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==脳波との比較== | ==脳波との比較== | ||
ヒトの脳機能を非侵襲的に計測する他の方法として、頭皮上に装着された頭皮上電極から記録される「脳波(electroencephalography: EEG)」がある。脳波は脳磁法と同じように非常に高い時間分解能で脳活動を計測することができるが、神経活動を導電率の異なる脳・脊髄液・骨・皮膚などを通して観察することになる。この信号源と記録電極の間にある[http://www.scholarpedia.org/article/Volume_conduction 容積導体] | ヒトの脳機能を非侵襲的に計測する他の方法として、頭皮上に装着された頭皮上電極から記録される「脳波(electroencephalography: EEG)」がある。脳波は脳磁法と同じように非常に高い時間分解能で脳活動を計測することができるが、神経活動を導電率の異なる脳・脊髄液・骨・皮膚などを通して観察することになる。この信号源と記録電極の間にある[http://www.scholarpedia.org/article/Volume_conduction 容積導体](volume conduction)は不均一であり、脳波の空間分解能には限界がある。しかしながら、脳磁場信号は神経細胞内電流を直接的に反映し、容積導体の影響をほとんど受けないため、脳波に比べて高い空間分解能を有しておりmm単位の正確度で信号源を推測することも可能である<ref name=ref3><pubmed>6190632</pubmed></ref>。すなわち頭蓋骨や表皮、脳脊髄液など電気伝導率が大きく異なる組成の影響を脳波のように受けないことが脳磁法の大きなメリットである<ref name=ref4><pubmed>9741752</pubmed></ref>。また脳波では、何らかの基準点(耳朶電位基準や平均電位基準など)が必要となるが、脳磁法では基準点が必要ないこともメリットとなる。また脳波では記録電極と頭皮との接触が良くないと信号にノイズが混入してしまう。 | ||
脳磁法の短所としては、経済的な観点から見ると、計測装置が大型で高価であること、またSQUIDsを絶えず液体ヘリウムで冷却する必要が有るため維持費が高額になる点が挙げられる。神経活動計測に関しては、磁気センサーに対して垂直方向の電流を計測することが困難なこと、脳深部の神経活動計測が難しい点が挙げられる。また、計測中は頭の位値を固定しておく必要があるため、歩行中の脳活動や覚醒下の乳児を計測することは困難である。 | 脳磁法の短所としては、経済的な観点から見ると、計測装置が大型で高価であること、またSQUIDsを絶えず液体ヘリウムで冷却する必要が有るため維持費が高額になる点が挙げられる。神経活動計測に関しては、磁気センサーに対して垂直方向の電流を計測することが困難なこと、脳深部の神経活動計測が難しい点が挙げられる。また、計測中は頭の位値を固定しておく必要があるため、歩行中の脳活動や覚醒下の乳児を計測することは困難である。 | ||
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==その他のNeuroimaging法との比較== | ==その他のNeuroimaging法との比較== | ||
脳磁法の長所としては、positron emission | 脳磁法の長所としては、positron emission tomography(PET)、Single Photon Emission Computed Tomography(SPECT)、functional Magnetic Resonance Imaging(fMRI)、Near Infra-Red Spectroscopy(NIRS)が血流や代謝などを指標に脳神経活動を間接的に計測しているのに対して、神経電気活動を非常に高い時間分解能で直接計測している点があげられる。また、脳磁法は生体への干渉を行わず観察するのみなので、他のNeuroimaging法とくらべても全くの非侵襲的計測法であるといえる。 | ||
短所としては脳磁法で神経活動の信号源を知るためには逆問題を解く必要があるが解が唯一ではない非適切な問題であるため、脳活動に関する前提的な知識を含んだモデルを用いて制限することで解を導き出す必要がある。PET、SPECT、fMRI、NIRSでは逆問題を解く必要はない。また脳磁法、NIRSは脳の深部の活動をうまく計測できないがPET、SPECT、fMRIでは可能である。 | |||
==参考文献== | ==参考文献== | ||
<references /> | <references /> |