「盲視」の版間の差分

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 視覚誘導性サッカード課題において、損傷視野に提示した視覚標的の輝度コントラストに対する閾値は正常視野と比べて上昇していた<ref name=ref1><pubmed> 18923028 </pubmed></ref>。また、サッカードの終止点は不正確であり、軌道も正常視野へのサッカードと比べてより直線的になっていた。このことはV1損傷が視覚だけでなく運動コントロールにも影響を与えていることが示唆している。また、応答潜時は分布が狭くなっており、計算論的解析から、V1損傷が意志決定の過程にも影響を与えていることが示唆している。
 視覚誘導性サッカード課題において、損傷視野に提示した視覚標的の輝度コントラストに対する閾値は正常視野と比べて上昇していた<ref name=ref1><pubmed> 18923028 </pubmed></ref>。また、サッカードの終止点は不正確であり、軌道も正常視野へのサッカードと比べてより直線的になっていた。このことはV1損傷が視覚だけでなく運動コントロールにも影響を与えていることが示唆している。また、応答潜時は分布が狭くなっており、計算論的解析から、V1損傷が意志決定の過程にも影響を与えていることが示唆している。


 記憶誘導性サッカード課題を用いて、盲視モデル動物が見えていない部分に提示された視覚刺激の位置を2秒間記憶することが出来るかどうかを検証したところ、盲視モデル動物はこの課題を90%以上の成績で行うことができた<ref name=ref2><pubmed> 21411664 </pubmed></ref>。また、注意誘因課題において、キュー刺激を事前に提示することによって視覚誘導性サッカードの応答潜時は短くなった<ref><pubmed> 20521856 </pubmed></ref>。これらのことは盲視の動物モデルでは反射的な視覚情報処理だけではなく、高次認知機能も遂行可能であることを示唆している。
 記憶誘導性サッカード課題を用いて、盲視[[モデル動物]]が見えていない部分に提示された視覚刺激の位置を2秒間記憶することが出来るかどうかを検証したところ、盲視モデル動物はこの課題を90%以上の成績で行うことができた<ref name=ref2><pubmed> 21411664 </pubmed></ref>。また、注意誘因課題において、キュー刺激を事前に提示することによって視覚誘導性サッカードの応答潜時は短くなった<ref><pubmed> 20521856 </pubmed></ref>。これらのことは盲視の動物モデルでは反射的な視覚情報処理だけではなく、高次認知機能も遂行可能であることを示唆している。


 盲視モデル動物がムービークリップを受動的に見ている間の眼の動きを[[サリエンシー]]計算論モデルによって解析することによって、盲視で利用可能な情報処理のチャンネルを網羅的に調べた報告がある<ref><pubmed> 22748317 </pubmed></ref>。盲視モデル動物では「輝度」「赤-緑」「青-黄」「動き」の情報は利用できるが、「傾き」の情報は利用できなかった。同じ動物に等輝度色刺激を提示して刺激を検出できるかどうか検証したところ、赤-緑、青-黄どちらの刺激ともに偶然より高い成績で検出できることが判明した。この結果は盲視モデル動物で色情報の処理が出来るとするこれまでの報告<ref name=ref9></ref>と整合的だった。
 盲視モデル動物がムービークリップを受動的に見ている間の眼の動きを[[サリエンシー]]計算論モデルによって解析することによって、盲視で利用可能な情報処理のチャンネルを網羅的に調べた報告がある<ref><pubmed> 22748317 </pubmed></ref>。盲視モデル動物では「輝度」「赤-緑」「青-黄」「動き」の情報は利用できるが、「傾き」の情報は利用できなかった。同じ動物に等輝度色刺激を提示して刺激を検出できるかどうか検証したところ、赤-緑、青-黄どちらの刺激ともに偶然より高い成績で検出できることが判明した。この結果は盲視モデル動物で色情報の処理が出来るとするこれまでの報告<ref name=ref9></ref>と整合的だった。

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