br>フリームービングの実験動物で瞬目反射条件づけを可能とする手術法の概念図を示している。ラットやマウスを対象として開発された技法であるが、現在はウサギを含め多くの実験動物種における主流の方法論である。上瞼の裏に4本の電極を埋め込み、そのうち2本が眼輪筋の筋電図の取得、残る2本がUSとしての電気刺激のために用いられる。]]
[[ファイル:Ykishimoto_fig_4.jpg|サムネイル|300px|右|'''図4. 眼輪筋筋電図法およびビデオカメラ法による瞬目条件反射の解析例'''<br>(A) 眼輪筋筋電図法による筋電位の例(マウス)。上にCSとUSのタイミングを並べて示している。条件づけ成立前にはUS開始前には筋電位の有意な変化が見られないのに対し、成立後にはCSが開始した後USの開始前に大きな筋電位変化が観察されている。これがCRである。<BR>(B) ビデオカメラ法による上瞼の動きのトラッキングの例(サル)。緑色の軌跡は上瞼の位置を表しており、赤色の軌跡は上瞼の動きの速度を示している。左のパネルは、瞳と上瞼の位置を表す。]]
[[ファイル:Ykishimoto_fig_4.jpg|サムネイル|300px|右|'''図2. 眼輪筋筋電図法およびビデオカメラ法による瞬目条件反射の解析例'''<br>(A) 眼輪筋筋電図法による筋電位の例(マウス)。上にCSとUSのタイミングを並べて示している。条件づけ成立前にはUS開始前には筋電位の有意な変化が見られないのに対し、成立後にはCSが開始した後USの開始前に大きな筋電位変化が観察されている。これがCRである。<BR>(B) ビデオカメラ法による上瞼の動きのトラッキングの例(サル)。緑色の軌跡は上瞼の位置を表しており、赤色の軌跡は上瞼の動きの速度を示している。左のパネルは、瞳と上瞼の位置を表す。]]


==方法==
==方法==
 瞬目の主動筋である眼輪筋(''orbicularis oculi'' muscle)の筋電図(EMG)法は、有効で感度の高い瞬目の検出法と考えられ、現在では多くの動物種の瞬目反射条件づけ研究において頻用される瞬き出力の計測法である(図4A)。人間やサルを対象とする場合、左下眼瞼と外眼角部に装着した電極対によって眼輪筋筋電図が測定され、USとしては通常空気刺激が用いられる<ref name=ref5 />。眼輪筋筋電図法の短所として顔面部への電極装着による異物感があげられるが、瞬目反射の動作筋そのものの活動を記録するという意味においてもっとも適した計測法とされる<ref name=ref10 />。一方、ラットやマウスに対しては、上瞼の裏側に4本の電極を埋め込み、そのうち2本を眼輪筋筋電図の取得、残る2本をUSとしての電気刺激に用いる方法論が適用される('''図1''')。各電極は頭部に取り付けられた着脱可能なコネクタを介して、筋電計に繋がれる。眼輪筋筋電図法以外の瞬目測定法としては、ビデオカメラを用いて瞼の位置を物理的にトラッキングする方法(図4B)や、小型の磁気サーチコイルを用いた方法論があり、必要に応じて使い分けられる <ref name=ref4 /><ref name=ref10 />。
 瞬目の主動筋である眼輪筋(''orbicularis oculi'' muscle)の筋電図(EMG)法は、有効で感度の高い瞬目の検出法と考えられ、現在では多くの動物種の瞬目反射条件づけ研究において頻用される瞬き出力の計測法である(図2A)。人間やサルを対象とする場合、左下眼瞼と外眼角部に装着した電極対によって眼輪筋筋電図が測定され、USとしては通常空気刺激が用いられる<ref name=ref5 />。眼輪筋筋電図法の短所として顔面部への電極装着による異物感があげられるが、瞬目反射の動作筋そのものの活動を記録するという意味においてもっとも適した計測法とされる<ref name=ref10 />。一方、ラットやマウスに対しては、上瞼の裏側に4本の電極を埋め込み、そのうち2本を眼輪筋筋電図の取得、残る2本をUSとしての電気刺激に用いる方法論が適用される('''図1''')。各電極は頭部に取り付けられた着脱可能なコネクタを介して、筋電計に繋がれる。眼輪筋筋電図法以外の瞬目測定法としては、ビデオカメラを用いて瞼の位置を物理的にトラッキングする方法(図2B)や、小型の磁気サーチコイルを用いた方法論があり、必要に応じて使い分けられる <ref name=ref4 /><ref name=ref10 />。


