「S100タンパク質」の版間の差分

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S100 蛋白質は、EF-hand型カルシウム結合性ドメイン(loop-helix-loop)をもつ分子量が8~14kD程度の低分子量蛋白質群である。B.W. Mooreにより、1965年にウシ脳から分離された。現在までに20種類以上のサブファミリーが同定されている。S100という名称は「中性硫酸アンモニウムに完全に(100%)溶ける(Soluble)」という特性に由来している。分類として、現在のところS100A1~S100A18、S100B、S100P、S100Z、Calbindin D9k (S100G)、Profilaggrin、Trychohyalin、Repetinに分類される。S100Bは特に脳での発現が高いことで知られている。哺乳類の中枢神経系では、グリア細胞の一種であるアストロサイトに選択的に発現する。末梢神経系ではグリア細胞のシュワン細胞に発現する。S100蛋白質群の機能は、カルシウムバッファー以外にも多岐にまたがると考えられており、未解明な部分が多い。またS100蛋白質は細胞内のシグナル伝達のみならず、細胞外にも分泌される事が知られており、実際に血漿や脳脊髄液からも検出される。培養細胞系では、細胞外のS100Bは神経細胞の生存にかかわる栄養因子として働くことが提唱されている。
S100 蛋白質は、EF-hand型カルシウム結合性ドメイン(loop-helix-loop)をもつ分子量が8~14kD程度の低分子量蛋白質群である。B.W. Mooreにより、1965年にウシ脳から分離された。現在までに20種類以上のサブファミリーが同定されている。S100という名称は「中性硫酸アンモニウムに完全に(100%)溶ける(Soluble)」という特性に由来している。分類として、現在のところS100A1~S100A18、S100B、S100P、S100Z、Calbindin D<sub>9k</sub> (S100G)、Profilaggrin、Trychohyalin、Repetinに分類される。S100Bは特に脳での発現が高いことで知られている。哺乳類の中枢神経系では、グリア細胞の一種であるアストロサイトに選択的に発現する。末梢神経系ではグリア細胞のシュワン細胞に発現する。S100蛋白質群の機能は、カルシウムバッファー以外にも多岐にまたがると考えられており、未解明な部分が多い。またS100蛋白質は細胞内のシグナル伝達のみならず、細胞外にも分泌される事が知られており、実際に血漿や脳脊髄液からも検出される。培養細胞系では、細胞外のS100Bは神経細胞の生存にかかわる栄養因子として働くことが提唱されている。  


== 構造  ==
== 構造  ==
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