「後悔回避」の版間の差分

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==神経基盤==
==神経基盤==
 脳神経科学的研究の中では、内側前頭眼窩皮質の脳損傷患者および健常者を対象に心理実験課題(ルーレット課題)を行ったCoricelliらのグループの研究が有名である<ref name=ref3 /> <ref name=ref5><pubmed>15155951</pubmed></ref> <ref name=ref7><pubmed>17475537</pubmed></ref>。この研究では、経験後悔・予期後悔の強さおよび後悔回避的な選択と、内側前頭眼窩皮質(medial orbitofrontal cortex)の活動との間に相関が見いだされている。その他の研究でも、後悔に前頭眼窩皮質が関わることが追試されている<ref name=ref8><pubmed>19760243</pubmed></ref> <ref name=ref9><pubmed>15795133</pubmed></ref>。
 脳神経科学的研究の中では、内側前頭眼窩皮質の脳損傷患者および健常者を対象に心理実験課題(ルーレット課題)を行ったCoricelliらのグループの研究が有名である<ref name=ref3><pubmed>16116457</pubmed></ref><ref name=ref5><pubmed>15155951</pubmed></ref> <ref name=ref7><pubmed>17475537</pubmed></ref>。この研究では、経験後悔・予期後悔の強さおよび後悔回避的な選択と、内側前頭眼窩皮質(medial orbitofrontal cortex)の活動との間に相関が見いだされている。その他の研究でも、後悔に前頭眼窩皮質が関わることが追試されている<ref name=ref8><pubmed>19760243</pubmed></ref> <ref name=ref9><pubmed>15795133</pubmed></ref>。


 Camilleら<ref name=ref5 />の研究では、実験参加者は、提示された2つのルーレットからどちらかひとつのルーレット(賭)を選ぶことを求められた。そして、選んだ賭で得られたポイントによって実験参加者の報酬が決まるという課題になっていた。実験では、賭選択後に選択した賭の結果だけをフィードバックする条件(部分フィードバック条件;期待との比較による失望を仮定)と選択した賭と選択しなかった賭のどちらも結果をフィードバックする条件(完全フィードバック条件;選ばなかった賭との比較による後悔を仮定)を比較した。その結果、健常者は、選んだ賭によって損失を被った場合(かつ、選ばなかった賭、あるいは期待がそれよりも良い結果だった場合)、完全フィードバック条件では不完全フィードバック条件よりも、自己報告によるネガティブ感情の評価と皮膚電位反応の双方において強い感情反応が見られた。一方、内側前頭眼窩皮質損傷患者は両条件に差がなかった<ref name=ref5 />。
 Camilleら<ref name=ref5 />の研究では、実験参加者は、提示された2つのルーレットからどちらかひとつのルーレット(賭)を選ぶことを求められた。そして、選んだ賭で得られたポイントによって実験参加者の報酬が決まるという課題になっていた。実験では、賭選択後に選択した賭の結果だけをフィードバックする条件(部分フィードバック条件;期待との比較による失望を仮定)と選択した賭と選択しなかった賭のどちらも結果をフィードバックする条件(完全フィードバック条件;選ばなかった賭との比較による後悔を仮定)を比較した。その結果、健常者は、選んだ賭によって損失を被った場合(かつ、選ばなかった賭、あるいは期待がそれよりも良い結果だった場合)、完全フィードバック条件では不完全フィードバック条件よりも、自己報告によるネガティブ感情の評価と皮膚電位反応の双方において強い感情反応が見られた。一方、内側前頭眼窩皮質損傷患者は両条件に差がなかった<ref name=ref5 />。

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