[[ファイル:Ykishimoto_fig_2.jpg|サムネイル|300px|右|'''図2. 瞬目反射条件づけの遅延課題と痕跡課題におけるCSとUSの時間的関係'''<br>(A) 遅延課題におけるCSとUSの時間的関係<BR>(B) 痕跡課題におけるCSとUSの時間的関係。遅延課題と痕跡課題の違いは、前者ではCSとUSの時間的重なりがあるのに対し、後者ではCSとUSの間に空白時間(痕跡間隔)が存在することである。CSとUSの長さや刺激間隔は、実験動物種や実験の用途によって変化する。遅延課題が一般的に小脳依存性の運動学習として記述されるのに対し、痕跡課題は、その痕跡間隔が十分に長い場合、海馬依存性の課題になることが知られている。]]
[[ファイル:Ykishimoto_fig_2.jpg|サムネイル|300px|右|'''図3. 瞬目反射条件づけの遅延課題と痕跡課題におけるCSとUSの時間的関係'''<br>(A) 遅延課題におけるCSとUSの時間的関係<BR>(B) 痕跡課題におけるCSとUSの時間的関係。遅延課題と痕跡課題の違いは、前者ではCSとUSの時間的重なりがあるのに対し、後者ではCSとUSの間に空白時間(痕跡間隔)が存在することである。CSとUSの長さや刺激間隔は、実験動物種や実験の用途によって変化する。遅延課題が一般的に小脳依存性の運動学習として記述されるのに対し、痕跡課題は、その痕跡間隔が十分に長い場合、海馬依存性の課題になることが知られている。]]


== 遅延課題と痕跡課題 ==
== 遅延課題と痕跡課題 ==
 他の古典的条件づけと同様に、CSとUSが提示される順序が、瞬目反射条件づけの成立に決定的な要因となる。CSより前にUSが提示されるような課題([[逆向性条件づけ]])では、原則的に学習の成立は困難である。一方、CSがUSに先行する課題(先行性条件づけ)で、学習は有効的に成立する。CSの開始とUSの開始の時間的間隔を刺激時間間隔(Interstimulus Interval; ISI)と呼び、ウサギの場合この間隔が200 -250 ms程度で最も学習獲得効率が大きくなることが知られている<ref name=ref9 />。
 他の古典的条件づけと同様に、CSとUSが提示される順序が、瞬目反射条件づけの成立に決定的な要因となる。CSより前にUSが提示されるような課題([[逆向性条件づけ]])では、原則的に学習の成立は困難である。一方、CSがUSに先行する課題(先行性条件づけ)で、学習は有効的に成立する。CSの開始とUSの開始の時間的間隔を刺激時間間隔(Interstimulus Interval; ISI)と呼び、ウサギの場合この間隔が200 -250 ms程度で最も学習獲得効率が大きくなることが知られている<ref name=ref9 />。


 USとCSの時間特性の違いによって、[[遅延課題|遅延(delay)課題]]と[[痕跡課題|痕跡(trace)課題]]の2種類の行動パラダイムが存在する(図2)。遅延課題は、CSとUSに時間的な重なりがあり、かつ同時に終了するようなパラダイムである('''図2A''')。痕跡課題では、CSが終了してからUSが提示される。言いかえれば、痕跡課題では、CSとUSの間に無刺激の期間(痕跡間隔)が挿入される('''図2B''')。
 USとCSの時間特性の違いによって、[[遅延課題|遅延(delay)課題]]と[[痕跡課題|痕跡(trace)課題]]の2種類の行動パラダイムが存在する(図3)。遅延課題は、CSとUSに時間的な重なりがあり、かつ同時に終了するようなパラダイムである('''図3A''')。痕跡課題では、CSが終了してからUSが提示される。言いかえれば、痕跡課題では、CSとUSの間に無刺激の期間(痕跡間隔)が挿入される('''図3B''')。


