2
回編集
細編集の要約なし |
Yoshimitakai (トーク | 投稿記録) 細編集の要約なし |
||
26行目: | 26行目: | ||
カドヘリンはカドヘリンスーパーファミリーに属する一連の[[細胞膜]]貫通型分子の総称であり、アドヘレンスジャンクションで機能するカドヘリンは主に20種類程度の分子群により構成されるクラシックカドヘリンファミリー(当初に発見されたことからこのように呼ばれる)に属する。 | カドヘリンはカドヘリンスーパーファミリーに属する一連の[[細胞膜]]貫通型分子の総称であり、アドヘレンスジャンクションで機能するカドヘリンは主に20種類程度の分子群により構成されるクラシックカドヘリンファミリー(当初に発見されたことからこのように呼ばれる)に属する。 | ||
クラシックカドヘリンはその細胞外にファミリー間で保存された5つのカドヘリンリピートないしECドメインと呼ばれるドメインからなる繰り返し構造を特徴とした細胞外領域、それに続く膜貫通領域と細胞内領域を有する一回膜貫通型の[[細胞接着分子]]である。カドヘリンは[[カルシウムイオン]]依存性に同種分子同士の強固な接着をにない、また高度に保存された細胞内領域でカテニンと結合して細胞内骨格系と細胞膜のアドヘレンスジャンクション分子複合体をつなぐ上で必須の役割を果たしている。カドヘリンやカテニンの機能を阻害するとアドヘレンスジャンクションの形成と維持に障害が生じ、胚形成や、神経系での[[大脳皮質]] | クラシックカドヘリンはその細胞外にファミリー間で保存された5つのカドヘリンリピートないしECドメインと呼ばれるドメインからなる繰り返し構造を特徴とした細胞外領域、それに続く膜貫通領域と細胞内領域を有する一回膜貫通型の[[細胞接着分子]]である。カドヘリンは[[カルシウムイオン]]依存性に同種分子同士の強固な接着をにない、また高度に保存された細胞内領域でカテニンと結合して細胞内骨格系と細胞膜のアドヘレンスジャンクション分子複合体をつなぐ上で必須の役割を果たしている。カドヘリンやカテニンの機能を阻害するとアドヘレンスジャンクションの形成と維持に障害が生じ、胚形成や、神経系での[[大脳皮質]]の構造形成などに重要な機能を果たしていることが明らかになっている。また、シナプス形成や機能においても重要な役割を果たしていることが知られている(後述)<ref name=ref4></ref><ref name=ref5></ref>。 | ||
=== カテニン === | === カテニン === | ||
カテニンはカドヘリンの裏打ち分子として、接着した細胞膜を[[細胞骨格]]系に結びつける重要な働きをになっている。カテニンのうちカドヘリンに結合するのは[[p120カテニン]]と[[カテニン#β–カテニン、プラコグロビン|β-カテニン]]であり、β-カテニンは[[Α-カテニン|α-カテニン]]と結合しカドヘリン-カテニン複合体を形成する。α- | カテニンはカドヘリンの裏打ち分子として、接着した細胞膜を[[細胞骨格]]系に結びつける重要な働きをになっている。カテニンのうちカドヘリンに結合するのは[[p120カテニン]]と[[カテニン#β–カテニン、プラコグロビン|β-カテニン]]であり、β-カテニンは[[Α-カテニン|α-カテニン]]と結合しカドヘリン-カテニン複合体を形成する。α-カテニンがアクチン線維と結合することから、カドヘリン-カテニン系とアクチン線維が連動していることが想定されてきたが、それに反して、カドヘリン-カテニン複合体は直接アクチンには結合しないことが示された<ref name=ref11><pubmed> 16325582 </pubmed></ref>。この問題に関しては、さらに分子メカニズムの解明に大きな進展があった。すなわち、アクチン骨格系とカドヘリン-カテニン系をつなぐものとして、アクチンとα-カテニンに結合する分子[[エプリン]]が同定され、ベルト状アドヘレンスジャンクションの形成に必要であることが解明された<ref name=ref12><pubmed> 18093941 </pubmed></ref>。 | ||
一方、[[p120-カテニン]]は[[PLEKHA7]]と結合し、PLEKHA7が[[微小管]]マイナス端結合分子[[Nezha]]と結合することで、カドヘリン- | 一方、[[p120-カテニン]]は[[PLEKHA7]]と結合し、PLEKHA7が[[微小管]]マイナス端結合分子[[Nezha]]と結合することで、カドヘリン-カテニン系を介してアドヘレンスジャンクションと微小管が連結されることもわかっており<ref name=ref13><pubmed> 19041755 </pubmed></ref>、複雑な細胞骨格系の裏打ちがアドヘレンスジャンクションの機能を制御していることが明らかになりつつある。β-カテニンにはまた、[[Wntシグナル]]経路のメディエーターとしての働きや、シナプスにおけるタンパク質複合体のリンカーとしての働きなどがあり、カドヘリンと共益するアドヘレンスジャンクション形成や機能における役割以外にも重要な分子であるが、それらとアドヘレンスジャンクションの機能を仲介している可能性も示唆されている<ref name=ref14><pubmed> 22617422 </pubmed></ref>。 | ||
=== ネクチン−アファディン複合体 === | === ネクチン−アファディン複合体 === | ||
44行目: | 44行目: | ||
== アドヘレンスジャンクションにおけるタンパク質複合体の動的平衡 == | == アドヘレンスジャンクションにおけるタンパク質複合体の動的平衡 == | ||
アドヘレンスジャンクションは強固な結合をになう一方で、アドヘレンスジャンクションを構成する細胞が分裂、侵入し、また排除されるといった動的な側面を併せ持ち、また維持過程においても常に構成分子が入れ替わる動的平行状態にある。主要な接着分子であるカドヘリンは、成熟したアドヘレンスジャンクションにおいては、膜上の拡散よりもむしろ[[エンドサイトーシス]]と[[エクソサイトーシス]]による小胞リサイクリング過程によってその動的平衡を保っていることが明らかになりつつある。この過程にはアクチン動態、[[Rhoファミリー低分子量Gタンパク質]]、[[細胞極性]]制御因子[[Par]]などが関わっている。このようなアドヘレンスジャンクションの動的特性は、組織と器官の形態形成に重要な役割を果たしている<ref name=ref33><pubmed> 21422226 </pubmed></ref>。 | |||
== | == ヒト疾患との関係 == | ||
多岐にわたる[[ヒト]]疾患と、アドヘレンスジャンクション構成因子の遺伝的な異常の関係性が示唆されている。 | 多岐にわたる[[ヒト]]疾患と、アドヘレンスジャンクション構成因子の遺伝的な異常の関係性が示唆されている。 | ||
回編集