「筋萎縮性側索硬化症」の版間の差分

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英:amyotrophic lateral sclerosis, 英略称: ALS 独:Amyotrophy Lateralsklerose 仏:sclérose latérale amyotrophique
英:amyotrophic lateral sclerosis, 英略称: ALS 独:Amyotrophy Lateralsklerose 仏:sclérose latérale amyotrophie
 
同義語:ルー・ゲーリッグ病 (Lou Gehrig's disease)


{{box|text= 筋萎縮性側索硬化症は、大脳皮質運動野および脳幹、脊髄の運動神経の細胞死による、全身の骨格筋の筋力低下、筋萎縮を主症状とする進行性の神経変性疾患である。ALSの90%以上は、非遺伝性に発症するが、約5−10%は遺伝性に発症する。遺伝性ALSの原因遺伝子は約20種類が同定されている。運動神経細胞死の根本的原因は不明であり、有効といえる治療法は確立されていない。最近、非遺伝性を含むALSの病巣に異常蓄積するTDP-43タンパク質が同定された。これらの病因タンパク質や遺伝子を手がかりとして病態の解明に向けて研究が進展している。}}
{{box|text= 筋萎縮性側索硬化症は、大脳皮質運動野および脳幹、脊髄の運動神経の細胞死による、全身の骨格筋の筋力低下、筋萎縮を主症状とする進行性の神経変性疾患である。ALSの90%以上は、非遺伝性に発症するが、約5−10%は遺伝性に発症する。遺伝性ALSの原因遺伝子は約20種類が同定されている。運動神経細胞死の根本的原因は不明であり、有効といえる治療法は確立されていない。最近、非遺伝性を含むALSの病巣に異常蓄積するTDP-43タンパク質が同定された。これらの病因タンパク質や遺伝子を手がかりとして病態の解明に向けて研究が進展している。}}
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===ALSの動物モデル===
===ALSの動物モデル===
 変異SOD1を過剰発現するトランスジェニックマウス(SOD1tgマウス)では、運動神経に[[細胞死]]が起こることによって進行性に下肢の麻痺や筋萎縮を示し、ALSの症状や病理変化をよく再現することからALSの[[モデル動物]]として頻用されている<ref><pubmed> 8209258 </pubmed></ref>。しかし、SOD1変異に伴うALSの病理組織ではTDP-43陽性封入体やブニナ小体を欠くなど、その病態が孤発性ALSと必ずしも一致しないことから、より孤発性ALSに近い病態の再現を目指した新たな[[動物モデル]]の作製が盛んに試みられている。具体的には、変異TDP-43や変異FUSを発現するトランスジェニックマウスが報告されている<ref name=ref13 />ほか、[[アデノ随伴ウイルスベクター]](AAV)<ref><pubmed> 25977373 </pubmed></ref>や人工染色体<ref name=ref19 /><ref name=ref20 />を用いて、C9orf72の異常なリピート伸長を導入したマウスなどが報告されているが、運動神経に選択的な細胞死が起こる[[モデル動物]]の樹立には至っていない。
 変異SOD1を過剰発現するトランスジェニックマウス(SOD1tgマウス)では、運動神経に[[細胞死]]が起こることによって進行性に下肢の麻痺や筋萎縮を示し、ALSの症状や病理変化をよく再現することからALSの[[モデル動物]]として頻用されている<ref><pubmed> 8209258 </pubmed></ref>。しかし、SOD1変異に伴うALSの病理組織ではTDP-43陽性封入体やブニナ小体を欠くなど、その病態が孤発性ALSと必ずしも一致しないことから、より孤発性ALSに近い病態の再現を目指した新たな[[動物モデル]]の作製が盛んに試みられている。具体的には、変異TDP-43や変異FUSを発現するトランスジェニックマウスが報告されている<ref name=ref13 />ほか、[[アデノ随伴ウイルスベクター]](AAV vector)<ref><pubmed> 25977373 </pubmed></ref>や人工染色体<ref name=ref19 /><ref name=ref20 />を用いて、C9orf72の異常なリピート伸長を導入したマウスなどが報告されているが、運動神経に選択的な細胞死が起こる[[モデル動物]]の樹立には至っていない。


==神経細胞内の分子病態==
==神経細胞内の分子病態==

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