 両課題ともその記憶獲得に小脳が必要であるが、痕跡課題においては、その痕跡間隔が十分に大きい場合、記憶の獲得に小脳に加えて海馬が必須となる。例えば、ウサギやマウスでは痕跡間隔が500 ms以上の場合、ラットでは250 ms以上の場合、痕跡課題が海馬依存性学習になることが示されている<ref name=ref16 /><ref><pubmed> 2346619 </pubmed></ref><ref><pubmed> 10512579 </pubmed></ref>。なお、遅延課題の場合、海馬を除去しても学習は成立するが、海馬ニューロンの活動を電気的に、あるいは[[スコポラミン]]の投与などで薬理学的に撹乱させると、CRの獲得が遅くなることが知られている<ref><pubmed> 6836277 </pubmed></ref>。従って、遅延課題の成立に海馬は不要であるものの、海馬の異常は遅延課題に影響を与えるという意味において両者は関連性を持っているわけである。実際70年代までは、遅延課題を対象とした研究でも、小脳より海馬ニューロン活動との関連が興味の中心とされていた。小脳と遅延課題との関係が実験的に検討され始めたのは80年代になってからである。ところで、小脳は痕跡課題においても必要であると先述したが、[[小脳皮質]]のシナプス可塑性に障害を持つノックアウトマウスや小脳皮質の唯一の出力細胞である[[プルキンエ細胞]](PC)が消失した''pcd''(Purkinje cell deficient)マウスでは、痕跡課題の学習能力が正常に保たれていることが発見されてから、痕跡課題には小脳皮質は必須ではないという同意が得られつつある<ref><pubmed> 19931625 </pubmed></ref><ref><pubmed> 11285022 </pubmed></ref>。つまり、[[小脳核]]は、遅延、痕跡両課題に必須であるものの、小脳皮質は遅延課題のみで重要な役割を担っている可能性がある。
 両課題ともその記憶獲得に小脳が必要であるが、痕跡課題においては、その痕跡間隔が十分に大きい場合、記憶の獲得に小脳に加えて海馬が必須となる。例えば、ウサギやマウスでは痕跡間隔が500 ms以上の場合、ラットでは250 ms以上の場合、痕跡課題が海馬依存性学習になることが示されている<ref name=ref16 /><ref><pubmed> 2346619 </pubmed></ref><ref><pubmed> 10512579 </pubmed></ref>。なお、遅延課題の場合、海馬を除去しても学習は成立するが、海馬ニューロンの活動を電気的に、あるいは[[スコポラミン]]の投与などで薬理学的に撹乱させると、CRの獲得が遅くなることが知られている<ref><pubmed> 6836277 </pubmed></ref>。従って、遅延課題の成立に海馬は不要であるものの、海馬の異常は遅延課題に影響を与えるという意味において両者は関連性を持っているわけである。実際70年代までは、遅延課題を対象とした研究でも、小脳より海馬ニューロン活動との関連が興味の中心とされていた。小脳と遅延課題との関係が実験的に検討され始めたのは80年代になってからである。ところで、小脳は痕跡課題においても必要であると先述したが、[[小脳皮質]]のシナプス可塑性に障害を持つノックアウトマウスや小脳皮質の唯一の出力細胞である[[プルキンエ細胞]](PC)が消失した''pcd''(Purkinje cell deficient)マウスでは、痕跡課題の学習能力が正常に保たれていることが発見されてから、痕跡課題には小脳皮質は必須ではないという同意が得られつつある<ref><pubmed> 19931625 </pubmed></ref><ref><pubmed> 11285022 </pubmed></ref>。つまり、[[小脳核]]は、遅延、痕跡両課題に必須であるものの、小脳皮質は遅延課題のみで重要な役割を担っている可能性がある。


== 瞬目反射条件づけの神経回路とLTD仮説 ==
== 瞬目反射条件づけの神経回路とLTD仮説 ==
[[ファイル:Ykishimoto_fig_3.jpg|サムネイル|300px|右|'''図3. 瞬目反射条件づけ(遅延課題)に関わる小脳回路'''<br>瞬目反射条件づけ(遅延課題)に関わる小脳神経回路図を非常に簡略化して示したものである。CSの情報は、顆粒細胞を辿って小脳皮質のプルキンエ細胞に入力するとともに、苔状繊維を通って中位核にも入力する(紫色の矢印で示す)。他方、USの情報は、下オリーブ核から登上繊維を通ってプルキンエ細胞に入力するとともに、中位核にも入力する(橙色の矢印で示す)。従って、小脳皮質と小脳核の二つの部位でCS-USの連合が生じる。小脳LTDは、平行繊維とプルキンエ細胞間において神経伝達物質の伝達効率が減少する現象である。LTD仮説によれば、プルキンエ細胞から中位核への抑制性出力により、通常はCSのみでCRは出現しないが、LTDによってこの抑制が解除されるとCSのみでCRを発現する経路が顕在化すると考えられている。]]
[[ファイル:Ykishimoto_fig_3.jpg|サムネイル|300px|右|'''図4. 瞬目反射条件づけ(遅延課題)に関わる小脳回路'''<br>瞬目反射条件づけ(遅延課題)に関わる小脳神経回路図を非常に簡略化して示したものである。CSの情報は、顆粒細胞を辿って小脳皮質のプルキンエ細胞に入力するとともに、苔状繊維を通って中位核にも入力する(紫色の矢印で示す)。他方、USの情報は、下オリーブ核から登上繊維を通ってプルキンエ細胞に入力するとともに、中位核にも入力する(橙色の矢印で示す)。従って、小脳皮質と小脳核の二つの部位でCS-USの連合が生じる。小脳LTDは、平行繊維とプルキンエ細胞間において神経伝達物質の伝達効率が減少する現象である。LTD仮説によれば、プルキンエ細胞から中位核への抑制性出力により、通常はCSのみでCRは出現しないが、LTDによってこの抑制が解除されるとCSのみでCRを発現する経路が顕在化すると考えられている。]]


