「上衣細胞」の版間の差分

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===分子機構  ===
===分子機構  ===


 上衣細胞の発生において、[[FoxJ1]]及びそれに関連する[[転写因子]]群が上衣細胞の分化過程に関与することが示されている。FoxJ1は[[forkhead (Fox) DNA結合ドメイン]]を持つ転写因子の1つで、運動性繊毛を持つ細胞に特異的に発現している。FoxJ1欠損マウスでは、繊毛運動に関与する[[モータータンパク質]]である[[ダイニン]]及び[[キネシン]]が減少するため、基底小体の細胞膜への移動及び繊毛形成ができない<ref><pubmed> 10873152</pubmed></ref><ref><pubmed> 19906869</pubmed></ref><ref><pubmed> 19011629</pubmed></ref><ref><pubmed> 19011630</pubmed></ref>。また、FoxJ1は[[E-cadherin]]や[[N-cadherin]]に結合する[[アダプタータンパク質]][[アンキリンG]] ([[Ank3]]) の発現を制御しており、Ank3変異マウスでは発達途中の上衣細胞同士の細胞膜結合や接着結合が減少して、正常に分化できないことが報告されている<ref><pubmed> 21745638</pubmed></ref>。さらに、FoxJ1[[プロモーター]]結合因子の1つである[[regulatory factor X-3]] ([[RFX3]]) は、ダイニン遺伝子のプロモーター配列にも結合し、発達中の上衣細胞における繊毛の伸長や繊毛運動の頻度に影響を及ぼすことが示唆されている<ref><pubmed> 19671664</pubmed></ref>。
 上衣細胞の発生において、[[FoxJ1]]及びそれに関連する[[転写因子]]群が上衣細胞の分化過程に関与することが示されている。FoxJ1は[[forkhead (Fox) DNA結合ドメイン]]を持つ転写因子の1つで、運動性繊毛を持つ細胞に特異的に発現している。FoxJ1欠損マウスでは、繊毛運動に関与する[[モータータンパク質]]である[[ダイニン]]及び[[キネシン]]が減少するため、基底小体の細胞膜への移動及び繊毛形成ができない<ref><pubmed> 10873152</pubmed></ref><ref><pubmed> 19906869</pubmed></ref><ref><pubmed> 19011629</pubmed></ref><ref><pubmed> 19011630</pubmed></ref>。また、FoxJ1は[[E-cadherin]]や[[N-cadherin]]に結合する[[アダプタータンパク質]][[アンキリンG]] ([[Ank3]]) の発現を制御しており、Ank3変異マウスでは発達途中の上衣細胞同士の細胞膜結合や[[接着結合]]が減少して、正常に分化できないことが報告されている<ref><pubmed> 21745638</pubmed></ref>。さらに、FoxJ1[[プロモーター]]結合因子の1つである[[regulatory factor X-3]] ([[RFX3]]) は、ダイニン遺伝子のプロモーター配列にも結合し、発達中の上衣細胞における繊毛の伸長や繊毛運動の頻度に影響を及ぼすことが示唆されている<ref><pubmed> 19671664</pubmed></ref>。


 上衣細胞から発生した腫瘍が上衣細胞腫である。中枢神経系腫瘍の10%を占め、典型的な上衣細胞の微細構造や免疫組織化学的特徴を示す<ref><pubmed> 9812425</pubmed></ref>。腫瘍化の原因として、放射状グリアの分裂面の配向性や接着結合、[[Notch]]シグナル制御の異常が示唆されている<ref><pubmed> 17179988</pubmed></ref>。
 上衣細胞から発生した腫瘍が上衣細胞腫である。中枢神経系腫瘍の10%を占め、典型的な上衣細胞の微細構造や免疫組織化学的特徴を示す<ref><pubmed> 9812425</pubmed></ref>。腫瘍化の原因として、放射状グリアの分裂面の配向性や接着結合、[[Notch]]シグナル制御の異常が示唆されている<ref><pubmed> 17179988</pubmed></ref>。

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