 瞬目反射条件づけ(遅延課題)に関与する小脳の神経回路について概説する。非常に簡略した模式図を'''図3'''に示した。
 瞬目反射条件づけ(遅延課題)に関与する小脳の神経回路について概説する。非常に簡略した模式図を'''図4'''に示した。


=== 瞬目の反射経路 ===
=== 瞬目の反射経路 ===
58行目: 58行目:


=== 小脳におけるCS-US入力の統合と長期抑圧===  
=== 小脳におけるCS-US入力の統合と長期抑圧===  
 CSとUSの情報は、小脳において2つの部位、小脳皮質と小脳核で連合される(図3)。小脳核の中でも、瞬目反射条件づけに殊に重要とされる領域は[[中位核]](interpositus nucleus)である。橋核と下オリーブ核からそれぞれ運ばれてきたCSとUS情報の統合に加え、中位核のニューロンは小脳皮質のプルキンエ細胞から強力なGAB<sub>A</sub>作動性の抑制性入力を受けている。中位核から出力された情報は、[[赤核]]を経て、瞬目の運動出力を担う[[顔面神経核]]や[[外転神経核]]へと投射される。すなわち、小脳核は、CSとUSの収斂の場であるだけでなく、小脳からの情報出力を担う構造でもある。
 CSとUSの情報は、小脳において2つの部位、小脳皮質と小脳核で連合される(図4)。小脳核の中でも、瞬目反射条件づけに殊に重要とされる領域は[[中位核]](interpositus nucleus)である。橋核と下オリーブ核からそれぞれ運ばれてきたCSとUS情報の統合に加え、中位核のニューロンは小脳皮質のプルキンエ細胞から強力なGAB<sub>A</sub>作動性の抑制性入力を受けている。中位核から出力された情報は、[[赤核]]を経て、瞬目の運動出力を担う[[顔面神経核]]や[[外転神経核]]へと投射される。すなわち、小脳核は、CSとUSの収斂の場であるだけでなく、小脳からの情報出力を担う構造でもある。


 なお、平行線維とプルキンエ細胞間にはシナプス伝達効率の[[長期抑圧]](LTD)が生じることが知られている(図3)。プルキンエ細胞の抑制性の出力が解除されることで、[[驚愕反射]]としても知られる「音を聴いて瞬きが起こる経路」が顕れるという説明がこのモデルの眼目である<ref>'''M Ito'''<br>The cerebellum and neural control<br>''Raven Press(New York)'':1984</ref> 。前述したように、これまでにLTDに欠損があるマウス系統の多くで瞬目反射条件づけ(遅延課題)の記憶形成に重篤な障害が起きていることが示されてきた。これは、小脳LTDと瞬目反射条件づけが少なくとも同じ分子基盤を共有していることを強く示す証左であった。ところが、近年小脳LTDが障害されているミュータントマウスでも、前庭動眼反射とともに瞬目反射条件づけ(遅延課題)の学習能力も正常であったと主張する報告が提出された<ref><pubmed> 21482355 </pubmed></ref>。また、小脳LTDは、運動記憶の形成そのものよりも、学習の表出のタイミングを担っているとする論調も目立つようになってきたが、これらの研究も遺伝子改変マウスにおける行動とシナプス機能の相関関係を論じたものであり、因果関係を必ずしも明確にしたものではない。
 なお、平行線維とプルキンエ細胞間にはシナプス伝達効率の[[長期抑圧]](LTD)が生じることが知られている(図4)。プルキンエ細胞の抑制性の出力が解除されることで、[[驚愕反射]]としても知られる「音を聴いて瞬きが起こる経路」が顕れるという説明がこのモデルの眼目である<ref>'''M Ito'''<br>The cerebellum and neural control<br>''Raven Press(New York)'':1984</ref> 。前述したように、これまでにLTDに欠損があるマウス系統の多くで瞬目反射条件づけ(遅延課題)の記憶形成に重篤な障害が起きていることが示されてきた。これは、小脳LTDと瞬目反射条件づけが少なくとも同じ分子基盤を共有していることを強く示す証左であった。ところが、近年小脳LTDが障害されているミュータントマウスでも、前庭動眼反射とともに瞬目反射条件づけ(遅延課題)の学習能力も正常であったと主張する報告が提出された<ref><pubmed> 21482355 </pubmed></ref>。また、小脳LTDは、運動記憶の形成そのものよりも、学習の表出のタイミングを担っているとする論調も目立つようになってきたが、これらの研究も遺伝子改変マウスにおける行動とシナプス機能の相関関係を論じたものであり、因果関係を必ずしも明確にしたものではない。


=== 小脳皮質vs.小脳核の論争 ===
=== 小脳皮質vs.小脳核の論争 ===
120

回編集

案内メニュー